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第66話 兎田律vs赤島チノリ 最終戦 後編

世は大海賊時代ッッッ!!!(次の予告)




 「…っぐ…生きてる、か。」


 目が覚めたチノリは、一先ず己が生きている事を確認する。場所は…風景はクレーターが出来てたり周囲のや木々が枯れてたりして大分変わったが間違いなくあの場所だ。


 

 移動はしていない。

 バルバロトの死体は見るに堪えないほどボッコボコのグッチャグチャだ。


 「……吐き気もねえのかよ」


 そういえば、何故自分が喋っているのだろうか。


 「………あ。そうか。魔力切れでレイアンが封印されたのか。」


 封印。

 恐らく似たようなモノは施されているだろう。

 あの空間は異様すぎるのだ。


 そして、最初と比べてだいぶ封印率的なものが下がっている。


 最初が99%だとするとvsジークのときに97%。

 ワイバーンの群れ相手で95%。

 そして今回では…多分90%くらいだろう。


 話が逸れた。


 「あ!ハウリルの方はどうなったんだ!?」


 自分で吹っ飛ばしておいて忘れる…のは酷すぎるな。

 うん。流石にね。

 まあ詳しく言えばレイアンがやったんだけど。

 改めてややこしい体質だぜ。



 辺りを見回すが特に魔物、モンスの類いは見当たらない。

 かといってハウリルがこっちに来ている訳でもない。

 ウサギ耳も居ない。


 「…どっちが勝ったんだよ」


 考えても無駄だな。

 無駄無駄無駄ァ!

 じゃねえ、肉の芽に侵された。


 と、兎に角一旦ハウリルの居るであろう獣人村の正門に行こう。

 …門っていうほど立派じゃないと思うけどさ。




 ◇◆◇




 「………嘘だろ」

 「あれれ〜?もしかして、団長負けちゃった?」

 「………ハッ!? それ、よりだ。折角二人っきりになったんだ。―――同郷のよしみだ。情報共有と行こうぜ」

 「ッ!? ………やっぱり、か。」


 ハウリルがやられている。

 信じられない。


 あのハウリルが、ウサギ耳相手で大した怪我も負わせられてないだと?


 …魔道具、か?

 あのウサギ耳自体はそこまで強くなさそうだが…。



 取り敢えず、情報共有のお誘いをしてみた。


 俺が異世界人だという予想はしてたみたいだな。

 この様子なら…いける、か?


 「残念だけど〜、そのお誘いには乗れないな〜」

 「…何故?」

 「だって〜、私、奴隷だもん」

 「………そう、か。仕方ねえ、やってやる!」

 「そうこなくっちゃ〜」


 そういや、首輪してんな。

 従属の首輪か。魔道具ってヤツだな。


 勝てるか?

 ………やるしかないんだ、そんな弱気な事を考えてる暇はねえ!


 「先手必勝ぜったい死ね死ねアターック!」

 「レイアンの声でされると違和感凄いね〜。」


 うるせえやい。

 とりま<血弾>を放ってみた。


 当たればいいなーくらいの感じで。


 「ユニークスキル〘遊戯ノ世界〙」


 …は???


 ちょっとまて、そんなユニークスキル聞いたことも見た事も――――。


 「二段ジャンプ、からの、雷竜の籠手“電撃(エレクトリック)”!」

 「…なんだよ、それぇっ!?」


 気付くとウサギ耳は二段ジャンプを魔法も使わずにして、さも当然のように稲妻を纏う拳で俺を殴り飛ばした。


 ドゴォオオンッ!!!


 「がぁっ…!?」


 後頭部、だけじゃなく背中側全体に強い衝撃を受けて血反吐を吐き出す。


 (お、おいおい!?いくら何でも吹っ飛び過ぎだろ!?)


 そこまでの威力のあるパンチじゃなかったぞ!?

 …どういうユニークスキルだよ。


 これじゃ、まるでゲームみたい…!?


 「ま、さか…?!」

 「そう。私のユニークスキルは格ゲーとかだと出来るような事は大抵できるっていう能力なの〜」

 「クソったれが。不公平の神め」

 「…?」


 それで、二段ジャンプにノックバックのある攻撃ねぇ…。

 りっちゃんさんが欲しがりそうなスキルだぜ。


 俺にはなんのユニークスキルも用意しなかっただけじゃなく弱体化まで施したらしいのに。


 どこまでも神は不公平だ。


 「<血弾>!…使えないっ…!?」

 「そりゃあ、クールタイムくらいあるでしょ〜」

 「<血槍>!…これは、使えるのか」

 「えいっ!…そろそろ本気で行くよ」


 本当に面倒臭い相手だなぁ!

 やってやる。闘気の扱いも上達したんだ。


 やれる。やれるはず。

 二段ジャンプは…飛べる俺には恐らく関係ない。


 「<血液活性(ブラッディ・ブースト)>!<大血弾>!<闘血>!<血盾>!<血剣>!<操血>っ!」

 「相性が悪かったね。――――雷鳴(ライトニング)ッッッ!!!」

 「当たれ―――がぁあ゛あ゛ああああああっっ!?」


 考えも、しなかった。

 感電した、だと!?!?


