第80話 炎龍王討伐戦 其の二
紅坂:スカーレットちゃんとチノリくんの掛け合いは個人的にラブシーン
虹色:ハートあったしなんとなく知ってたけど真顔で言ってのけるお前は狂人だろ。
紅坂:失礼な!ほら、炎を海水だと思ってごらん?
それはもう海で水を掛け合ってる憎きリア充も同然だろうがぁこのレインボーヘッド!!!!!
虹色:だれが目に悪そうなカラフル虹色頭だよ!!!
勝手に捏造すんな。
「スカーレットォォォッ!!!」
『ほぅ!我の名を覚えていたか、レイアン!』
!?
……まあ、今は置いとこう。
それより戦闘だ!
楽しもうじゃないか!
「俺の全力を受け止めてくれ!」
『喜んで受けて立とう!!!』
火炎魔法…いや。
新技だ。爆炎魔法!
「クリムゾンブレイズ!」
『ガルルルォォオオオオオ!!!』
魔法陣再び展開。
え?MP大丈夫かって?
大丈夫に決まってんだろまだマックスだ。
クリムゾンブレイズは爆炎で全方位覆い尽くす魔法だ。
まあ、エクスプロードの完全上位互換だな。
『それにしてもレイアン!どうやってそれだけの魔力を確保している!?』
「簡単だよ。永続魔法だ」
『…!なるほど、面白い!!!』
だろ?
そういうと思ってくれたよスカーレット。
「ダークバインド起動!ウォーターボール複数展開!ブレイズ・アロー!魔法陣全展開!土砦!ダークネス・ランス!衝撃!二連衝撃!」
『物量攻めか?打ち破ってやる!!!ガルルルォォォオオオオオオオオオオオッ!!!』
…俺の魔法、宣言通りブレス一発で打ち破りやがった。
流石レイドボスなだけはあるなスカーレット!
「対英雄のために8…いや9年前からコツコツ溜めてきた俺の全てだ!」
『ほぅ!そのジークとやらはさぞ強いのだろうな!』
「んなこたぁねえよあんなの雑魚だ雑魚。ただまあ…真正面から殺りあったら俺が百人束になっても即死するがな!ハハハハハッ!!!」
『それのどこが雑魚なのだっ!?』
いーや雑魚だね。
だってアイツ対人戦なら負け濃厚だし。
唐突な解説だが魔法陣と永続魔法の繋がりは登録した魔法陣に刻まれた術式を転移させればいいだけ。
ゼノスとの1件からずっとずっとずーっと密かに貯め続けたこの魔法陣を今、俺は吐き出している。
あ、ちなみにジークとの初戦時はまだ数に余裕ないから出し惜しみしてたら終わった。
「鬼人の重撃!」
『グガァッ!? やる、なァァァァ!』
「ぐああああああああッ!?」
俺の造ったオリジナル魔法。
それはパンチと重力魔法を同時にぶつけるっていう単純な魔法だ。所謂魔法(物理)ってやつ。
ちゃんとした魔法なんだけどね。
衝撃で仰け反ったスカーレットは顔の向きだけ変えてこちらに極炎の光線を撃ってきた。
まあ、こんな至近距離で当然避けられるはずもなく吹き飛ばされながら火傷した。
大火傷どころか直撃してないところまで炭化してたぜ。
「かふっ!ゲホッゴホ…流石、一撃で瀕死とはねぇ…」
『見たところは確かに瀕死だが…なぁ?』
「――――えへへ、<吸血再生>。便利だよねぇ〜」
『いや、我に言われても知らんが…ふふっ』
楽しいなぁ…楽しい。
一回で終わりなんて勿体ないなぁ…。
『たまには体術でもするか。ふんっ!!!』
「なぁっ!?―――ご、がぁあああっ!?」
んなドデカイ尻尾薙ぎ払い、モーション予測なしで回避できる訳ねえだろ!?
薙ぎ払われて上半身と下半身がエグい曲がり方してるけどあら便利。吸血再生で全回復!
お高いんでしょって?なんとこれ一回50程度の吸血値しか使わないですよ奥さん!!!
「一家に一台吸血再生ってなぁ!」
『ハッハハ!ゴキブリでも死ぬぞあの怪我は!』
「おいやめろその単語はトラウマなんだ」
『…すまん』
「まあいいさ」
朗らかに会話しているが状況はカオスだ。
「さぁ受けてみろ俺の必殺!極小太陽!」
『炎龍王でもない者が、太陽を語るなッ!!!』
だからこそ!敢えてだよ!!!
その方が楽しいに決まってる!
極小の太陽と炎龍王の極炎を纏う爪引っ掻きがぶつかり合う。
大爆発と共に超高熱の塊が3つに切り裂かれたが熱に完全耐性を持つ炎龍王の爪を一枚吹き飛ばした。
「傷をつけて見せたぞ、火炎魔法で!今度はお前の番だスカーレットッッッ!」
『っぐ、フッ、フハハハ!中々にやるじゃないかッ!ならば――――見せてやろう』
炎龍王が空高く羽ばたく。
こちらに迫力しかない熱視線(物理)を送ってくるスカーレットはもしかしてだが俺の魅力に惚れたのだろうか?
なら言ってやりたい事は2つ。
1つは、何処の世界に惚れた男を人間なら何回も焼き殺されてる攻撃をしてくるんだバーカってこと。
もう1つは…だからこそ最高にそういうところが大好きですって事だな。
ハハハ!
『無慈悲たる龍王の息吹!』
「………オイオイ、いくらなんでもそりゃあ…」
――――惚れちまうぜ?そんな究極の一撃魅せられたらよぉ…!
炎龍王のまさしく究極の一撃。
その灼熱は国を容易く焦土と化し、惑星すら溶かし尽くす。悉くを焼き尽くすその龍炎は――――。
――――たかが島一つ消し飛ばすぐらい、一秒もかけずに成し得るだろう。




