第二十八話
「黒丸ー! どこ行ったー?! くろ‥‥」
「ひゃんひゃん!」
「何だ、其処に居たのか。まったく、一体どうした‥‥ん?
えっ‥‥‥もきゅもきゅ!」
黒丸の後を追って来たら、柵の向こうでもきゅもきゅが倒れていた。
「くうーんくうーん」
もきゅもきゅの側に行こうと、黒丸は柵を引っ掻いていた。
「なんで? 何がどうなって‥‥。と、兎に角、もきゅもきゅを助けないと!」
柵には、もきゅもきゅ用に扉が付けてある。其処から柵の外に出て、もきゅもきゅの側へ。
「もきゅもきゅ! もきゅもきゅ、大丈夫か! しっかりしろ!
‥‥‥息は‥‥ある。良かったけど、傷だらけじゃないか」
もきゅもきゅは、体のあちこちに怪我を負っていた。
もきゅもきゅのモフモフな毛が、所々で赤く染まり、痛々しい傷が見てとれる。何かに襲われた傷? 魔物にやられた?
「いや、今はそんな事はどうでもいい。ヒール! ヒール!」
回復魔法を、数回重ねがけする。傷は塞がったと思うけど、もきゅもきゅは目覚めない。
「傷は治したが‥‥出血でショック状態なのか?」
ポーションが必要だな。血を回復する、ブラッドポーションが。
兎に角、こんな所に寝かせておくわけにはいかない。
家に運ぼう!
「よいしょっと‥‥‥重い」
ヒグマを背負ってるかのような重み。三百キロはあるのではないだろうか? よく背負えるな俺。身体強化により、力は地球の時の数倍は出せる。とは言え、重い。
「ひゃんひゃん!」と背負われるもきゅもきゅに、黒丸が近寄る。
心配そうに寄り添っている。
「大丈夫だ黒丸。中に戻るぞ」
「ひゃうー」
メレーネ「リアン様、何処に行っちゃたのかしら?」
リコナ「リアン様ー! 何処ですかー?」
メレーネとリコナが、心配して探しに来た。そして、もきゅもきゅを背負う俺を見て‥。
メレーネ「きゃっ! リアン様?!」
リコナ「な、何ですかその生き物?! 魔物ですか?!」
かなりビックリしたのか、二人は抱きしめあって震えていた。
「だ、大丈夫だから。それと、もきゅもきゅは魔物じゃないから。
精霊とか妖精に近い存在らしいから」
リコナ「そ、そう‥‥なんですか? ど、どうするんですその生き物」
「勿論、助けるに決まってる」そう言って、もきゅもきゅを運ぼうとすると。メレーネが、もきゅもきゅの体を優しく触った。
メレーネ「‥‥‥これは中々。とても良い毛皮ですね」
「いやいや、もきゅもきゅは友達だから」
もきゅもきゅを、別な目線で見始めたメレーネに、少し慌てる。
確かにもきゅもきゅは、もっふもふではある。背負う俺を包み込む程に‥‥。
「二人は先に行って、この事をみんなに知らせて」
「「分かりました!」」と二人は頷いて、小走りして家の方へ向かった。俺は「よいしょっ」ともきゅもきゅを背負い直し、黒丸と一緒に家へ向かった。
フィオナ「リアン様ー! きゃっ! 何?!」
イルゼ「リアンくーん! り、リアン君?!」
「フィオナ、イルゼさん」
家に向かう途中で、心配したフィオナとイルゼさんが様子を見に来た。そして‥‥もきゅもきゅを背負う俺を見て、案の定驚く。
「大丈夫ですよ。それより、もきゅもきゅ‥‥この子を寝かせる場所をお願いします」
フィオナ「あの、リコナとメレーネから聞きましたが、助けて大丈夫なのですか?」
「もきゅもきゅは‥‥友達なんだ。助けるよ」
イルゼ「リアン君がそう言うなら‥‥でも、家に入るかしら?」
「あっ、確かに」ドアを通れるかな?
フィオナ「小屋なら‥‥。物置き小屋ならよいのでは? さすがに、家に運び入れるのは‥‥。リアン様が危険は無いと言われても、さすがに‥‥。家にはリルちゃんも居ますし」
うーーん。フィオナの言う通り、危なくないと言っても、そう直ぐには信じて貰えないよな。それに、リルちゃんがビックリするかもな。
「よし。フィオナの言う通り、物置き小屋にもきゅもきゅを運ぶ。
二人も準備を頼む。後、清潔な布とお湯も!」
「「はい!」」
死ぬなよ。死ぬんじゃないぞもきゅもきゅ!




