第70話 初仕事 其の一
よいお年をメッセージの2話投稿!
みなさん、どうやらこの赤い人、明日新年って事を忘れていたらしいっすよ。
これからも、吸血鬼転生をよろしくお願いします!
「よし!船を漕げ!…イカダだけど!」
「「「ゲギャァァッ!!!」」」
急いでイカダを漕ぎ、水魔法のアクアエッジで加速する。
5分くらいかけて辿り着き、船の最後尾に無属性の魔弾で穴を開けて入り込む。
「おまえら、よく聞け!抵抗しなければ荷物の半分以上は奪い取ったらだめだ!あと、人間の犠牲は最小限!何が言いたいか?つまり非戦闘員を襲うなってことだ!わかったら返事!」
「「「ゲギャァ!」」」
「良い返事だ!食料と道具最優先で奪え!俺は戦闘員をボコボコにしてくる!」
「「「ゲギャァ!」」」
うむ、良い返事だ!
こいつらホント頭いいんだよな。
足し算引き算教えたら三日でマスターしたし。
最近は文字の読み書きを覚えさせてる。
こいつらには出来れば俺がいなくなった後も生き延びて欲しいし、な。
「いいか、なるべく気づかれるなよー」(小声)
「「「ゲギャ?ゲーギャー」」」(途中から小声)
………ホント学習能力やべえな。オイオイ。
「ん、あぁ。水入って来てんな。あ!おいお前等、そこの穴のところとイカダにロープ括り付けとけ。」
「「「グッギャ」」」
入ってきた場所は…どうやら、傭兵用の荷物置きっぽい。
予備の武器とか防具があったから間違いなさそうだ。
そして、その内の鞄の中にあったロープを投げてやる。
急いでゴブリンたちの数体がイカダの方に泳いでいった。
「よし、先ずはこの部屋から盗んでいけ?」
「「ゲギャ」」
この部屋にめぼしい物はなかったな。
とりま居るであろう護衛をよくて気絶させよう。
◇◆◇ 船内探索中のゴブリン視点
ボスが部屋を出ていった。
俺の名はカイゼル。ゴブリンの特殊個体らしい。
こいつらが生き残れたのは割と俺の存在が大きいと思う。
「よし、お前等!食料を探せ!」
「「了解です!リーダー!」」
※実際はゲギャゲギャ言ってます、あと、こやつらの中では1番偉いのがボス、二番目がリーダーになってます。
乾燥した肉を14個、冷めたパン4個、水筒3つを獲得。
探索中に鞄ごと盗む…いや、奪ったものもあった。
あとは予備の武器。
あれは必須だ。何故なら俺は進化したときから持っているサーベルがあるが部下たちは赤い鉢巻くらいしか装備していない。
取り敢えず、短剣3つと片手剣1つ、丸い盾をゲットした。
俺も一先ず『魔樹の盾』を装備した。
どうやら装備していると魔法で受けるダメージと与えるダメージが30%上がったり減ったりするらしい。
道具はロープ3本と鉄の塊1つだ。
「よし、この部屋はこれだけでいいだろう。一旦イカダに運び込め!」
「「「イエッサー!」」」
荷物を鞄に仕舞ったあとに部下たちが背中に担いでイカダに運んでいく。
残ったのは3名。
「各々武器を構えろ、人間はさっき手に入れたロープで縛って無力化だ!ゆくぞ!」
「「「イエッサー!」」」
ロープは一本あたり広げると目測4mの長さがある。
やはり、ボスに教えてもらった数字というものは便利だな。
流石ボス!
◇◆◇ 引き続き視点 位置:護衛用荷物部屋外の廊下
開けっ放しの扉から廊下に出る。
『日本語』で船内を探索する、お前等は出口を死守せよ、と穴の側に爪で描いて置いたので戻ってきた奴等が迷子になる心配はない。
「右左確認、よし!」
「「「よし!」」」
「散開…はできないな。右側通路を探索する!爪痕を残せ!」
「「「イエッサー!」」」
レアゴブリンになってから俺の部下達は爪が少し硬くなった。
ので爪で『探索済み』の印をつける事ができる。
そうボスに習ったのだ!
俺が左右を警戒していると部下たちは仕事を終えたようだ。「完了しました!」と報告をしてくる。
「よくやった、では、次の部屋を目指すぞ!」
おっと、忘れていた。
最初の部屋にサーベルを突き立て、引き抜く。
「………総員、武器は構えたな?」(小声)
「「「イエッサー」」」(小声)
「では、突入ゥーッ!!!」
「「「イエッサー!!!」」」
扉を蹴りで破壊、サーベルを握る力を強くして上下左右を確認。
「…敵は見つけたか?」
「「「敵は見つかりませんでした。」」」
「俺もだ。必要な道具を最低限奪ったら出口に運んでいく!返事は?」
「「「イエッサー!」」」
敵影はなし。
必要な道具も釘を除いてなかった。
しかし、『ベッド』とやらが沢山置いてある。
どうやら寝室らしい。
「俺達のとは大違いだな。これは持っていけなさそうだ。釘を回収次第部屋を出るぞ。革袋の中に入れておけ。」
「「「了解しましたっ!」」」
数秒後、回収が終わり俺の後ろに部下が集う。
「「「完了しました!」」」
「うむ、では行くぞ!」
先程破壊した扉を踏みつけて部屋の外にでる。
「右左確認!」
「「「確認!敵影…見つかりません!」」」
「同じく。次は『武器庫』に向かう!我々の船は随分小柄だ。設備を強化する必要があると言っていた!俺が一人で武器庫に向かう。散開だ!お前等は木材を運べ!」
「「「イエッサー!!!」」」
とは言っても廊下を出て暫くは部下と一緒だ。
俺達は片っ端から扉を蹴飛ばし爪痕、サーベルの切り傷をつけて進む。
道中で魔道具鑑定スキルを持った部下が『魔力回復の指輪』という装備を発見した。
これはボスに『プレゼント』だな。
「――――階段、か?」
「「「そのようです。」」」
「らしいな。気をつけろ、上の階には恐らく人間がいる。数が勝っている場合、力量で勝っている場合のみ戦闘を行うように。…俺は、階段の向こうにある武器庫に行く。」
「「「了解しました。リーダー、気をつけて!」」」
「分かっている。」
突き当りにある大きな扉の部屋。
そこには、ボスの教えてくれた『人間語』で武器庫、と書かれていた。
部下は足音をなるべく消して階段を登ったあと。
慎重に、素早く扉を開きサーベルを構える、と。
「――――誰だ?」
……どうやら、武器庫にはボスの予想通り人間が居たらしい。




