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第33話 マフラの治療

ダークボール:攻撃力:500 消費MP:30(だいたい)



 「止血!………ぬぅ、……よし、できた。」

 「回復は任せて下さい!小治癒(ヒール)!」

 「えっしょ、うんしょ。…よし、できた。―――これ、ハイ・ヒールポーションね。飲ませて。」

 「あァ、…こう、か?」

 「飲めてるから問題ない。」

 「…それもそうかァ。」


 現在羊獣人マフラは病院…と言うほど大層なものではないが取り敢えず病院モドキの室内にあるベッドで寝込んでいる。


 幸いな事に首を切り裂かれたにも関わらず一切血管などを傷つけていないようだ。

 幸運値というステータスがあれば間違いなく999を超えているだろう。


 「…大丈夫なのかァ?マフラさんは」

 「ん。問題ない。ハイ・ヒールポーションに治癒師、それに血を操れる吸血鬼がいる。」

 「まァ、そう、だよなァ。」


 ハウリルとマフラはそこまで仲がいい訳ではない。

 が、村人を大事にしているハウリルからしたら一度でも知り合えば、それこそ週一回でも談笑する事があれば最早家族だ。


 最初こそ結構ヤバ目な雰囲気だったが今では健康的で普通に眠っているだけにしか見えない。


 「終わった…のか?」

 「……よ、なァ?」

 「た、多分…?「いや、まだ。」

 「「「!?」」」

 「葉っぱが足りてない。食事が必要。」

 「! おう、わかったァ。」


 そう言って、扉を強く開け放ちドタバタと音を立てて廊下を走って暫くすると大量の葉っぱを抱えて木の枝が髪に引っ掛かった状態で帰ってきた。


 「持ってきたぜェ。」

 「多過ぎる。馬鹿か貴様。」

 「あ゛ァ゛!? ンだとテメェ!」

 「一・時・休・戦っ!」

 「「……」」


 喧嘩を始めそうな2人を宥めるチェシャ。

 そして、その大量の葉を口に無理矢理捩じ込んで食べさせた。


 十分に咀嚼させ、飲み込んだのを確認すると再びのヒールをかけ始めた。


 「ヒール!」


 暖かい緑色の光がリオン(治癒師)の手から発せられ、やがて…


 「………あ、れ?ここ、は…?」

 「「起きた!(のかァ!)」」


 マフラが目を覚ました。


 「って、ひゃあ!?レイアンさん!?」

 「あのことは、すまない。なんというか、アレは事故だったんだ。」

 「なにその語弊を生む言い方。」

 「チェシャ?」


 イケメンが言うと割とマジで語弊を生む言い方をするレイアン。まあしかし今は子供なので多分大丈夫だろう。

 意外にも突っ込んだのはチェシャだったがあえて無視だ。


 「………まあ、治して、くれた?みたいですし…特別に許します。」

 「! わ、わかった。」


 こうして羊獣人マフラの治療は終わった。

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