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第76話 無人島制圧作戦 其の一

私(次話投稿)が来たぁ!




 「――――着いたぁー!!」


 とは言ってもまだ目測15mの距離はある。

 結界魔法で足場をつくり出して船底で必死にオールを漕いでるであろうゴブリン達を呼び出す。


 「お前等!イカリを降ろせ!カイゼル!お前は念の為船を守れ!バルバロト!お前は俺と一緒に3人の部下を引き連れてこい!そしてルビア(付与術士ゴブリン)!お前も待機だ!」

 「グッギャ!(イエスボス!)」

 「グギャ!(イエッサー!)」

 「ゲギャー!(了解しました!)」


 うむ、指示は理解したようだな。


 特に問題が起きる事もなく順調に辿り着いたな。

 …折角なら、ここを制圧して拠点にしようかな?


 うん、いいな。


 「お前等ァ!この島を制圧したら俺達の拠点にするぞォ!いいな!?」

 「「「ゲギャーッ!!!」」」


 ちょっとハウリルっぽい喋り方してみた。

 アイツ柄悪い喋り方するからな。


 参考になる。


 数分後、準備が整った俺達は結界で作った疾風魔法の緑風で緑色をつけて足場を渡った。


 「上陸ッ!!!」

 「「グギャ!!!」」


 島にジャンブで飛び乗る。

 バルバロトとその直属の部下も俺に続いて飛び移った。



 ――――そこは、生き物の楽園。

 上空には巨大な鷲などの鳥…主に猛禽類。

 前方には尻尾が沢山ある狐、俗に言う九尾。

 左右を見渡さなくとも魔物の気配がそこら中からする。


 探知魔法を使えば情報量が多すぎて脳みそ爆発しそうだ。


 「…バルバロト隊、多対一の状態でのみ戦闘を許す。散開!」

 「「グギャァァァ!(イエッサーー!)」」


 ……いや、でもなぁ。

 この魔物たち俺の勘だけどバカみたいに強い。


 探知魔法使わないと囲まれたらワンチャン死ぬぞ…?

 ………クソ。二日酔いばりに辛い事もあるからできればやりたくなかったのに。


 「探知魔法“位置把握”」


 範囲は30m。

 術式は慣れてないからレイアンに補助して貰った。


 ………にも、かかわらず。


 「ッ!? ぐぅ゛あ゛………お゛お゛ぇ゛…」


 最っ悪だ。

 吐き気がする。頭が痛い。


 《思考加速のレベルが上がりました。並列演算のレベルが上がりました。思考加速のレベルが上がりました。思考加速のレベルが上がりました。並列演算のレベルが上がりました。探知魔法のレベルが4上がりました。》



 情報量多すぎだろ…クソがぁ…!

 でも、ギリッギリだけどスキルレベル上がったおかげで少しはマシになった。

 『す…、ん…さ…、…しょ…、…き、で…』


 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁッッッ!?」



 余計な事喋ってんじゃねえ!

 痛え…クソ、が…


 あー、イライラする。

 馬鹿だったなぁ、気軽にこんなもん使うんじゃなかった。


 「――――前言撤回。お前等、散開の必要はない。俺が、一人で殲滅するッ!!!」


 有無は言わさない。

 闘気を微量だが操り、普段抑えてる威圧感を開放する。


 …大量の足音が聞こえる。

 ここの連中は随分と柄が悪いようだ。


 「は、ハハハ!最ッ高!なんか急に気分が良くなってきた!テメェら退()がれ!安心しろ!俺は気分が良い!」


 ――――全員、殲滅してやる。


 「ヒヒッ、ハハハ!笑いが止まらねえ!最高だ!イイねえお前等!向かってきやがった全員ぶちのめして眷属にしてやる!!!」


 愉しい。戦闘は始まっている。

 俺の視界一杯に集まり唸り声や咆哮をあげて襲いかかってくる奴等が堪らなく愛おしい。


 「オイオイ…焦るなよぉ、先ずは重力魔法(ぶっとべ)!」

 「「「「「グルオオオオンッ!?」」」」」

 「んぁ?防いだヤツもいんなぁ、尚良し!覚えてたら待遇良くしてやるぜぇ!!!」


 先ずは吹き飛ばされてから一番復帰の早かった現在俺に飛びかかっている巨狼の顎を蹴り上げて砕く。

 頭の高さまで振り上げた足をそのままカカト落としに変えて巨狼の第三の赤い目に命中させる。


 「ギャオオオォォォッ!?」

 「粘ったなぁ!何より速い!ご褒美にもう一発ッ!!!」

 「ギャァァァィインッ!?」


 そして、吹っ飛んでいく巨狼に追いつくため、闘気をまとわせた脚から追いつくと同時に拳に闘気を移動させ、バーニアを無詠唱で発動させて腹にぶちこむ。


 更に加速して岩にぶつかりグチャッともゴチャッともつかないどちらにしても嫌な音が響き渡る。


 アレは生きているのだろうか?


 「うーんまったくもって爽快な一撃だねえ!!!お前等もそう思うだろ?思うよなぁぁっ!!!」


 だって、そんな楽しそうに俺に飛びかかってくるじゃないかッ!


 「ハァーハハハッ!!!俺をもっと愉しませてくれよ!!今、最高に、今までにないくらい気分が良いんだ!そう、()()()()()()()()()()!」

 「ガァオオオオオォォォ!!!」「クェエエ――゛エ゛エエェッ!!!」「ギュゥゥゥーッァアアアァァ!」


 魔物の声が四方八方から聞こえてくる。

 全員活き活きしてるようだ。


 「良い返事だ!ところで、ここじゃあ狭い。それじゃ嫌だろ?だから――――場所を変えようか。」パチンッ

 「「「「「―――――――ッッッ!?!?!?」」」」」


 凶悪に嗤う紛れもない吸血鬼が指を鳴らす。

 と、同時に魔法陣が浮かび上がり、術式が超高速で構築され、空中にまで数百もの魔法陣が侵食する。


 「…っ! ガ、ガァオオオオオ!」

 「おっ、待ち切れない?俺もおんなじだ!気が合うっ、ねえ!!!」

 「ガァァァッ!?」


 あまりの魔法陣と魔力の量に呆ける魔物たち。


 しかし、このままでは不味いと判断して我に返った腕と目が4本ある魔熊が吠えながら風魔法との合せ技である“風爪”を放つため接近、無事発動まではいった。…が。


 両手を大きく広げたチノリはそのままのボーズで無詠唱の疾風魔法、吹キ荒レル(グリーン・)大緑鎌風(エアカッター)を風爪が命中する前にそれごと魔熊を切り裂いた。


 「うん、前座にしては楽しめたよ。熊五郎。じゃ、準備も整ったしさっさと移動しようじゃないか!」


 熊五郎は即席で名付けた名前だ。

 在り来たりだろ!


 ――――白光が数百匹の魔物たちを覆い尽くす。


 「――――中々に、いい立地の島じゃないか。」


 300を軽く超えた数の魔法陣の中には探知魔法の魔法陣も存在した。

 そして、ほぼ完全把握した島の中で一番戦いに適した立地に転移したチノリ。


 結果に満足したのか頷きながら未だ困惑している魔物たちに語りかける。


 「なに呑気にしてんだよ。折角イイ気分なんだ、さっさとやろうぜ?」

 「「「! ――――ガオオオオオオオオオオオオオォォォッッッ!!!」」」


 後悔させてやる、魔物の思考は1つにまとまった。


 ――――戦いが始まる。

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