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第36話 後衛の戦闘

裏話2:ジークくんはレイアンと戦ったときレベル1だった。



 俺達の役割は遠くから弓をワイバーンの翼に当てるだけ。地味だが重要な役割だ。


 簡単にも思っていたんだがなぁ…。

 俺達には発達した“目”がある。

 だから、当てるだけなら簡単だし場所を指定されても余裕だ。…が、対象が動いていたらそうじゃない。


 比較的器用なヤツラが集められてるからイケると思ったのに、動いてるだけで難易度がとんでもなく上がるんだ。


 「………………そこ、だっ!!」

 「ギャオ!」


 それに、仮に当てられると確信できる軌道でも避けられたり弾かれたりもする。


 そして、問題はそれだけじゃない。


 「……クソが!当たりゃしねえ!」

 「ギャオッ♪」


 集中力が切れてくると外す度にムカついてくるんだ。

 空気が悪いのは冷静な奴なら誰でも気付けるくらいには。



 「ギャオオオオオオオオオッッッ!!!」


 「ブレスだ!」「大丈夫なのか?!」「流石にここまでは届かねえだろ…?」


 「ん!だいじょうぶ!――――マジックバリア!」



 薄紫色の半透明な壁が火球を弾き飛ばした。


 俺が矢筒から麻痺矢を取り出して構えたりしているとペルシャ(猫獣人)が先程のワイバーンを撃ち落とした。


 「よっしゃ!」「ナイス!」「俺も負けねえぞ!」


 一連の流れで少し空気が良くなった。


 麻痺矢は相当低確率なようだが撃ち落としたワイバーンが偶にそのまま落下死しているのを見るに効果はある。


 「………よし、そこだ!」

 「ギャオッ!?………ギャ。」


 おお。命中したと思ったら死んだ。

 麻痺矢便利だな。今後の狩りにも取り入れよう。


 「――――!? みんな、速く構えて!―――よし、射てええええ!」


 現れたレッサーワイバーンの上司であるワイバーンの中でも色持ち一歩手前にあるビッグワイバーンが約百匹の部下を引き連れて上空に現れた。


 慌てて指揮を取ったチェシャの言葉に従い後衛全員が迅速に弓矢を構えて、放つ。


 約50本ほどが命中し三十匹が撃ち落とされた。


 「前衛、行って!」

 「「「了解だ!」」」


 前衛の一部の実力者が多重身体強化を使用してレッサーワイバーンを一瞬にして蹴散らす。

 数十分後には五十匹全員撃ち落とす事に成功したが前衛の討伐速度が追いついていないようだ。


 「ギャアオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!」

 「「「あぐぅっ!?いぎぃ…ぎゃあああ!?」」」



 咆哮の凄まじい音圧で思わず弓を落とし、耳を抑えてのたうち回る後衛たち。

 幸いにも身体強化を使っていた前衛には多少の影響しかなかったようだ。


 「ギャオオオオ…ギャアオオオオオオッ!!!」

 「チィッ!マジック、バリアぁああ!」


 再び展開された薄紫色の壁が超高熱の大火球により粉々に粉砕され、俺含めた後衛が大量に爆風に飲み込まれた。


 「「「うわぁあああああ!?」」」


 「………ぅ、ぐぅ…治癒師、来て!」

 「「言われなくても!」」


 急遽駆けつけた治癒師が荷車にけが人をぶん投げて運ぶ。道中でもヒールはかけているようだ。


 (く…そ…がぁ…)


 「ま、だ…やれる!――――“矢雨”!」


 全力を込めて複数の矢を引き絞って、放つ。

 3本の魔力を込められた矢がやがて十本に増えてワイバーンを射抜き撃ち落とした。


 「……なん、て…もう、流石に無理………」がくっ




 猫獣人チャトラ、負傷。

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