第35話 開戦
裏話1:番外編のらゔめーたーでは親密度、好感度が分かります。
但し、自覚している分だけ。
「「「――――ギャオオオオ」」」
!!!
「来た!弓を構えて!」
チェシャが霧の森がある方向を指差し、ワイバーンの群れが遂に来た事を知らせる。
「嘘だろ…本当にきやがった…」
「チッ、やるしかないな!」
「本当に勝てるのかな…」
村人の不安げな声が聞こえるが、実際のところは獣人専用魔法の身体強化を全員扱えるのでマジで軍隊と変わらんくらい強い。
ちなみに言うと、効果は全ステ1.5倍、高いステが2倍だ。
チート野郎共が…!
「引き絞って!……………今!放てぇ!!!」
「「「っりゃあ!」」」
ヒュヒュヒューーン!
風切り音が聞こえ、数十体のレッサーワイバーンを撃ち落とした。
「今だァ!落っこちてきやがった間抜けどもをぶっ殺すぞォ!!!」
「「「おう!!!」」」
ドデカイ棍棒だったり長い爪を鉄で保護したり剣を持ったりグローブ装着して突っ込んだりする近接戦闘型の…大半肉食獣モチーフのヤツラ。
猫化特有の動体視力を活かしたり身体強化で強化された器用さで正確に翼を撃ち落としたぐう有能な後衛の応援を受けながら四足歩行で迎え撃とうとするワイバーンどもとぶつかり合う。
「うぐ!…身体強化!りゃあ!うらぁ!」
「クソ!痛っ!?身体強化はしてるのに!?」
「落ち着けお前らァ!口掴んで叩きつけりゃアもう殺したも同然だァ!こんなふうに、なァッ!!!」
「ギャオッ!?ギャオオオオ!?」
初戦闘の者も多く、ステータスで勝っていても苦戦していた
そう言ったハウリルがレッサーワイバーンの口を握り潰す勢いで掴み、噛みつけなくなって慌てさせる暇もあたえずに背負い投げて胸元を蹴り潰した。
「まだまだァッ!」
村人達はそれを見て調子を取り戻し、善戦しはじめた。
(…む、イエローワイバーンか。………俺の出番だな。)
レイアンが遠くでこちらを凝視しているイエローワイバーンの存在に気付き道中でワイバーンを狩って血を吸いながら距離を詰める。
「喰らえ、<血弾>!」
「ギャアオオオオオオ!」
吸血値が不足していた為に使えなかった久々の攻撃だが咆哮と共に突如落ちてきた雷に血弾ごと打ち砕かれる。
「<血盾>!――――ふぅううー!」
魔物の血ではあまり回復しない吸血値なので障壁を犠牲に防ぎ切って飢餓感を堪える。
「MPもマトモに回復してねえのに…! ファイヤ・ウォールっ!!」
唐突に落ちてくる3つの雷。
咄嗟に魔法で壁を作ったが相性が悪く爆発を引き起こした。
「うがぁっ!?かはっ、クソ…トルネードっ!!!」
「ギャアオオオオオオ!?」
出現させた竜巻をイエローワイバーンにぶつけ、肉を削ぎ落とす。
「ギャオッ「ダークスピア!」ギャアオオオオオオ!?」
翼膜が破壊され落ちてくる巨体を紫色の棘が貫く。
「久しぶりの血液活性!」
血液操作や血染に統合されたこの技だが使い易さは1番だ。
加速して爪で喉を切り裂こうとするが直前で雷に遮られる。
「ッチィ!」
「ギャアオオオオオオ!!!」
イエローワイバーンが咆哮と共に仰け反り、倒れ込む。
巨体故に避けなければ押し潰されるのでレイアンは後方に飛んだが、
ズガァアアアン!
「!?ぐぅう!?おぐぇ、がぁっ!?ぅ、あ?いぎいっぁあ!?」
黄金の雷が直撃し、悲鳴をあげて地面に這い蹲る。
「ギャオッ♪ギャアオオオオオオ!」
「あぐ…イ゛ッッッ!?ぎゃあああ!?かふっ…」
三束の雷がレイアンを襲う。
本来なら絶体絶命だが…
「―――闇魔法、幻影。……間に合ってよかったぁー!じゃ、もう止め刺すか。……………ダークスピア!」
「ギャオッ」
短く悲鳴があがり、イエローワイバーンが絶命する。
幻影だがイエローワイバーンが倒れ込んだあたりから発動していた。
実際は脳筋な考えでゴリ押しして頭をぶん殴っている。
(あれだけトラウマ植え付けられてんのに、コイツ倒しても達成感が微塵もねえな。まあでも取り敢えず、)
「えっしょ、――――敵の大将首、取ったぞぉおおおお!」
「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」




