22 歓談
「もう、本当に大変だったのですよ」
もしもし女王様、
今、本当に大変なのは、ハルシャちゃんの方じゃないかと。
だって、ほら、見たこともないくらいにステキな私服姿の女王様から、
そんなにも、ぎゅってされちゃってるんですよ。
「だって、あの人たち、本当にしつこくて……」
女王様、ほっぺぷっくりさせて可愛いらしくお怒りモード。
うひゃぁ、なにそれっ、ギャップ萌えにもほどがあるでしょっ。
って、少し落ち着け、僕。
どうやら、あの人たちとは、
謁見の間に大勢いたお偉そうな方々のようです。
えーと、ジオーネの一件はいい感じに片付いたのに、
僕とシェルカがアレしちゃったせいでクルゼス内が揉めそうになったけど、
アルゼハルト王のひと声でそれも収まって、
これから両国関係が大進展の予感。
そのせいで、今が利権やらなにやらのチャンスと、
国中からお偉い方々が群がってきたので、
いちいち対応するのは面倒だからと、
英雄凱旋の場に全員呼び出して、
まとめて釘を刺してきました、と。
もしもし女王様、
僕たちは釣りの撒き餌かなにかなのですか。
「本当に申し訳ないと思っているのですよ」
女王様、必殺のウィンク。
だからそういうのはライクァさんに向けてくださいな。
「イーシャのわがまま、実に遺憾だ、ぞ」
ライクァさん、言葉とはうらはらの、笑いをこらえた表情。
って、ライクァさん、いたんですかっ。
いや、笑いごとじゃないのですよ、ライクァさん、
せめて事前に相談しておいてくれないと、
って、イーシャですかっ。
もー、どんだけらぶらぶなんですかっ。
らぶらぶと言えば、アランさんの奥さまユイさんは、
アルセリア王国の元王女ユイメイアさま。
本来は、アルセリア王家の女性を愛称で呼んで良いのは伴侶のみ、だったんだよね。
もしかして、ツァイシャ女王様をイーシャって呼んでいいのも、
ライクァさんだけなのかな?
「ハルシャさんも私のこと、イーシャって呼んで欲しいのです……」
んもー、なんですか、
その可愛らしいロイヤルおねだり。
ハルシャちゃんが困っちゃうでしょっ。
「ハルシャはいつものカッコいい女王様も好きだけど、今のらぶらぶなイーシャお姉さんも大好きだよっ」
うひゃひゃぁ、女王様が照れ照れの真っ赤っかですよ。
もうホントに、ロイヤルギャップ萌えハイネスッ。
でもあかんっ、ハルシャちゃん、
それ以上の追撃はマジに女王様が危険っ。
おや、ハルシャちゃん、ぺろりと舌を出して笑顔。
うほっ、やりますな、ハルシャちゃん、
今日のシリアス展開へのお返しなのね。
「こんな女王様、初めて見るよ」
そうだね、モノカ。
たぶんこの部屋にいるほとんどの人が、
びっくり仰天しているよ。
「おふたりは今でも、とても素敵な御関係なのですね」
エルミナがうっとりと、おふたりを見つめていますね。
僕たちもあんな風になれたらいいね。
「カミスの場合は、まずは実行、だな」
実行、しちゃっていいのかな、シスカ。
らぶらぶの実行と言ったら、
ほら、アレですよ、アレ。
「カミスはもっとアランさんの積極性を見習わねば」
ちょっと待って、クリス、
発言は慎重に、だよ。
積極的にアレしちゃっていいのかな。
若旦那が若旦那しちゃっても、みんな平気なのかなっ。
「エルサニアは、驚くほど開放的なのですね」
待った、シェルカ。
今日のコレを参考にしちゃ駄目だよ。
いつもとはっ、いろいろとっ、違いすぎるよっ。
「御歓談、お楽しみいただけておりますでしょうか」
みんながお楽しみしすぎちゃって大変なんですよっ、ルルナさんっ。




