第98話 海底遺跡攻略 其の二
魔王は3体と言ったな?
アレは…あながち嘘でもないけど取り敢えず嘘だ。
「――――」
「「「「グヴェ゛ァ゛ァ゛ァ゛…ッ!」」」」
「――………っ、やっぱりレジェンダリーかよ。」
地獄の亡者も真っ青なやべぇやつら。
その名も魂喰い。
現在進行系で俺達に立ちはだかり襲いかかるコイツラは何を隠そう魔神の…いや、邪神の眷属。
召喚というよりは………いや、辞めておこう。
「それより〜、今はお前だよな〜」
「ぇぐほう。めひぬにて」
「ちょっと何言ってるのかわからない」
文字にすると母音だけなら“えうおうえいうえ”ってところか。
なるほどわからん。
話の続きだが魂喰い『歪魔王』の召喚及び契約魔法により呼び出された邪神の眷属であり、最大500体ほど召喚してくる上に一体一体が即死技持ちである厄介な敵。
その上、即死技無しでも平均ステが3000を超えているというぶっ壊れぶり。
しかもスキル数も最低で15個も取得しているという。
使ってくる魔法は強力なデバフ魔法。
「お前等じゃコイツラの相手は厳しいから〜、一旦引け」
『『『『…っ、了解です』』』』
あ〜あ、落ち込んじゃったよ。
でもまぁ、こればっかりは仕方ないわ。
俺でもキツイしな。
「「「ぎゅシャシ゛ャ、ぇぐへぅっ!」」」
「はんっ、俺サマを殺したきゃ親分を呼んできな」
しないだろうけど。
話は変わるが、魂喰いを入口で10体以上15体以下送り込んで来る場合ソイツは確実にレジェンダリーだ。
ボス部屋で300体解き放つのが通常個体…つまり王種、いや魔王種。
対して、ボス部屋に来るまでに250体、ボス部屋で500体解き放つのが伝説の魔王。
俺たちプレイヤーはレイドボスではない為に比較的HPが少なめ、魔法及び邪術及び体術に隙も多く設定されているにもかかわらず、レイド戦を強いられた。
(あれは…地獄だ。)
無論、もう二度とあんな事に付き合うつもりはない。
対策はしているが…レジェンダリー相手に通用するかは未確定。
「やぁ〜、キミ達。御命頂戴ってね〜。」
ふざけた口調。
それで混乱する程度には奴等は知能がある。
隙だらけの体勢。
魔法の準備はせず、一見構えもせずに歩いていると見せかける。
「――――当たるんだよね〜、それが。」
「へぐらぅ゛ッ…!?」
「『痛い』だって〜?――――舐めてんじゃねえぞ、カス共が。」
完全に体術では射程圏外。
油断し、舐め腐った様子の魂喰いの腹に切り落とした左腕を貫通させる。
「俺は――――邪神殺しの英雄サマだぜ?」
「「「…ッ、ぎグル゛ガぁァあッ!」」」
俺の言葉に対し憤怒を隠しもせずに獣の様に突っ込んでくる魂喰い。
間違っちゃいないぜ。
なにせ、この俺は邪神殺しを達成しているのだからな。
「お前等に僅かな絶望と、安らぎを。――――そこ、ブレイクですネ^^」
「ぶル゛ぃぐるゥ゛っ!?」
「ブレイク、はいそこナックル、あぶっ、ブースト・キック、おぉう、ハイ・キック+ムーンサルト!ブースト・ナックル!」
「「「ジぇ゛ガァああ゛ルぅァッ!?」」」
はっ、ははっ!
上手くハマってやがる!
レイアンと徹底的に特訓した甲斐があった!
それに、どっちにしろ今やらないと間に合わなくなるってのもあったけどな〜。
「スマッシュ!――ッ見切りィ!」
「「ぶィ゛ぐるゥっ!?」」
「消えろ、潰れろ破壊しろ。狂え、踊れ、道化共。精々俺を楽しませて――――邪神殿の元に帰りな。」
「「いィ゛イイい゛いぃっ!!!」」
命令口調からの邪神呼び、追い打ちがてらの殿付け。
煽り倒されあまりの激情に顔を歪ませるどころかデバフを一斉に使用して拳を握り締め自分の爪が刺さったのか握った手からは青い血が垂れている。
怒りのままに突っ込んでくるバカ共。
魔法は…使ってもやらねえ。
「――――ブレイク・ナックル」
「「ぴギィッ――――!?」」
「汚らしい、汚物共よ。いつになればわかる?気付く?主の哀しみに、孤独に、苦しみに。」
「「――――!?」」
「………さぁ、終わりだ」
締めは…そうだな。
蹴りがいい。
「ブレイク・ハイキック」
「「ごブぁッ」」
「………眠れ、愚か者どもよ。」
俺は、その先の魔王に用があるんだ。
性悪神:呼んだ?
チノリ&レイアン:呼んでねえよ。




