第28話 ミケとシル
お詫びの3話投稿
(……まあ、そろそろ転移遺跡に入った方がいいか?主人公達の為に2つあるスクロールのうち隠し部屋にあるヤツだけにしてもいいが…流石に嫌だな。アイツは個人的に嫌いだ。)
「転移遺跡…か。ここからは恐らく大分遠いな。」
「調合と、料理を覚えた!」
「…そうか」
(いやそんなドラ○エ風にいうなよ。…そういややったことないな。)
ココ最近夕飯を自分で作っていたチェシャだがポーションと合わせて調合Lv2と料理Lv4を覚えた。
凄えな。俺なんか血しか食べられないから最近歯にかけだぞ。
ちなみに言うと血以外を食べると犬のクソみたいな味がする。…まあ、知らんけど。
(……転移遺跡は10層構成の遺跡で隠し部屋が最下層にあるはず。そこは変わらないとして、湧くモンスターは?…階層ボスは変わらないだろうけど、湧くモンスターは…多少量とか質は変わりそうだが…まあ考えても仕方ないか。)
先は越されたくないな。折角転移遺跡が霧の森内部に存在するから放置してたんだし、…俺が現れたこの時期だからなさそうだけどな。
「ねえ、外いこ?」
「なんだ、今私は忙しい…まあ、いいか。」
「うん」
…先日、獣人村の存在にワイバーンどもが気付いた。
探知結界で偶々その事が分かったのだが、ここの村人は全員強い。麻痺矢に弓、剣に盾をこの為に作成したんだ。
あとは交友関係を深めて適当な理由をつけてワイバーンの群れがこっちに来ているのを見たと言えば信じてくれるはず。
先ずはおばちゃんこと果物屋の犬獣人からだ。
名前は知らん。だってチェシャがおばちゃんって呼ぶから。
◇◆◇
「…その、なんだ…お、おいしかったぞ…」
「あら?そうかいそうかい。嬉しいもんだね。」
「…うぅ…」
なんだ?思ったように喋れないぞ?
……もしかして長いことヒッキーしてたからコミュ障になったのか!?!?……流石に違うか。
わからんなぁ。
「あ、レイアン、にゃん?」
「たしか、そんな名前だったようにゃ…?」
「…! そ、そう…だ…」
か、可愛い!?この仔猫、可愛い!?
いや、別に俺にそういう性癖はないぞ?
ショタコンでは決してない。
ただ、子供ってただでさえ可愛いのに猫耳生えててしかもゲーム特有の顔面偏差値があったらそりゃあ…ねぇ?
「「…にゃん、あそぼ!」」
「へぁ? う、ん…」
めちゃめちゃ元気だなぁおい!?
流石子供…コミュ力高えなおい。
そして気付くと俺は鬼ごっこさせられていた。
鬼ごっこ(俺が鬼)スタート!!!
「にゃあ〜ん!」
「あ!待つにゃ!」
「1,2,3――――27,28,29,さーんじゅっ!よし、だっしゅぅーー!!!」
暫く闇雲に猫ちゃん達を追いかけていて、気付いた。
お、遅い、だと!?
俺が!?…確かに、翼の加速もなければステータスも大幅下がっていておまけに餓死しかけになって飢餓耐性獲得したけども!?
「にゃんにゃっ!や〜いのろまなのにゃ〜!」
「にゃぁ〜!」
「………ウィンド。…ふふふ、ふはははは!この私相手によくもまあそんな事を言えたなぁ!?!?」
「「にゃあ!?すごい速くなったのにゃ!?」」
翼みたいに風を作って加速しながら進むと一気に広がるばかりだった距離をぐんと縮めた。
「たっちぃぃい!」
「ぎにゃあああああ!?」
「み、みけー!?って、こっち来たのにゃー!?」
「ふははははは!!!次は貴様の番だぁーっ!」
ミケというオレンジがちょくちょく混じった耳をした少年の肩をひっぱたいてすぐさま方向転換して白い耳の猫人少年を追いかける。
「お、おれの仇を取ってくれにゃ…」
「うう、任せろって言えないにゃん。近付いたらタッチされるにゃん…っ!?」
「そこだっっっ!!!!!」
「ぎにゃあー!?」
石に躓いてバランスを崩した所でジャンプ。
風で背中を押し出してタッチした。
「ぐ、ぐぬぬ…こんにゃに速いとはにゃあ…!」
「ぜぇ、はぁ、シルは疲れたのにゃん…!」
「むっふっふ!私は強いのだ!もっと敬うのだ!」
「「むぅー」」
こうして俺はシルとミケを子分にガキ大将へと至った。




