第43話 三色揃って地獄を見るぜ②
唐突ですがストック切れたので3日に一回投稿になります(-_-;)すいません。
ある程度ストックできたらまた1日一回になると思いますので頑張ります!
「プルー、ムートと一緒に来てくれっ!!最悪コイツラ殺せばっ、ぐぉあっ!ワイバーン、どもを退けられる…!」
『………………了解しました。』
距離が離れている上にレイアンが念話を習得していないせいで返事にラグができる。
そして、宣言通りプルーとムートが次の瞬間レイアンの横に現れた。
転移魔法様々である。
「……転移魔法か。プルー、一先ず俺の回復を頼む」
『分かりました。ムート、仮にも竜なら劣等竜如き足止めしなさい。』
「グルルル…ガァオオオオオオ!!」
「「「ギャアオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」
唸り声をあげたムートがグレーターウォールで壁を創り出し、その上に軽々と跳び乗って風ブレスを3発放ってそれぞれ牽制する。
その間に俺はプルーの治癒魔法、グレート・ハイヒールで傷を癒やす。
自然再生が使えないだけでここまで不便だとは…。
『…火魔法、バーニング・フレア』
「ギャオッ」
プルーがムートの防ぎ切れなかった赤の火ブレスをバーニング・フレアで相殺する。
爆風がこちらまで来てビビりながらMPの回復を待つ。
「……キタキタキタァーッ!トルネード・サイクロン!」
「ギャアオオオオオオオ!」
巨大な竜巻がイエローワイバーンの口から放たれた雷を巻き込み、威力を増したそれが三色のワイバーンを切り裂いた。
迸る雷光は三色の劣等竜を怯ませ、見出した隙を突いてムートが風ブレスを、プルーがブレイズ・アローをそれぞれ食らわせて追撃を成功させる。
(イケる、これで勝つる!じゃなくて、そう、油断するなってあれ…これ、フラグ「ギャア、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」〜〜〜っっ!?)
順調だったはずなのに、奴は、レッドワイバーンはレイアン達の完全な意表を突く形で、突如死角から咆哮と共に巨大な火球を吐き出した。
ムートは魔法も間に合わなければブレスも撃てない。
かと言って回避行動を取る余裕もない。
プルーは行使した魔法がそこそこ強力だったのが裏目にでて。
知覚できえも身体大変化で盾になるという考えすら浮かばない。
なら、レイアンは?
ギリギリで生み出そうとした、時間稼ぎにもならないエアガン。込められた魔力は本来強大で桁違いなはずで。
《エラー:MP残量がありません。魔法を構築できません》
トルネード・サイクロン。撃つべきタイミングを完全に間違った事に気付いて。
死。
――――死が、近づいてくる。
風を突っ切り空気を飲み込む轟音が耳に入る。
――――死が、近づいてくる。
プルーとムートが互いに庇い合って、されど吹き飛ばされる。
――――死が。火球が近づいてくる。
頭によぎる死のインスピレーション。
(――――嗚呼)
火球に、この身を破壊され焼き尽くされるのか。
親友等と同様に。吹き飛ばされるのか。
それとも、微妙に外れた場合は爆風で吹き飛ばされるだけで?いや、あのサイズならむしろそれだけで骨が折られて、熱風で火傷して、再生できずに死ぬだろう。
死の恐怖に喘ぎながら。
それとも、もしかしたらそれを躱せたとして地竜の巨大な屍が飛んできて潰されたり?笑えないな。
死。死、死、死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死『ムートが地に叩きつけられる』死死死死死死死『突如木が生えてくる』死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死『プルーがバウンドしながら木の幹に着弾する。』死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死『バッティの姿を思い出して』死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死、死がよぎり、死が襲いかかる。死、死死死死死死死死死死死死死死『火球が眼前に迫る』――――。
ぁ、ぁああああ『足音が聞こえる』あああああああああああああああ『逃れようとするが姿勢を崩す』ああああああああああああああああ!?
「うぁあっ?!い、やだぁあ!」
爆音が響く。黒板を爪で引っ掻くような嫌な音がその直前に、聞こえた気がして。
視界が黒煙に埋め尽くされる。肌を焼くような熱は不思議と感じない。代わりに、誰か、ココ最近よく聞いているような声が…?
「だいじょうぶ?レイアン。」
「――――? ぁ、チェシャ、か。」
「ん!似たような出会い方、良くするよね。」
「…はは。そうだ、な。」
全身から力が抜けて、心底安心しながら。
「ありがとう、チェシャ。」
感謝を伝えて。
「ん、どういたしまして」




