第59話 近衛騎士団vs獣人村 ⑤
クロエとかいうヒロインの正式名称はセレシア・クロエですよ
「落ち着いて逃げろ!」
「騎士の方にはハウリルが向かってる!大丈夫だ!」
「魔物が出ても俺達なら余裕だぜ!だから身体強化はするなよ?ぶつかったら痛いからな!」
頼もしい若者達、具体的には7人が周囲を常に警戒しながらも村人を安心させる発言をする。
そのおかげか村人は慌てることなくプルーとムートの新居に向かっていた。
……多重身体強化を常に施して獰猛な顔つきで獲物を構えていたら魔物でも近寄らないだろう。
少々?過保護な護りを見せながら獣人村の面々はこのタイミングで運悪くブラッディ・ベアに出会う。
「「「ッッッ!?」」」
「……落ち着け。俺らなら一瞬だ。それより、騒いで居場所をバレないようにしような?」
「「「………」」」 コクコク
無言で頷く村人達をみて満足気な表情を浮かべ、7人の内の二人が前に躍り出る。
多重身体強化して剣を握りしめ、喉を一瞬で切り裂くグレン。アリガーが念の為、胸に剣を突き刺して戦闘は1分もかからずに終わる。
「ほらな?一瞬だったろ!」
歓声…はあがらなかったが村人はより一層安心したようだ。
◇◆◇
「プルーさーん、ムートさーん!出てきてくれ!」
『はい。レイアン様の念話で話は聞いています。早速転移しますので、列に二人一組で並んでくださいね。』
「「「はい」」」
こうして、村人の避難は終わった。
−−−
『光の騎士アルバート』が裂けた地の底から這い出てくる。
……と、いう表現は正しくないだろう。
跳躍とは少し違うが、それで一気に上がってきたのだ。
マ○オみたいに。
「この力…団長の『生命』の力に似ているな。そうか!きっと『光と生命の女神』様が俺を助けてくれたんだ!」
こうやって狂信者は産まれるのだろうか。
とはいえ恐らく正解である。文句は言えないだろう。
「この力で…先ずは、仲間の仇を打つ!」
ハウリルの進行方向に遅れて進み始めた。
――――文字通り、光の速度で。