 嘘だろ、ちゃんと雷は避けたはずなのに。

 血を操るったって、距離もかなり…っ!?

 そうか、ブラッディ・ブーストの方か!


 クソっ、これじゃ身体強化系統が何一つ使えない!?


 「まだまだっ!強化(オーバー)紫電(エレクトリック)!」

 「ぐぁっ、ぁあああああ!?」


 紫色の雷が感電して麻痺状態、つまり動けない俺の身体を貫く。



 レイアン:状態:麻痺(大)



 最悪だ。

 麻痺(中)が強化された。


 「――――絶技“大海”!!!」

 「それは…悪手じゃない?雷鳴(ライトニング)!」

 「飲゛み゛込゛め゛え゛え゛え゛ええええええぇっ!!」


 舐めるなよ。

 レイアンが1度やったおかげで俺は〘血染〙を完璧に扱う事が出来るようになったんだ。


 絶技“大海”だって、偶に失敗するが殆ど成功できるようになった。


 大海を、水魔法だと思ってるようだな。


 前は覚えてなかってあの威力。

 重力魔法、疾風魔法、水魔法、ユニークスキル、結界魔法まで使用した。



 重力魔法は身体の動きを阻害、あわよくば押し潰す役割。

 疾風魔法は大海の中で水流をつくる、そして切り傷を作りある一定から逃さない強風を吹き付ける役割。

 水魔法は大海の水量補助の役割。

 ユニークスキルの〘血染〙で大半の制御と血の生成。

 結界魔法で逃さない壁を作る、あと範囲を指定する事で大海の威力を余すことなく伝えるのだ。



 想定通り決死の“大海”がライトニングを打ち消し、むしろ飲み込まれたウサギ耳を感電させている。


 なんで分かるかって?

 そりゃあ、大海は俺が操っているんだ。


 当たり前だろう。


 え?なんで魔法が使えるのかって?

 …騎士団長殺した時、昼。

 今、夕方。


 これで分かるだろ。

 まあ、折角の魔力も殆ど残ってねえけどよ。


 「かはっ…ごほっごほっ!けほっ…流石に強いわねッ!」

 「がぶふぅっ!?」


 未だ麻痺で動けない俺に首飾りの魔道具で麻痺をレジストしたウサギ耳…もとい、兎田律の右ストレートパンチが鳩尾にキマる。


 血反吐をはき、ふっ飛ばされて木の幹にぶつかる。

 受け身もろくにとれかったせいで激痛が走る。


 「ようやく、終わった!」

 「…チッ」

 「くぅらえええええ!」

 「っふん!」


 だが、麻痺が解けた俺にそんな事関係ない。

 無視して接近、二段ジャンプからの滑空パンチをお見舞いするが両腕で防がれる。


 反動で対空時間が少し生まれたのですかさず回し蹴りを食らわせ、防御する邪魔な両腕を弾き飛ばす。


 「うっりゃあ!」

 「なにぃっ!?」

 「<大血弾>!!!」

 「あがぁっっっ!?」


 無防備な腹に容赦なく特大サイズの血弾をぶつけ、衝撃を全て受けたところで俺の蹴り上げがクソカスりっちゃんの顎にあたる。


 脳震盪でも起こして死ねよ。クソカスの

りっちゃん(笑)がよぉ


 「うらぁ!」

 「―――大振りすぎ。折角のコンボなのに抜け出されちゃったよ?」

 「かっ、はっ…!?」


 腹を殴られ、後ろに70cmほど飛ばされる。


 「えい、とりゃ、ふん!止め(紫電纏拳)!」

 「がぁっ!?ごほぉっ!ぐぇえっ!?う、がぁあああっ!?」


 右腕を掴まれ、鳩尾を殴られ、ノックバックした瞬間掴まれていた右腕を引っ張られる勢いのまま膝蹴りが再び鳩尾に入り、息もできない状態のまま気合の入った言葉と共に紫色の電流を纏った拳がフラフラして倒れそうな俺の左頬に命中する。


 30mくらい吹き飛ばされた先に偶々あった大岩を破壊し、俺の身体も背骨と首の骨と右腕と肋骨3本と腹の筋肉と肺をやられて死にかけだ。


 まあ、吸血鬼の時の再生能力(血染に引き継がれた)で数時間かければ治るのだが。


 「…がふぅっ、<吸血再生>、<止血>、<操血>」


 <吸血再生>で吸血値を使用して身体の細かい傷の全てを治療する。

 その後、<止血>の勢いと制御を<操血>で強化、補助して更に<吸血再生>で骨折も全て治す。



 レイアン:吸血値:120/1500



 …はは、絶望的だな。

 これで勝てるかよ。


 「ねえ〜、凄いでしょ?ワンゴンボでこれだけダメージ入るのよ〜」

 「…マルチ・ブラッディ・レイ」

 「雷壁(サンダーウォール)


 ズガァァンッッッ!!!


