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第30話 プルーの大冒険②



 転移遺跡 ―5層―



 狭かった通路が広く、長くなって移動に時間がかかるようになったわ。

 ムートが通りやすくなったのは良かったけどこれ、多分出現する魔物が強くなってるパターンよね。


 「ガオ。」

 「ヂュッ!?」


 ムートが通りがかりの麻痺ネズミを踏み潰してあくびをする。ので、酸をふっかけて目を覚まさせる。


 「グルォオオン!?」

 「ぷるっぷるぅ♪」


 暫く特に強い魔物が出る訳でも変わったトラップがある訳でもなくゆっくり進んでいると、豪華な扉がでてきた。


 『第5層ボス部屋』


 「グルルル…!」

 「ぷるっ」


 警戒して、扉をあけると…?


 「む?……魔物、か?なんのようだ…貴様ら、遺跡の者ではないな」

 「ガァァォォオオオオオオオオォォォオオ!」


 額に生えた捻れた禍々しい模様の角、変な形の尻尾に人語をあやつる人型、そして強大な魔力を保有している。


 「ぷるっぷるるぅ。(気をつけなさい。相手は悪魔よ)」

 「グルルルゥ、ォォオオオオオオン!」

 「戦うか。………魔弾!」


 飛びかかったムートが濃密な魔力の込められた魔弾に進行を阻まれる。


 そして、隙を突いて強酸を飛ばした…が、


 「魔弾。――――無魔法、固定!」

 「ぷるうっ!?」

 「グルル?ガォオオオオオオ!」


 強酸が魔弾に弾かれる。そして、空中に固定された酸がムートにかかるがそれを無視し後輩の尻尾が悪魔に叩きつけられた。


 「ぐぅ!」

 「ガァオオオオオオ(大地の加護)!!!」



 地鳴りと共に出現した固められた土の棘が悪魔の心臓を貫く。


 「うぐああああっっ!?!?」

 「グルォオオオン(風ブレス)!!」

 「むま、ほう、固定!そして、魔弾!」



 ムートがあまりの風圧に仰け反り、後ろ足で立つ態勢になりながら一直線に放たれた風のブレスだが無魔法により固定され、その勢いを失う。


 射出された魔弾は余波で動けていないムートの片翼を穿ち、遺跡の壁にぶつかって消滅した。



 「グルゥォオオン!?」

 「はぁ、はぁ、――――魔法障壁」

 「ぶるっ、ぶるぶる。(チッ、気付かれたか。)」


 樹木魔法で操った木の根を魔力で強化し、更に鞭術 SPを更に進化させた鞭術Lv1で首を締めようとしたが障壁に阻まれて思わず舌打ち?する。



 「――――ガァオオオオオオオオ(グラトニー・ガイア)!!!」

 「…………ぷる(ここ地下なんだから発動させてあげる訳ないでしょ。)」

 「ガァ、ガォ(す、すまん)」

 「馬鹿め、悪魔法、灼熱!」

 「「ガァアアアアアアアア!?(ぷるっぷるぷるぅ)」」


 室内が灼熱の業火に包まれて全身を焼かれる。

 痛みに絶叫をあげて咄嗟に治癒魔法を私と後輩にかけながら時間をかけずに一気に決めに行く。


 「ぷるぷるぷるぅー(樹木高位魔法)!!」

 「ガァアアアアアアアア(大地の加護)!!」

 「な!?クソ、無魔法、固定!悪魔法、焦土!」


 大量の樹木の根を操りズタズタに引き裂くつもりで悪魔にぶつける。

 大半が固定されたがそれでも半分はまだ残っている。そこに後輩の大地の加護により根が大岩を砕いたモノで保護され、威力が底上げされると焦った悪魔の魔法により地面が超高温に熱されて後輩の鱗が焼ける音がする。



 「ぐあああああっっ!?!?!?」

 「ガァアオオオオオオ!?!?」


 絶叫が響き渡り、やがて――――!


 「ぷるぷる。(治癒魔法、ハイ・ヒール!)」

 「ガ、ァァァ…(たす、かった…)」


 どういたしまして、と身体を震わせて私はレイアン様の加護を使用し全回復。

 数分間休憩して次の階層に進む。



 ◇◆◇ 転移遺跡 ―6層ボス部屋―



 「ゲゴォッ、ゲゴォッ!」

 「ガァオオオオオオ!!」

 「ぷるぷる。」



 巨大な毒蛙が毒液を吐き出すがムートは若干嫌な顔をしながら避ける。

 私は強酸を背中にかけて珍しく命中したことに驚きつつも樹木魔法の準備をする。


 「ゲェゴォオオッ!?」

 「ガァオオオオオオ(クレイガン)!」


 先程の戦いでレベルが2もあがった。余程強い悪魔だったようだ。


 複数の土塊がカエルの腹に直撃し、毒蛙はそのまま後ろに倒れて起き上がろうと藻掻いている。


 「ぷ、ぷるぷる…?(こ、これ本当にボス…?)」

 「ガァア!(コイツ以外にいねえだろ!)」


 ちょっと呆れながら樹木魔法で心臓を貫き止めを刺した。………レベルは1も上がらなかった。





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