聖刃5 新たなる町へ 鍛冶師の楽園べリアル①
ストックたまれー!!!
そして新連載を虹色が始めました。
この野郎 転生蜜蜂 の事忘れてねえだろうな…!
とは、言わないでやってくだせえ。
俺はジーク。
今はグレートウルフの群れ討伐から約半年後であり、レイアンとの邂逅から三年経っている。(レイアンが丁度スカーレットの本気ブレス食らったあたり。)
現在なんと冒険者ランクはC!
凄い頑張った。そりゃあもう頑張った。
熟したクエストは300を超えるッッッ!
それなのについ先日上がったばかりだ。
ランクCになるにはC級下位のクエストを一つ成功させること。
しかも時間制限有りっ!!!
マジでキツかった…。
レッド・ボアを倒した所までは良かったんだ。
でも、討伐証明部位を誰も覚えてなくて…。
体重約1トンの巨体を俺が持ち上げ、遠く離れた冒険者ギルドに残り3時間という時間制限付きで走らされたあのとき。
…俺は、真の地獄を知ったのかもしれない。
翌日はやはり筋肉痛になった。
レイアン戦後にやった修行の後からは筋肉痛になる事なんて滅多になくなったんだけどねぇ…。
宿屋の二番目に高い部屋から出て、宿屋の外に到着する。
到着って言うほど移動してないけど(苦笑)。
「お、俺が一番最後か…十分前には来てるんだけどなぁ〜」
「まぁまぁ、仕方ねえだろ。」
「はぁ、みんな!今日は別の町に出発する!」
「「「おお!」」」
「…んで、理由は?」
「向かう町は『鍛冶師の楽園』という渾名のついたべリアルだ!目的は予想の通り武器防具の新調!」
「「「おおー!!」」」
ふっふっふ、鍛冶師の楽園べリアルはその名の通りドワーフが沢山住んでたりその弟子として名を挙げたりした人が大半の超レベルの高い鍛冶師が居る町だ!
そこで俺の防具、そしてみんなの武器防具を一気に強化、もしくは買い換える!
「じゃ、馬車の護衛依頼は受けてある。早速行くぞ!」
「「「らじゃー!!!」」」
こうして、俺たちは依頼主の馬車がある位置に向かって歩き始めた。
◇◆◇ 護衛依頼中〜べリアル城壁前の道にて〜
「――――貰った!」
「あぶっ!?…何者だ!」
「なぁっ!?俺の奇襲を避けただと!?…クソっ、お前等、やれ!!!」
道の端でお昼休憩中に突如、草むらから一人の男が片手剣を俺に首筋に向けて振り下ろす。
俺は咄嗟に、スキルの気配察知でなんとなく位置と進む向きを把握して後ろに転がって躱す。
間一髪だな。
しかし、どうやら山賊らしいソイツ…いや、ソイツ等はいつの間にか俺たちを取り囲んでいたようで次々と飛び出してくる。
…よく気配察知に引っ掛からなかったな、お前等。
早く指示を――って、気の利く女性陣が既に準備はしてたか。
「よし、やれ!」
「「「りゃあああ!」」」
「そっちは任せた!俺は一番強いのを相手する!アリス、掩護を!」
「了解ですっ♪あぁ、久し振りの戦闘、楽しませてください、ねっ?♪」
「ミィリス!」
「了解!」
「「フローズン・キャノン!!!」」
親分らしいヤツの指示を受け一斉に襲いかかる山賊達。
俺は軽い指示出しを終えると自分の役割に専念するためちょい左側による事でアリスのスペースを確保。
戦闘狂の血が騒いだのか舌なめずりしながらアリスの身長と同じくらいのサイズの使い込まれた戦斧を片手で担ぎ、それで俺と同じ速度で走る。
やっぱ化け物みたいに強いな…(苦笑)。
一方、アイシャとミィリスは殆ど言葉を交わさずとも何が言いたいか分かるようで何気に凄い連携を見せながらフローズンとウォーター・キャノンを組み合わせた魔法。
フローズン・キャノンという、名前の通りミィリス先輩特有の超威力フローズンでウォーター・キャノンを勢いそのまま凍結させたモノ。
それを戦闘のフィールド全体から見て右側にいる山賊たちの足元に着弾させると――?
