第二話
朝食を済ませた後、俺は日課の仕事へ。仕事は勿論、農業だ。
現在所持している畑は、大体・・・・3ヘクタールくらいかな?
サッカーコート六、七面分くらい? だと思う。
当初はこんなに広くはなかった。ここまで広くなったのは、俺がここに来てから。最初は、小さな畑があるだけだった。それを俺が、頑張って開墾した。
子供なのに? とか思うだろうが、ここは異世界だ。つまり、そんな事が出来てしまうような力が、この世界には存在している。
それは、加護と魔法。この異世界で生まれた者は、神より加護を得る。俺も加護がある。十歳になった日に、教会で確認してもらった。
俺の得た加護は・・・・[オールラウンダー]と言うものだ。
簡単に説明すると、多器用に何でもこなせると言うことらしい。
加護は基本、その人に合った職業に関係するものらしく。
オールラウンダーの俺は、いろんな職業をこなせるらしい。
しかも、このオールラウンダー。能力強化の面もあるらしく。
俺のあらゆる能力が、平均よりちょっと上あたりに強化されている。筋力とか、足の速さとか、魔力とか色々な能力全てがだ。
オールラウンダー・・・・中々使える。農業も強化対象なので、他の農家より収穫量が一割五分くらいは多い。
微妙な差ではあるが・・・・うん。他者より多く収穫できるってのは、凄い事だ。専門系の加護には負けるけど。
「さてと、今日の仕事は第六区画の畑を耕すんだったな」
第六区画の畑とは、一から六まである畑のうちの一つで。
現在、更に広げている途中のものだ。
「よし、始めるか」
地面に手をかざし、魔力を練り、魔法を発動させる。
「ガイアクラッシャー」
魔法を発動させると、地面がボコボコボコと波のように唸り。
草の生い茂る大地が、次々とならされていった。
「ふう。この魔法、燃費悪いんだよなー」
消費する魔力に、あまり見合った威力ではない。
それに・・・・ガイアクラッシャー「大地崩壊」って! ちょっとイタすぎだろ。中2病かよって言いたい。言っておくが、俺が作った魔法じゃない。購入した魔法書に載っていた魔法だ。
俺以外にも、転生した奴がいるのでは? 最近そう思い始めている。まあ、そうだとしても。書いた本人とは会う事ないだろうけど。
何故って? ここに引きこもる気満々だから。
因みに、魔法で畑を耕す奴は、俺くらいのだ。そんな事が出来るだけの魔力がある奴は大抵、貴族や王国に仕える魔法士や、冒険者を目指すからだ。まあ、俺自身。中の上程度の魔力だけど。
『ドガガガ』と工事をするが如く畑を作り。大体、一反ほど耕して終わる。(テニスコート二面分ほど)
「魔力も三分の一は使ったな。やっぱり燃費悪すぎ。
・・・・自分で開発してみるかな? 出来なくはないか?
うーーーん、面倒だからいいか」
次は何を・・・・そうだった。収穫する物があったんだった。
『カーンカーーーン』
「うん? ベルの音・・・・誰か来たみたいだな」
次の仕事に取り掛かろうと思ったその時。人が来た時に鳴らすベルの音が。うちの周りは、頑丈な柵で覆っている。なので勝手には入れない。そのために、うちの出入り口には来客を知らせるベルが付けてある。
それにしても・・・・誰だろう? こんな朝早くに。
ひと仕事終えたとは言え、時刻で言えば、まだ10時前くらいだろう。うちの家は村外れにある。いや、村外れはおかしいな。一番近い村でも、1キロ近く離れているし。そんな所に一体誰が・・・・。
少し不安に駆られながらも、ベルの鳴る出入り口の方へ急いだ。