07 矜持
そして明かされる衝撃の事実。
以前、戦争屋討伐のために開かれた両国トップの秘密会談。
実はすでにあの時点で、両国の未来のためにお互いの国の英雄同士をくっつけちゃおう作戦が決まっていたのだとか。
ちょっと待って。
それって、ひどいよ。
いかにツァイシャ女王様といえども、当事者の意思を無視するようなこと、国の行く末を盾にしてシェルカさんみたいな乙女の将来をねじ曲げちゃうようなマネだけは、絶対に、許さないっ。
だってそれって、エルシニア王国のエルミナへの仕打ちといっしょじゃないか!
僕らしくもない、なのか、僕らしい、なのか、
とにかく、僕は、今、すごく怒ってる。
こんな状態であれだけど、
まずは、シェルカさんとも、ちゃんと向き合わないと。
「シェルカさんの矜持と覚悟、ちゃんと僕の胸に届きました」
「ならば」
「でも、ちょっとだけ時間をくれませんか」
「こんな僕でも、僕なりの矜持、あるんです」
「女の子を泣かせるようなヤツには絶対になりたくないとか」
「女の子を泣かせるようなヤツは絶対に許せないとか」
「……」
「これからどうするかの答え、今はまだなにも言えません」
「なによりも、まずやらなきゃいけないこと」
「今回の件のツァイシャ女王様の真意を、直接お会いして確かめること」
「それが済むまでは、僕は、この先には、進めません」
「カミスさんの矜持と覚悟、このシェルカの胸にも刻まれました」
「成すべき事を、存分に、勇気を持って、成してきてください」
見つめ合いました。
艶っぽくではなく、
すごく、戦友って感じ、なのです。
それから、みんなにも説明。
詳しい事情も聞かないで、みんな、僕のために、動いてくれました。
僕の表情から察してくれたようです。
「頑張って、カミスパパ」
ごめんね、ハルシャちゃん。
たぶんおみやげを買ってくるヒマもないと思う。
できるだけ早く、戻ってくるね。
「こちらの事は任せて、いつも通り、思うがままに」
ありがとう、クリス。
エルミナとシスカに、よろしく。
「お気を付けて」
ササエさん、すみません。
ちょっとだけ、クロ先生、借りますね。
「……」
シェルカさん、少しだけ、待っててください。
「それじゃ、行こうか、カミス君」
クロ先生の『転送薬』で、エルサニア王都へ。




