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第二十四話


「‥‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥」


 あー、うん。空気が重い。もう夜で、外は真っ暗。リルちゃんは、黒丸と一緒に夢の中だ。俺はリルちゃんのお母さんと、リビングでお茶を飲みながらゆっくりしていた。

 二人っきりの状況。そんな状況になれば、自ずと話しはとある事についてになる。‥‥それは、何故あの場所で倒れていたのかだ。


 それをイルゼさんに聞いてから、重苦しい空気になっている。


「‥‥‥私達は、隣りの領のポリト村に住んでいたんです」


 イルゼさんは、重い口を開いた。声は微かに震えていて、イルゼさん達に何かが起こっ事を物語っているようだった。


 私と夫、リルの三人で、ポリト村に住んでいたのですが。三年前くらい前の事です。領主様が亡くなり、新たな領主様に変わったのです。それから、地獄が始まりました。税はどんどん重くなり、生活を逼迫する程に‥‥。更には、農作物の不作がかさなって、食べる物に困る事態になりました。そして、更には流行り病まで‥‥夫は病に倒れて一月前に‥‥亡くなりました。

 

「その夫が、死の間際にここへ行くようにと」


「ここに? 何故ここに? 俺は旦那さんと、知り合いでもなんでも無いのに?」


「夫の話しだと、ここに住んでいる老夫婦を頼れと」


「ええぇぇぇ?!」

 老夫婦‥‥爺さんばあさんと知り合い? いや、だったらとっくに亡くなっている事を知って‥‥‥隣りの領なら厳しいか?

 そもそも、どんな関係? ‥‥爺さんばあさんには、一人息子が居たって、その話しだけなら聞いてる。まさか‥‥。


「もしかして、爺さんばあさんの息子? いやいや、だとしたら亡くなったって話しは?」


「あの、リアン君。夫は一度だけ話してくれた事があるんです。

 若い頃に、両親と喧嘩して家出したと」


「‥‥‥成る程。家出した。生きてるかも分からないから。亡くなったなんて嘘を‥‥。まったく、あのじじばばときたら。せめて、何かあった時の事を考えて、言っとけよ」


「あの、リアン君!」


「あっ、はい。何ですかイルゼさん」


「暫くでいいんです! 私達を置いていただけないでしょうか!」


「お願いします!」とイルゼさんは深々と頭を下げた。もし、イルゼさんの旦那さんが、爺さんばあさんの息子なら。リルちゃんは二人の孫になる。さすがに、追い出す気なのど毛頭無い。


「別に、いつまで居てもいいですよ」


「いいのですか?」


「はい。その代わり、お願いがあります」


「お願い‥‥私に出来る事なら何でもします!」


「明日、みんなでお墓参りに行きましょう」


「‥‥はい。そうですね、行きます」


 ふはは、うふふと二人で笑い合う。重苦しい空気は一変し、和やかな空気になった。そんな時「‥‥おかしゃん?」とリルちゃんがドアを開けて、部屋に入って来た。眠いのか、目を擦りながら、


「あらあら、リルどうしたの?」


「おちっこ」


「はいはい。こっちよ」とイルゼさんがリルちゃんをトイレに連れて行った。


 爺さんばあさんも、孫の顔見たかっただろうな。死んじまってからにはなるが、明日見せに行くよ。


 ‥‥‥本当に息子なんだよな? 旦那さん。


 違ったら、天国の爺さんばあさんに何言われるか。いや、あの二人なら、孫が出来たと喜ぶかもな。


「おにいしゃん‥‥おやちゅ‥‥」


「はい、おやすみ。リルちゃん」イルゼさんに抱っこされたリルちゃんは、言い切る前に深い眠りえと落ちる。その可愛いらしい様子に、クスっと笑ってしまう。俺の笑いに釣られてか、イルゼさんも、クスっと笑った。その笑顔は、愛する娘が可愛いくて仕方ない母親の顔だった。


 次の日、お昼前に二人のお墓参りに行った。お墓は、敷地の中にあり。お墓の周りは、たくさんの花々が咲き誇っていた。


「きれいー」


「リル、まずはお墓参りが先よ。お爺ちゃんおばあちゃんの為に、お祈りしましょう」


「ひゃーい。くりょまりゅいくよ」


「わひゃん!」


「おじぃじ、おばぁーば。おいにょり」と言って、リルちゃんは冥福を祈る。お祈り事を、本当に分かっているのかは分からないが。

 多分、気持ちは届くと思う。


 それと、イルゼさんは旦那さんの遺髪を持っていたので。爺さんばあさんの直ぐ横に、お墓を作った。お墓と言っても、ちょうど良さそうな石を、墓石代わりにしただけだ。

 それでも、イルゼさんは「それだけでも充分です」ととても喜んでくれた。


「安らかにお眠りに下さい。‥‥‥‥よし、お弁当にしようか」


「わーい、おべんちょう!」


「ひゃわんわん!」


「あの、リアン君。いいのかしらこんな所で?」


「まあ、良いんじゃないですか? 辛気臭いより、楽しい方が」


「そうですか?」


「ほらリルちゃん。お弁当の中身はねぇー」


「おにぃしゃん、はやくはやく!」


「ジャジャーーン!! サンドイッチでーす!!」


「わあーー! おいちそう! くりょまりゅ! いっちょにたべりょ」


「わふん!」


「もう、リルったら。ちゃんと座って。端ないわよ!」


「ひゃーーい」


 ふと空を見上げると、爺さんとばあさん。それと‥‥誰?

 流れからするとイルゼさんの旦那さん? が、天国から見てる気がした。


 ‥‥気のせいだな。うん。


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