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第二十六話


「えーと、取り敢えずこちらに座って下さい」


「「「「「はい」」」」」


 謝罪の品として来た女性達を、家へと案内する。村長達は、俺が彼女達を引き取るのを見届けると、さっさと帰って行った。  


「‥‥‥‥」


「「「「「‥‥‥‥‥‥‥」」」」」」


 気まずい。何を話せば? まずは‥‥‥‥自己紹介?


「えーと、リアンと言います。その、よろしくお願いします」


「「「「「‥‥‥‥‥」」」」」


「あの、自己紹介を‥‥」


「私は‥‥‥ロナーナと言います。ロナでいい‥です」

 まず最初に自己紹介をしたのは、赤毛の髪を三つ編みにした、ちょっとオドオドした子だった。

「年は‥‥17です」

 しかも、年上だった。


「次は私かしら? トルナ村村長の孫、メレーネです。年は14です」

 トルナ村村長の孫か、この子。少し、気の強そうな子で青黒い髪をした少女。ショートヘアで、少しつり目。


「では、次は私ですね。エリーシャルルーです。エリシャとお呼び下さい」

 エリシャはニコっと笑って、綺麗にスカートの裾を掴んでお辞儀した。

「あっ、年もでしたね。15になります。ヌナカ村の大地主、ギュスターの孫です」

 ヌナカ村の大地主さんの孫か。それにしても、この子。礼儀作法とか、かなり仕込まれてるな。見た目はまるで、貴族なんだよな。

 エリシャは、フワッとしたロングの茶髪で。服装、礼儀作法、その他諸々の動きが、かなりのものだ。‥‥案外、貴族の庶子とかなんじゃ。


「次は私の番ね」と眼鏡をかけた女性が立ち上がった。

「ヌナカ村村長オルコの孫。リコナです。年は16才、趣味は読書かな。ふつつか者ですが、よろしくお願いいたしますね」


「えっ」あの、それは結婚する時とかに言うものでは?

 リコナの最後に言った言葉に、他の女性達もピクっと反応したのが分かった。

「あら、ちょっと気が早かったわね」とリコナはクスっと笑う。

 リコナは知的美人系の、緑の髪色をした子で。何やら油断出来ない雰囲気がある。


「リコナさん。私達は、リアンさんへの謝罪の品。即ち、奴隷と同義です。貴女の発言は、リアンさんと同格としての発言ですよ」とまだ、自己紹介をしていない最後の女性が、リコナを諌めた。


「そう‥‥ですね。もうしわけありません!」


「いえいえ、俺は貴女達を、奴隷とかそんな扱いする気、無いですからね!」

 

「寛大なお言葉、ありがとうございます」とリコナは頭を下げた。


 俺の何がどう寛大なんだろ? これってアレだ。異世界ギャップだ。自分としては、普通の事を言ってるつもりなんだが? 

 奴隷制度の無い時代を生きた人間としては、そう思うのは普通だと思うのだが?


「それでは、最後に私ですね。私は、ノコノコ村大地主の娘フィオナです。17です。後、ロナとは幼馴染です。よろしくお願いいたします」


「あっ、はい。よろしくお願いします」


 最後の一人は、とても大人な感じの人だ。精神年齢がだ。俺より年上なのだが‥‥この中で一番幼く見える。小ちゃい。

 高校生と言うより、小学生だな。見た目は。


「あの、何か?」


「いえ、何でもありません」

 ジロジロと見過ぎたようで、フィオナに睨まれた。

 多分、と言うか絶対、身長にコンプレックスがあるな。


「お茶が入りました。どうぞ」

  

 イルゼさんが、皆に紅茶を配る。それぞれ、礼を述べつつ受け取っていく。


エリシャ「あら、この紅茶。とても良い香り。かなりの高級品ね」

リコナ「本当! それに、高級品の砂糖まである」

ロナ「‥‥美味しい」メレーネ「嘘、本当に美味しい!」

フィオナ「熱っ! ふうふうふう」


「あの、フィオナ‥‥さん。大丈夫ですか?」


フィオナ「フィオナで構いません。それと少し熱かっただけです。心配いりません」

ロナ「‥‥フィーは猫舌だから」

フィオナ「ロナ、余計な事は言わないの!」

ロナ「ひゃう‥‥ごめんなさいフィー」 

リコナ「あの、一つお聞きしても?」


「ん? なんです‥リコナ」


リコナ「彼女は貴女の奥さん?」と、リコナは紅茶を飲みつつ、イルゼさんに目線を送りながら尋ねた。


「いえ、彼女はそういう関係では無いです」


リコナ「そう‥・」

エリシャ「へぇー。でしたら、どういった御関係ですの?


イルゼ「リアン君は、行き倒れの私達を助けてくれたんです」

エリシャ「あら? 私達?」


 私達と言う言葉に、エリシャが引っかかる。

「他にも誰か居るのですか?」と五人は首を傾げた。


 そんな時だった。寝室がある廊下のドアが『ガチャ』と開いた。


リル「おか‥しゃん」

イルゼ「あらあら、リル。起きたのね」


 お昼寝中のリルちゃんが、目を覚ましたらしく、傍らに黒丸を連れてやって来た。眠そうな目を擦って、トコトコと歩いてくる。


リル「おかあしゃん‥‥おはよ。あれ? ひとがいっはい」

 

「おはようリルちゃん。お客様が来てるんだ」


リル「おきゃくしゃま?」


「そうだよ」


フィオナ「リアンさん。私達はお客では‥‥」


「まあまあ、さすがに子供に説明し難いからさ」


リル「おきゃくしゃま‥‥いらっちゃいなの」


「「「「「かわいい!!」」」」」


 何やら、リルちゃんは大人気の様子。五人はリルちゃんを取り囲み、リルちゃんをイイコイイコしまくる。


「くすぐっちゃいのー」


 一人から、一人と一匹になって、更に三人と一匹に。そして、更に増え八人と一匹か。あっ、ベッドが足りない。どうしよう。

 いつの間にやら、俺の平和な田舎暮らしは、ドンドン賑やかになっていく。


 ‥‥出来れば、もう少し平凡な生活が送れるといいけど。

 多分、俺の願いは届きそうに無い気がする。

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