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平凡はチートと出会う  作者: 花詠 眠
2/8

グモールの森①


僕は思考が止まった。


最高神、七芒星ヘプタグラム


歴史書のような本の最初に書かれていた。

この世界を創った七柱の神。


創造神、ネトム。

獣神じゅうじん、クロウ。

氷神ひょうじん、ユキ。

時空神、ユカリ。

鏡の神、リミィアン。

糸神しじん、アヤ。

そして、守護神、アキ。


(その一柱・・・・・この人が・・・??)


僕は握られている手から、視線をあげる。

そこにはニコニコしているアキの顔があった。


「えーっと・・・・・嘘じゃない・・・よね?」

「しっつれーな!!神を騙ったらどんな天罰が下るかも分からないのにする人なんていないでしょ!てか、人間以外の種族だよ!もっと驚かないの!?」


アキは腕を組み、頬を膨らませ不機嫌なのをアピールした。

ハッキリ言って子供だ。

(・・・・・ますます信じがたい。)


僕はため息をついた。

アキはそれを見て、がっくりと肩を落とした。


「まあ、私のことは追々信じてもらうことにして、今日はもう寝よ。明日話そ。」

「う、うん。そうだね。僕もじっくり整理したいし。」


僕は自分の布団を出して、床に敷いた。

アキは毛布を自分にかけて、壁にもたれかかるように寝ようとしていた。


「・・・・・床で寝ないの?」

「ん?ああ。慣れだよ。旅を続けてるからね。」

「そっか。おやすみ。」

「おやすみ。」


僕は布団の中へ潜った。

床で寝させようとしなかったのは、アキの習慣を邪魔したらいけないと思ったからだ。

何が気に障って、首が飛ぶかは分からない。


布団の中でゆっくり考える。

旅に行ける。

これから、どんな光景が見れるのだろう。

そう思うとワクワクするが、問題点はアキだ。

自称、守護神。しかも世界を創った神の一柱。

一緒に歩くのならば、ここまで心強い味方はいない。

だが、僕がアキの気に障ることをしたときは・・・・・

僕はもんもんと考えていたが、いつの間にか寝ていた。




「寝たか。」


私は目を開ける。

いろいろと考えていたのは''聞こえていた''ので分かる。

私は顔を手で覆った。


「・・・・・これ、やらかしたよね?」


家族から頼まれた任務。

引き受けたときに、耳にタコができるほど言われていたこと。


『お願いだから変な拾い物するんじゃないわよ!』

『変!?みんなのどこが変だって!?』

『あなたの変な行動って意味よ!!もう一生のお願いだから拾うのはやめてね!分かった!?』


よく''人''を拾っては説教をされて、十時間も正座させられていた。


「・・・・・ま、まあ?仕方ないよね・・・?」


私は少し視線を泳がせる。

しかし、この''拾い物''は今までとは違う気がした。

彼の面影に''彼ら''を重ねた。


「ふふ。これからどんな子に成長するのかね。君は。」


私はもう一度目を閉じた。




僕はいつも通り早朝に目を覚ます。

アキはまだ起きていないのか、壁にもたれかかって寝息を立てていた。


(こうしてみると、本当に普通の女の子なんだけどなあ・・・)


僕は昨日のことを思い出しながら、朝食の準備を始めた。

畑でとれたじゃがいもと人参とキャベツを切って、適当に味付けしながら炒める。


(う~ん・・・・・おかずが少ないかな?)


