第79話 炎龍王討伐戦 其の一
間に合わせたよ読者のみんな!!!
長い、眠りについていた。
魔海域の中心部にある孤島、そこに辿り着いて約3000年。
何にも邪魔される事なく穏やかに…生ぬるい日々を過ごしていた。
とある日、外が騒がしい事に気付いて百年ぶりに目覚める。
外から見回し、音の発生源に辿り着くと、どこか見覚えのある風貌をした吸血鬼に出会った。
……名は、確かレイアンだったか?
そんな事を考えながら下を覗き込むと魔物たちの死骸が転がっている。
島を荒らされた…住処を荒らしたのか。
久々だな。
さあ、喧嘩を売られたからには買わなければ!
龍王の名が廃るというものよ!
◇◆◇
驚いた。
コイツ、我のブレスを躱しおった。
流石に…まぐれ、か?
二撃目、三撃目、無駄のない動きで躱される。
有り得ない。これではまるで、次に何をするのか知っているかのような。
…躱される前提で、大技を使う。
やはり、駄目だった。
侮っていた。
本気のつもりだった。
今思えば三千年前は戦闘を純粋に楽しめていた。
……久し振りに、本気、いや。
――――全力を出す。
全力でこの吸血鬼を倒して見せる!
◇◆◇
『グオオオオオオッ!!!』
「……このタイミングでブレスっ!?」
有り得ない!
有り得ない…けど、でも、ありがとう!!!
極炎の塊が俺に着弾、爆発して視界を黒煙が覆い尽くす。
全身が痛みを訴えかけてくるが、無視だ無視。
『……当たった?』
「…………♡」
笑みを浮かべる。
まあ、実際は“獰猛な”がつくんだろーけど。
『黒焦げになって、まだ笑みを浮かべるか!』
「そういうお前も、ゲホッ!…随分楽しそうだぜ?」
『!』
同じく、口が裂けるように笑っている炎龍王を見て問いかける。
「なぁ、お前も愉しんだろ?だったらさ。応えてくれよ!」
『!!! ………フッ、グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』
咆哮をあげてこちらに突撃してくる炎龍王。
それを、俺は――――。
「やっぱり、応えてくれたッ!なら、俺も、真正面から受け止めてやるよおおおおお!!!」
『ガルルルゥオオオオオオオオオオッ!!!』
熱い熱い痛え痛え!痛えッ、けど!
ぜってえ受け止めてやる!!!
「う゛お゛お゛お゛お゛おおおおおおおおおおお!」
『グオ゛オ゛オオオオオオオオオオオオオッ!!!』
押し退け、られる!
掌どころか身体全身燃え上がりやがった!
「止゛おおおま゛ああああれ゛ええええ!!!」
『吹゛き゛飛゛ばさ゛れ゛ろ゛オオオオオ!!』
バーニア!ウィンドフット!
ブラッディ・ブースト!!!
「オラァァァァァァァッ!!!」
『ぐぅっ!ぬぅおおおおおお!?』
――――前に進む動きは、完全に止めた。
いや、気を抜けば今も吹き飛ばされそうなのは変わらないけど。
何をするか。
そんなの決まってる。
「っふぅ!」
『!?』
向かって来ようとする頭を抑えてる両手を離す。
すぐさま構えて、闘気を右腕に這わせる。
――――龍王は覚悟を決めた表情で、より一層極炎の勢いを強める。
「ぜぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」
『グラアアアアアアアアアァァァァァッ!?』
横っ面を、さっき鱗を剥がした場所を殴り飛ばす。
オイオイ、血液活性は切れてねえぜ?
舐めるなよ!
吹き飛んで仰向けに倒れる炎龍王。
しかし、依然として闘志を失っていないのはビリビリと大気を揺るがす“それ”で知っている。
「さぁ!第2ラウンドだ!!!」
『クハハハハ!良かろう、付き合ってやる!!!』
ノリが良くなったねえ、炎龍王ちゃん?