「「「いぎゃああっ!?う、動けねえし痛え!」」」
やたら説明臭いセリフだな…。
まあいいや。
聞いての通り、冷気で見事に山賊たちの両足を凍りつかせ、見動きとれなくした訳だな。
こっちも化け物だ。
「――スラッシュ!」
「っっ痛ぅー!?なんて威力だ…!」
「この程度ですかっ!」
「躱された…!?いや、掠ってはいる、それにしても上玉揃いだな…こりゃ、高く売れそうだっっ!」
「ぐあ…まだまだ!」
チャージ・スラッシュはその名の通り力を溜める事ができるスラッシュだ。
スラッシュは、さっきの山賊が使った斬撃の攻撃範囲を強化し、更に純粋な剣撃の威力も150%という優れモノ。
それを更にチャージする事で最大250%まで溜められる。
ちなみに全溜めまでに掛かる時間は通常30秒のところ、半年の修行のおかげでパワーアップした聖剣の効果で15秒だ。
だから、移動の間にチャージするだけでかなりの高威力が出せる。
あれ、俺も もしかして人の事化け物だなんて言えないのかな?あはは…。
「見切り、カウンター!」
「なぁっ!?がふぅっ! …ぐぅ、俺でもそんなの出来ねえぞ…」
「――――ですが、甘ぃっ「分かってんだよ嬢ちゃん!!!」なんっ!?」
見切り、とは、振り下ろされる剣に完璧なタイミング。
つまり、剣と剣がぶつかる一秒の間に発動させると自動で剣術スキルのカウンターも連鎖発動してくれる。
具体的には、カウンターが相手に命中するまでに受ける衝撃を完全無効にしてくれるチート能力だ。
更に、カウンター自体は中々に使われているスキルで、通常発動させるとダメージを負うのは仕方ないがその分高確率で150%の威力での反撃を与えられるモノなのだが、
連鎖発動の場合は与えるダメージ300%になる。
どれだけ強いか分かっただろうか?
簡単にいうと、100ダメージ受ける代わりに100ダメージ与えられるところを300ダメージ与えてダメージ無効。
更に相手が痛みで隙を見せたら一気に形勢逆転だ。
ヤバイだろ?
しかし、滅多に使っている者が見られないのは相手の攻撃に合わせるなんてのはそれだけでかなり難しいのにそのタイミング一秒間に失敗したら致命傷を負うかもしれない状況でリスク承知の見切りを発動させなければならない。
それにどれだけの集中力と覚悟が必要かは…わかるよな。
つまり、どれだけ便利でもそもそも成功させるのが難しいんだ。
そのスキルを、この山賊はさも当たり前のように発動させ、俺の脇腹を切り裂いた。
それだけじゃない。
普通なら成功したら嬉しさと成功した安堵で隙が生まれるところを、それもパーティーで一番の技術者であるアリスの奇襲をスラッシュで相殺した。
「化け物め…!」
「はんっ!こんくらい、10年も修行すりゃあ誰でも出来るようになるさ。」
「………♡ 気に入りましたよ、山賊さん」
「山賊さんって…そういや名乗ってなかったか。俺たちゃ『蒼の剣士団』。まあ、山賊の名前じゃねえな!ガッハッハ!」
「長いので山賊さんで!」
「いいぜ!別に敵同士。そこまで親密な呼び方しねえでほしいしよ!」
………蒼の剣士団?
なんか、引っかかるな。
「さぁ、本番開始だな!」
「正直厳しいがな…!」
やべ、本音がもれた。




