20 謁見
久しぶりの我が家で、
しっかり休息、やっぱり落ち着く。
身だしなみも整えて、
いざ、エルサニア城!
城門の衛兵さん、城内ですれ違う騎士さんやメイドさん、
みなさんの対応が、なんだか、以前とは違う感じ?
「カミスがしっかりとお勤めを果たしてきたからだよ」
そうなのかな、モノカ。
なんだかピリピリしてるみたいな……
「胸を張って御報告、ですよ」
うん、ちゃんと引き継ぎもしてきたし、大丈夫だよね、シェルカ。
って、最近シェルカを見るとき、胸に気を取られすぎだよ、僕。
そして、謁見の間へ。
ツァイシャ女王様は、いつにも増して圧倒的な威厳と風格。
『七人の戦乙女』の近衛騎士さんたちも、今日は凛々しさマシマシ。
そしてなぜか今日に限って、周りにはやたらとたくさんの、お偉そうな方々が。
いかん、すっごい場違い感で、腰が引けてるよ、僕。
「此度のジオーネ遠征、見事な働きであったと、アルゼハルト王からも祝辞を賜っております」
ただひたすら、かしこまるばかりの、僕。
「クルゼスとの友好の架け橋の任を立派に果たした事、そちらのシェルカ殿の晴れやかな笑顔こそが、何よりの証しとなりましょう」
拘束魔法でもかけられちゃったみたいに、固まっている、僕。
「二つの国の未来を救った英雄たちへ、賞賛と、感謝を」
この場にいた全ての人たちが、チームカミスへと、深く、礼!
ヤバい、なにをしでかしちゃったんだろう、僕たち。
「詳細報告は、後程」
ツァイシャ女王様、最後まで、厳しい表情。
終始厳格な空気の謁見の間、
なにもせず、なにもできぬまま、
チームカミス一同、退室。
そして、メイドのルルナさんに導かれ、
いつもは通ったことのない通路を、
全員無言で進んでおります。
今日の、お城全体の緊張感のこととか、
これからどうなっちゃうのかを聞きたいんだけど、
いつもは気さくに話しかけてくれるルルナさんが、
今日は、口をつぐんでおすまし。
みんな、無言で、ひたすら歩くのみ。
着いたのは、初めて案内される部屋。
みんなが入室後、
「しばらくお待ちください」
ルルナさん、退室。
今日のお城の中の鋭利すぎる空気に、
僕の自慢の空気読みセンサーが、
いっぱいいっぱいの飽和状態で役立たず。
とりあえず、かなり、ヤバい。




