第十四話
「皆さん、お茶でもどうぞ。はい、ベルさん」
「ありがとうリアン君。では頂きます。これは、緑色? 紅茶ではないか。香りは・・・・悪くないですね」
アローン「おい、緑だが平気か?」
マイコー「葉っぱの色してるぞ」
泊まる事になったベルさん達一向に、お茶を振る舞っている。
三人共、初めての緑茶に少し戸惑っていた。
「・・・・ずずっ。 ふむ。紅茶と違ったこの渋み、うまいですねコレ」
アローン「うん? 俺は紅茶よりこっちが好きだな」
マイコー「うーん、そうか? 俺は紅茶の方が・・・・砂糖がたっぷりならなおいい」
アローン「それは、お前が甘党だからだろ。俺は、どちらかと言うとこっちの方がいい」
「リアン君は、お茶の木まで栽培を?」
「いえ、森に生えてたお茶の木から作ったんです」
「紅茶と同じ品種ですか?」
「うーーん、どうやら違うみたいでして。あぁ、この茶の葉で紅茶も作ってみたんですが。そちらも飲んでみます?」
「お願いします」
マイコー「俺も頼む。砂糖たっぷりでな」
「ははは。はい、分かりました」
アローン「俺には、この緑のお茶のお代わりを頼む」
「直ぐに」
紅茶の準備と、緑茶のお代わりを準備する。ベルさんとマイコーさんに紅茶を出し、アローンさんには緑茶を出す。
「んー、紅茶の香りもまた良いです。味の方は・・・・うまい!
リアン君、コレ売れますよ。是非買い取らせて下さい」
「あのー、残念ながら俺が消費する程度しか・・・・」
「むー、それは残念!」
商魂逞しいベルさんは、心底悔しそうにしていた。
他所の茶葉を、飲んだ事が無いので。
そこまで悔しそうにする程、凄いのか分からない。
ベルさん曰く「かなり高級な茶葉として売れます!」との事らしい。畑で、そのお茶の木を増やそうとしている事を伝えたら。
「さすがリアン君です! 販売の際は、是非うちに!」とのことだ。ほんと、商魂逞しい人だ。
「そう言えば・・・・フェノゼリーいえ、もきゅもきゅ? は何処に?」
「もきゅもきゅなら帰りましたよ」
「一緒に暮らしてる訳ではないんですね」
「はい。一緒に暮らすにしても、家に入りませんし」
「確かに」
「ひゃんひゃん!」
「ん? どうした黒丸」
黒丸をそっと抱き抱える。そして、黒丸の頭をナデナデする。
「くぅん」
「よしよし。あぁ、お腹空いたのか。そうだな、夕飯の準備をするか」
そろそろ日も傾き始めたので、夕飯の準備に取り掛かる事に。
「何か手伝いましょうか?」とベルさんが訪ねてくるが。
俺は「お客様はゆっくりしていて下さい」と返した。
するとベルさんは「じゃあ、お言葉に甘えて」と紅茶をお代わりした。
「あっ、そうだ。今の内にお風呂入ってきたらどうですか?」
「お風呂ですか? お風呂があるんですかリアン君?!」
「はい」
アローン「風呂なんて贅沢な」
マイコー「水浴びだぞ普通」
三人共、目を丸くして驚いた。
やっぱ、お風呂は贅沢なのか。・・・・まあ、そりゃそうか。
孤児院に居た時は、濡らしたタオルで拭く程度だったし。
爺ちゃん婆ちゃんの家に来ても、同じだった。田舎だからお風呂は無いとかではなく。単純に贅沢な物と言う事なのだろう。
基本、風呂に入るより、食事の方が大事。そんな考え方な気がする。
風呂に入らなかったからと言って、死ぬわけではないからな。
俺は毎日欠かさずに、風呂に入りたい派ではあるが。
「広いので、三人一緒に入れますよ」
「「「もうそれは、お風呂ではなくて、公衆浴場では?」」」
「公衆浴場? あるんですか、そういうの」
「大きめの街なら・・・・ありますね」
アローン「俺達も、週一くらいで行くぞ。なあ」
マイコー「おう。個人風呂なんて、貴族や大商人でもなきゃ、持ってない」
「大商人・・・・ベルさんは?」
「わ、私はまだ、しがない商人ですから。それに、お風呂がなくてもそこまで困りませんし」
えー、困るよ。汗をかいたら普通風呂でしょ? 汗を流したいでしょ? 疲れた体を癒したいでしょ? 風呂大事!
「んー。俺は毎日風呂に入らないと、気持ち悪いんですけど。
皆さんはそうでもないのか」
「匂いとか気になるでしょ?」と聞いたら。
「だから香水があるですよ」と返された。
そういえば・・・・香水って体臭を誤魔化すための物だったな。
って事は・・・・ベルさんて、臭いの?
「あの、何か失礼な事考えてません?」
「い、いえ、そんなまさか」
考えましたなんて、言える訳もなく。誤魔化す。怪しんだ目で、ベルさんはこちらを見ていた。
「兎に角、お風呂どうぞ」
「・・・・そうですね。お風呂、頂きます」
アローン「俺達も入るか」
マイコー「だな」
三人を風呂に案内し、俺は皆が風呂に入っている間に夕飯の準備を進める。
風呂場の方からは、三人がワイワイと騒ぐ声が聞こえて来た。
「随分と楽しんでるなぁー」
「ひゃわん」




