第七話
また、振られてしまった。因みに、今回の告白で・・・・五十回目ぐらいか? 多分、それ以上かもしれない。
「もう、リアン君は相変わらずね。私なんかより、もっといい人を見つけないと」
「シスターが、そのいい人なんですけど」
「歳の差がねぇ」と、困った表情をシスターは見せる。
「十歳しか、差はないじゃないですか」
「十歳も、違うでしょ。リアン君からしたら、私はおばさんよ」
「いえいえ。シスターはおばさんなんかじゃないですよ」
「そう?」
「まだまだお若いです」とシスターに言うと。
「もう、リアン君たら」とシスターは苦笑いをする。
しかし、チビ達と荷物運びを始めると。鼻歌が出ていた。
若いと言われ、ちょっと、嬉しかったようだ。
ふむ。このまま、押して押して押しまくる。そうすればきっと、いける! そして、シスターとの甘ーい結婚生活を!
「むふふ」と結婚した時の想像をしていると。足に痛みが。
その原因は・・・・。
「えーと、イーナ? ・・・・足踏んでる」
「ぬう・・・・」
イーナは、頬を膨らませ、その後、特に何も言わずに行ってしまう。
一体、何だったんだろうか? 俺がシスターと話していると。
よくこんな行動をする。うーーん。まあいいか。
それから、小一時間程滞在した。シスターとお茶したり。チビ共と遊んだしりした。イーナは・・・・ずっと俺の横に居た。
喋る訳でも無く、ただ居た。一体・・・・何やってんだ?
「ふう、やっと解体が終わったぜ。お前達! 今日の晩めしは、イノシシの肉だぞ」
「「「「「「やったー!! にくーー!!」」」」」
チビ達による、肉の大合唱が始まる。元気に「にくにく」とはしゃぎ回り、院長やシスターに「こら! 暴れるんじゃねぇ」とか
「はいはい。静かにしないと、お肉抜きですよ」と言われてようやく静かになる。
どんだけ肉に飢えてんだよ。肉以外も食えよ。特に野菜とかな。
「そうだ。リアン、おめぇメシはどうすんだ? 食ってくか?
いや、食うとなると泊まりか?」
「えーと。ゆっくりしたいのは山々なんですが。帰ります」
「「「「「「えぇーー! リアン兄帰るのーー!」」」」」」
「あら、リアン君帰っちゃうの?」
「はい。さすがに畑が心配なんで・・・・・」
「あぁん? 柵で囲ってるだろ? 新しく頑丈な柵にしたって、こん前の時に・・・・」
「確かに、頑丈な柵にしましたけど。壊して入ってくる魔物も、少なからず居るから」
「まあな。しょうがねえか。農家だもんな」
「うん」
頑丈な柵と言っても、壊れない訳ではない。実際に、何度壊された。木を、いとも容易くへし折るような魔物もいるんだ。柵で囲っているとしても、安心はできない。
「リアン・・・・帰っちゃうの?」
「イーナ・・・・」
イーナが、少し目をウルウルさせながら、俺の服を掴む。
えーと、ちょっと可愛いな、おい。
イーナは俺にとって、妹のような存在だ。頭をナデナデしたくなる。そう言えば、最近ナデナデしてなかったな。
「よしよし」と頭を撫でてやると。「むう。もう子供じゃない」とイーナは抗議した。
「じゃあ、もうしない」
「それは・・・・やだ」
「なんじゃそりゃ。ははは。また来るから。いい子にな」
「・・・・子供じゃない。でも、いい子で待ってる」
「えらいえらい」そう言って、頭を撫でてイーナを褒める。
「むう」と頬を膨らませて抗議するが、それは、それで可愛い。
「よし、じゃあ俺帰るな。馬達も、充分休めただろうし」
「おう。気ぃつけて帰れや」
「リアン君、いつもありがとうね。ほら、みんなも」
「「「「「「リアン兄、ありがとう!!」」」」」」
「「「「あーと」」」」
「どういたしまして。それじゃあな!」
「リアン、また来てね」
「あぁ。また来る。そして今度こそ、シスターに結婚を承諾してもらう!」
「むむう! ばかーーーーーー!!!」
何故かイーナは怒り、孤児院の中へ走り去る。院長は「あーあ」とか。「後が面倒だな」とか言っていた。
シスターも「あー、リアン君・・・・」と溢し俯いた。
一体・・・・どうしたんだ?
「リアン君はもっと、女心を勉強しなさい」
シスターの助言に「はあー」としか返せなかった。女心?
女心は秋の空的なやつかな? つまり、どう言う事?