 ジーク戦のとき以来に使ったこの技だが、見事に防がれる。

 速度もそこそこなのでかなりの初見殺し技なのだが。


 「――――終わりだよ。同郷の人間?を殺すのは流石に忍びないけど…勘弁してよね。」

 「………っっふぅー」

 「………?」


 『来いッッッ!!!プルー!!!転移しろ!!!』

 『――――了解しました。レイアン様』


 「!?!?!?」

 「さーて、形成、逆転だ」


 ――――瞬きの後、既に俺の斜め後ろには巨大なスライムが佇んでいた。


 『マジック・リジェネ』


 「助かる。そして、重力魔法(吹っ飛べ)

 「きゃぁぁ――――!?」

 「はん!ド変態がいっちょ前に可愛らしい女子みたいな叫び声出してんじゃねえよ兎田律!」

 「……かふっ…そういう君は…もしかして、チノリくん?」

 「正解だ」


 マジック・リジェネ。

 その名の通り継続でMP回復してくれる魔法だ。


 全く、プルーはとことん優秀な後衛サマだぜ。


 「……そうか〜。死ねっ(ライトニング)!!!」

 「マジック・バリアッ!」


 『ファイアウォール』


 ライトニングが、マジック・バリアを貫通しかけた瞬間電流を炎の壁が妨げる。

 爆発は起きたがマジック・バリアにより防がれた。


 「ふふふ、あははは!見せてあげるよ、必殺技!」


 そういってリツが両腕天に掲げる。


 「天よりいでし神の雷よ、我に仇なす者に鉄槌を!黒雲生成、サンダーボルトッッッ!!!」

 「なぁっ…!? くっ、マルチ・マジック・バリアァァァ!!!」


 『ッ!? 樹木魔法(大樹に育て)!ファイアウォール!ミラージュ・バリア!エリア・ヒーリング!エリア・マジック・リジェネッッッ!!!』


 空を黒雲が埋め尽くし、轟音と共に数千本もの雷が降り注ぐ。

 そして、その全てがプルーとレイアンを狙っている。


 伸びてきた大樹が雷を誘導するが一瞬で黒焦げになり、炎の壁は大爆発を引き起こし3人?を飲み込んだ。

 反射の結界は鏡の割れるような音と共に一発不完全に跳ね返すだけで崩れ去った。

 そして、その後にマルチ・マジック・バリアが展開される。

 合わせるようにプルーが範囲継続回復のフィールドをマルチ・マジック・バリアの中に作り出した。


 その3秒後には魔力を回復するフィールドも展開されている。


 「うお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ……」


 雄叫びと共に無詠唱でマジック・バリアを作り上げ続ける。

 数分後にはプルーもレイアンも同様に魔力が尽きかけていた。

 総数約500枚。しかし割られた数もそれと同じ。


 「ぐぁああ! クソが!オリジナルバリア“ダークネスフィールド”ッッッ!!!」


 …結果は、相殺。


 どうにかなった。


 が、プルーが気絶した。

 退場速度早すぎっしょ。


 あんなに格好良く登場して置いてさ。


 「…どうした?魔法は撃ってこないのか?」

 「そーいう君こそ〜、お得意の魔法を撃ってきたらどうですか〜?」


 は、ははは!

 どうやら同じタイミングで互いに魔力切れしたらしいな。


 …厳密には違うが。



 「っらぁ!」

 「せやぁっ!」

 「「ぐぁ!」」


 ただのパンチ!

 向こうは兎の筋肉活かしたキック!


 俺の横っ面に見事に命中したが、同じく俺も躱す体力も残ってないリツの横っ面にパンチを入れる。

 …俺の方が若干ダメージはデカイ。


 「はぁあああッッッ!」

 「がふぅっ!? ―――喰らえ!」

 「きゃっ!?」


 必殺!SUNA()KAKE(かけ)アターック!!!

 卑怯?姑息?なんとでもいうがいい!


 体術じゃいくらレイアンにしごかれた俺でも負けるんだよ!


 「そして――――今だ!」

 「ッ!」

 「鎌風(エア・カッター)!」

 「っぐぅぅ…!」


 よっしゃあ!

 利き手の肩潰してやったぜ!


 「…こ、こで、決める!!!」

 「ッ!? 削ギ落トス五十ノ(フィフティ・)大鎌旋風(エア・カッター)!!!」

 「――――グランド・サンダーボルトッッッ!!!」


 圧倒的な数と質量の風の鎌。

 …が、巻き込まれ、吹き飛ばされ、飲み込まれる。


 (ッ!? これは、やばい、死ぬ!?)


 「クソカスがぁああああ!!!」

 「――――ごめんね」


 『させない!座標無指定長距離転移(ランダム・テレポート)!』






 ――――俺の意識は黄金と白の光に包まれたところで、途絶えた。

あり(っ)たけの〜ゆーめを〜かきあつめ〜探しもの〜さぁがしぃにーゆぅくぅのーさー。

わん○ーす

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