03 市場
お昼前、ハルシャちゃんとふたり、ジオーネ市場へとお出かけ。
さすがは平和の象徴ジオーネ、確かに大悪党たちのアジトこそあったけど、街自体は平穏そのもの。
あの連中の秘密厳守が徹底していたのが幸いしたのかな、街の人たちは本当に全くの無関係でした。
それでも、ここに来たばかりの頃は散歩散策にも護衛付きだったけど、フレンドリーな街の人たちとの交流が進むうちに、今ではすっかりなじんじゃっているのです。
さすがにハルシャちゃんひとりでのお出かけはナシだけど、僕みたいなへなちょこがお供するくらいで安心してお出かけできちゃう、本当に平和な街。
もしかしたら、僕たちが暮らしているエルサニア王都よりも安全、かも。
ジオーネ市場は活気があってすごい賑わい、お店の人もお客さんも元気いっぱい、なにより物価がすごく安い!
「若旦那っ、活きのいい大いのしし肉、大量入荷だよっ」
「ハルシャちゃん、珍しい果物、いっぱい仕入れたわよ」
市場のみんなともすっかり顔なじみ、
『若旦那』呼びも、もうすっかり慣れました。
安くて新鮮、サービス満点、
普通に買い物しているだけなのに、本当に楽しい。
「カミスパパ、なにか食べたいの、ある?」
新鮮食材を見て、ハルシャちゃんの腕が鳴る。
できたて美味い料理を想像して、僕の腹が鳴る。
まさに、鳴り止まない永久機関!
「あの見たことないキレイな色の果物で、かわいいフルーツケーキなんて、どうかな?」
僕の提案に、ハルシャちゃん、にっこり。
たくさんお買い上げで、果物屋のお姉さん、にっこり。
超美味しそうなフルーツケーキを想像して、僕、にっこり。
まさに、幸せ笑顔の連鎖!
「今日も美味しそうなの、いっぱい買えたねっ」
笑顔のハルシャちゃんと、手をつないでの帰り道。
目指すは『平和の館』
ジオーネ、本当に、良いところ。




