第50話 人狼vs鬼 その終
(あり?なんか、お試しで使ってみたル○ナが案外楽しい?復帰力よわよわおじさんどもをいじめるのが楽しいな。うん。……ウワキジャナイヨ)
獣が、孤高の狼が唸り、吠える。
「遂に、全力か………む?ああ、スマン。もう時間らしい。名残惜しいが頼むぞ、チノリ。」
「ガァルル…ガオオオオオオオオ!!!」
最悪のタイミングで活動限界を迎えたレイアンが、悔しそうな顔を一瞬浮かべて、しかしすぐに表情が消える。
「………は?え?いやいや、え?………嘘じゃん。」
「ガァァァッ!!」
「クソ!物理障壁ぃ!」
結界より魔力消費が多く、そして物理攻撃への耐性がかなり高い障壁を繰り出して白狼の引っ掻きをなんとか防ぐ。
呆然としながら八歳児を信じた自らを心の中で呪い、ウォーターボールでけん制する。
「グルルルッ!」
「じ、ぞくぅー、はぁ、助かった。」
念の為持続させて置いた判断に助けられ、物理障壁が割られるが、相殺で済んだ。
隙が、ほんの一瞬できたのを感じて白狼の腹部を蹴り飛ばし、地に叩きつける。
(それにしても、最後レイアンが飛行しててくれたおかげで跳躍、からの攻撃って感じで準備する時間があるの助かるな。なんなら落下ダメも期待出来るし。)
「グルルル…、――――ガオオオオオオオオオオ!!!」
「は?――――ぐわぁあああああああっっ!?!?」
前言撤回前言撤回!
なんだ今の!?
ふっざけんなよ!?吹雪ブレス…とでも言うのか?
クッソが!そんな技隠し持ってやがったのか!
心の中で悪態をつきながらレイアンが途中からマジックバリアを展開、服が凍りついたり腕を切り落とさなくてはならなくなったり。
最悪だ!と考えながらも吸血鬼の再生能力は〘血染〙で引き継がれているので失った四肢はすぐに治ってくる。
久々の再生能力に改めて便利さを実感しつつその間にも火魔法で攻撃の隙を与えない。
「グルルル…グル、グルルッ…」ブチッ
「ほへ?」
「ガアアアアアアアアアアアッッッ!!!」
「っ!? マジックバリア!」
ヂヂヂヂヂヂヂヂヂ! パリィン!
「んなっ、―――ぐお、あああ!?」
吹雪ブレスが魔法障壁を覆い尽くし、レイアンの視界は一面真っ白だ。
やがて、魔法障壁が完全に凍結し、そして、割れた。
(ああ…結構、いやかなり勢いがあったんだな。)
全身が凍りつく、中で。
(魔力消費激しいし制御も怪しいけど、賭ける価値は、あるよな。)
「――――がぁああああ!じゅ、うりょく、まほー!」
範囲を指定。
方向は、白狼に向けて、真っ直ぐに。
威力は、重さ、3tくらい。
早さは、時速、50kmくらい。
細かく範囲を指定。
太さ、この吹雪ブレスと同じくらい。
距離、白狼、個体名ハウリルまでの距離。
持続時間、相手が降参を認める、対象が気絶、もしくは戦闘不能状態になるまで、そして、死ぬ前。そして、外した場合は30秒
術式は、ええと、速度補助型で。
「止めだぁああああああ!!!」
「ウオオオオオオオオオオオン!!!」
重力魔法、名前は…グラビティ・ビームとかでいいか。
そんなくだらない事を考えて、レイアンの思考が掻き消える。
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場所:霧の森西部:獣人村外れ
内容:人狼と鬼の決闘
勝敗:ハウリルの勝ち