僕は水魔法で水を生み出し、鍋に注いだ。


「えっと~・・・セト?」

「わあ!!起きたんですねアキさ」

「あ、敬語禁止で。」

「・・・・・うん。」


食い気味で止められた。


「ところでセト・・・その火は魔法だよね?」

「そうだよ。」

「その水も水魔法だよね?」

「うん・・・どうしたの?」

「・・・つまり、本を読んだだけで魔法を習得したってこと?」

「うん。そうだけど・・・何か問題でもあった?」


僕は首を傾げた。

そんな僕を見てアキは頬を引きつらせた。


「魔法っていうのはそんな簡単に使えるものじゃないと思うんだけど・・・はっ!もしや天才か!?」

「そう言われても・・・時間はたくさんあったし・・・」

「それを言われるとボケられないんだけど・・・・・」


アキは苦笑いをした。

僕が作ったご飯を美味しそうに食べながら、アキは話し始めた。


「まず、旅の大まかな行き先のことなんだけど。この家の隣にあるグモールの森に入ってから、七つの国を巡るから。」

「グモールの森・・・・・って''あの''グモールの森!?」

「あれ?知らなかったの?」


僕はがたっと音を立てながら椅子から立ち上がった。


グモールの森。

この世界の大陸の三分の一を占める。

無害な動物から凶暴な魔物までいる、危険な森。

森の最奥には宝があると言われており、それを取りに入る人物は後を絶たない。

そして・・・森に入り、戻ってこれた人物はいない。

そのはずだが・・・・・


「僕、森に入って動物を狩ったりしてるけど、問題なく森から出られてるよ!?」

「だよね~?この家にある肉や野菜の種は森から調達してきたよね~?不思議とは思ってたんだよな~。」


そう。僕は普通に森を出入り出来ているのだ。

まあグモールの森と知っていたら、絶対に入ることは無かったけど。

僕はゆっくりと座り直し、落ち着くためにお茶を飲んだ。


「ま。大方''あいつ''に気に入られたんでしょ。」

「あいつ・・・?」

「グモールの森の住人にして、管理人。あいつは支配者って言ってるけどね。」

「し、支配者!?そんな人物がいただなんて・・・・・」

「知らないのも当然だよ。あいつは森から出ないし、森から生きて出られた人物はいないからね・・・セト以外。」


アキはあっけらかんと言うが、僕は少し怖くなった。


「安心しなって。普通は森に入った瞬間、首がヒュンって飛んでくから。」

「こっわ!!!」

「入っても無事ってことは気に入られたってことだよ。」

「気に入られたって・・・僕、何かした覚えないんだけど・・・」

「まあまあ、これからそいつに会いに行くんだし直接聞けば?」

「え!?!?・・・ってあっつ!!」


僕は驚いてお茶をこぼし、熱々のお茶が手にかかった。

アキは空納からタオルを取り出し、手を拭いてくれた。


「ごちそうさま。皿は私が運んどくよ。」

「あ、ありがとう。」

「その間に荷造りしてて。旅に出るなら当分この家に戻らないからね。」


僕はその声を聴いて、ハッとなった。

旅に出るなら、この馴染んだ家とはさよならしなければならない。

・・・・・少し、名残惜しくなった。

その気持ちを隠すかのように、僕はすぐに荷造りを始めた。


「それで国を巡るわけだけど、セトが見に行きたいものややりたいことがあるなら、すぐに言ってね。何でもさせてあげるから。」

「え?いいの!?」

「いいよ~。絶景が見たい~とか、学校に行ってみたい~とか、何でも!私の任務も無期限だからね。」


僕が夢見ていたことができるかもしれない、と思うと僕は途端に嬉しくなった。

荷造りをする手が自然と早まる。

そんな僕を見てアキは笑った。


荷造りの途中で、家にあるすべての図鑑を僕のリュックに入れようとして全力で止められたり、二人で図鑑を見て荷造りが進まなかったりしたが、何とか終わった。

他にも畑があまり荒れないように整備したり、家をきれいにしたりとしていたら三時間ぐらいたっていた。


「意外にも時間かかったね・・・」

「セトが図鑑を見せるから・・・」

「僕のせいにしないでよ・・・」


僕はリュックを背負って玄関に立った。

僕の服装は・・・・・質素だったのでアキが持っていたものを着させてもらった。

濃い紺色のパーカーの中に灰色のTシャツ。黒色のワイドパンツ。黒色のスニーカー。


(随分ラフな格好だけど、旅でこの服は大丈夫なんだろうか・・・)


アキは僕の心配をよそに、ここに来たときと同じ軽装で僕の隣に立った。


「うん!今日は絶好の旅日和!ちゃんと晴れてるね。じゃあセト!」

「うん・・・しばらく家を離れるけど、旅が終わったら帰ってくるから!・・・・・いってきます!」


僕は大きな声で宣言した。

旅路はどんなものになるかわからない。

だからこその決意表明だ。

・・・まあアキがしたほうがいいと言ったからしただけなのだが。


「よし!じゃ行こっか!」

「・・・うん!」


僕たちは扉を開けて家を出た。







「いってらっしゃい。」





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