第九話
「家に着いたぞ黒丸。ここが、今日からお前の家だぞ」
「ひゃんひゃん!」
日が傾き、もう辺りが暗くなりかけてきたくらいの時間に、家に帰り着いた。そして困った事が一つ。
「黒丸のゴハンは、何がいいかな?」
「くうん?」
黒丸は、まだ子犬。まだ、ミルクが必要な頃なのか。それとも、もう固形物が食べられるのか。それが分からない。
「ミルクが必要なら困った事になるな。家にあるミルクなんて、牛乳しかないぞ? 犬って、牛乳ダメだったような。
水で薄めて飲ますなら、良いと聞いたような・・・・」
「ひゃうん? ひゃんひゃん」
足に体全体で擦り寄って、黒丸は甘えてくる。
「ん? よしよし。お腹減ったよな。ん? 黒丸、ちょっとジッとしろよ」
「ひゃん?」
黒丸の顔を、両手で優しく押さえる。そして親指で、口を軽く開けて、歯を確認してみる。
おっ、歯生えてるな。なら、固形物は大丈夫そうだな。
「ひゃっふ」
「あぁ、ごめんごめん」
嫌がって顔を振る黒丸から手を離す。
「よし、黒丸。ごはんにしよう」
「ひゃん!」
黒丸のごはん作りにとりかかる。
まずは、ジャーキー、干し肉を用意する。ただし、保存の為の塩を、あまり使っていない物を使う。塩分過多には注意だ。
ジャーキーを小さく切り、柔らかくする為に軽く煮る。
煮るのは、塩分を抜くためでもある。ジャーキーを煮るのと並行して、ミルクも人肌に温めておく。
ジャーキーが柔らかくなったら、ザルに取って軽く水洗いに。
そして、深めの皿に入れる。それと、温まったミルクを水で割って薄め、ジャーキーを入れた皿に加える。
これで黒丸ゴハンの完成だ。・・・・食べてくれるかな?
と言うか、大丈夫かな? コレ。
「ほら黒丸。ゴハンだぞうー」
「ひゃん! ・・・・くんくんくん」
黒丸は、置かれた皿に入ったゴハンを、くんくんしまくった。
それを俺は、ドキドキしながら見ていた。
気に入ってくれるかな?
「ひゃん!」
「ん? おっ!」
俺を見上げて、黒丸はひと鳴き。そして、ガツガツと凄い勢いで食べ始めた。
「こら、そんな慌てて食うなよ。誰も盗らないよ」
・・・・こういう感じの動画、たまに見てたな。
タイトルは・・・・そうだな。うん、食い辛抱の子犬かな?
「おっと! 見て和んでる場合じゃない。俺のゴハンを作らねば」
面倒なので、簡単に済ませた。パンと目玉焼きとベーコン。
朝のメニューだな。これ。
さて、風呂に・・・・ん? なんだ、黒丸寝ちゃったか。
いつの間にか、黒丸は俺の足元でスヤスヤと寝ていた。
「・・・・めんこい。あっ、黒丸の寝床・・・・タオルでも敷き詰めればいいかな?」
ソファーにタオルを敷き、その上に黒丸をそっと置く。
よしよしと、軽く撫でてやり。「おやすみ黒丸」と声をかけた。
そして、次の日朝。
「あいたーー!」
俺は、突如走った痛みに飛び起きた。痛みの走った足を見ると。
「がっふ、がっふ」と黒丸が噛み付いていた。
「・・・・お前かい。はあーー。おはよう黒丸」
「ひゃわん!」