第90話 海釣り 其の二
ステータス祭をやってたら投稿遅れちまった。
すまねえ…!すまねえ…!
「おい、手伝えホブゴブリンども。スタン解けてるのは知ってるぞ何サボってんだ。」
「「「へい、すいやせんボス」」」
「え?どうしたの?そんな口調だったおまいら」
急に喋り方変えるの辞めてよビックリしちゃうじゃん。
まあ、それは置いといて水竜だ。
アイツ…ステータスが見てえなぁ。
こんな時にジークの万能鑑定があったら…。
はぁ、やっぱ主人公はチートだな。
これで『覚醒!』とか『進化!』みたいなのとか出来たらマジでヤバイわぁ(フラグ)。
そういや、ジークの野郎何してんだろ。
最近観察できてねえな。
なにせ魔海域に実質閉じ込められてるし。
しかも魔海域から出るには中心部に一回行く必要ある上海底遺跡もなんならついでで攻略したいし。
あーもう!
やりたい事やらなきゃならん事が多過ぎる!!!
「と・り・あ・え・ず!第一目標は水竜の討伐だぁ!」
「「「イエッサー!」」」
「横薙ぎ払い斬り!」
「〘翡翠の剣豪〙…『翡翠の弾丸』!」
「フルチャージ・ファイヤボール!」
「続いて俺も、チャージ・ナックル!」
「ギュ゛ゥ゛ア゛ア゛ア゛アアアアッ!?」
水竜を呼び指しながら目標の宣言。
威勢のいい返事と共に怒涛の攻めが始まり、乗るしかねえこの波にと言う訳でチャージ・ナックルで威力330%パンチを放つ。
水竜の叫び声が響き渡り、鮮血が水中に混じる…寸前、見逃さなかったそれを俺が<操血>で上に引き上げついでで吸血、回復。
危ねえな…魔海域で血を海に流したらソイツは生きたまま四肢を食い千切られ顔面を嬲り喰らわれる事になる。
そんな説明はインパクトがあり過ぎてゲームの紹介でもなんとなく覚えていた。
最近、魔海についての情報をレイアンから聞いて再確認してたのもあったな。
「ギュゥ…ギュゥ…キュ…!」
「弱ってるぞ!様子を見ながら攻めろ!」
「「「イエッサー!」」」
息も絶え絶え、少し濁った鳴き声の水竜はどっからどう見ても瀕死。
しかし、理性の必死の抵抗でなんとか様子を見ながらと付ける事ができた。
ホブゴブリンどもことカイゼル、バルバロト、ルビアの3人が近づき、その喉元に大剣、片手剣、魔法を構える。
ここまで抵抗しない事で、この場にいた俺含むバカ共がまんまと罠にかかった事になるのかな。
――――瞬間、水竜の瞳に生気が宿った。
ギラついた瞳を見逃すまでの愚行はせず、しかしそれ以上出来る事もない。
「――――! っ、…!」
「止め―――」
「―――――キュウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「「「!?」」」
瀕死の獣に気をつけろ。
決死の水竜の足掻きは思ったより冷静な行動だった。
カイゼルは大剣ではなく、その少し上。
柄を握る指を魔海産の水竜の俺のモノより長く鋭いそれが切り裂いた。
バルバロトは尻尾で鳩尾と脇腹、巻き込んで右腕を薙ぎ払う。
ルビアは顔だけ向けたその水竜の強い眼光に人睨みされて固まってしまい、その隙に水竜球で木船の柵に叩きつけられる。
俺は…動けなかった。
何も、出来なかった。
「ふっ…ふざけるなああああああ!!!」
「キュアアアアアアアアアアアア!!!」
呼応するように咆哮をあげた水竜は背中の翼も使って急接近した俺を尻尾で冷静に突き飛ばし、仰け反ったところに水竜球が鳩尾に命中。
「がはぁっ!?」
「キュウオオオオオオオオオオ!」
「させるかっ――――なに、ごぶぁっ!?」
多少水竜と距離の開いたが一気に近付いてくる。
爪で大胆に攻めに入ったようで、防ごうとしたがフェイントだった。
不意にバク宙みたいな動きをしたかと思えば下から上に、縦向きで尻尾の薙ぎ払いを受ける。
顎を見事に打ち据えさせてしまった代償は思ったより大きく、当初は防げたはずの引っ掻きまでも受けて胴体から鮮血が舞う。
そして、水掻きのついた両足での蹴りが追撃としてやってきて、分かっていても最早手遅れ。
反動で動けず受け身も取れずに木船の床に叩きつけられた。
「ぐあっ!がふっ!ふがぁっ!?」
「キュアアアアアアアアアッ!!」
「――――見切り」
「キュッ「カウンター」ァアッ!?」
危ねえ、見切り用、つまり護身用の短剣持ってなかったら気絶させられてたかも。
流石に死ぬまでは行かないと思うけど。
ていうかこれ、原作勢からしたらチートだよな。
なにせ、ゲームだとサブ武器で剣カテゴリの武器装備してなかったら詰むし。
そのおかげで俺らいかなる状況でも確定で見切り発動できるしな。
ステータス差が圧倒的で着弾と同時に破壊とかいう耐久即死レベルの威力だとスキルの保護貫通して壊れるから実質勝ち目ないだろな。
さぁ、突っ込んできてる水竜さんよ、やろうじゃないか!
「キュウアオオオオオ!」
「――――“ブレイク”!よっし、フルチャージ・ナックル!」
正拳突きverのブレイクに成功。
左腕で500%ナックルを繰り出す。
「ギュゥッ…キュアア!」
「――――ダークネス・バインド」
「キュッ…!?」
「いい加減に止めだ。ダークネス・ランス!!!」
「キュアァ…」
《レベルが上がりました。》
おっと、ついにか。
ついに51になったか。
この二週間割と頑張ってレベリングしてたのに上がらなかったから少し苛ついてたんだよねえ。
そういやログってレベル・スキルアップ通知以外非表示にしてたら若干だけど形状変わるのな。
初めて知ったわ。
………あれ?
これって状態異常の通知オンとかHPの減りがあると表示してくれる機能、ましてやMPの変動をリアルタイムで見れたらくっそ便利じゃね?
このステータスプレート?みたいなの半透明だから見辛いは見辛いけどちゃんと見れるし。
「………オン、と。……ダークボール。うわぁっ!本当にできるのかよ!マジ!?うわぁ!どうしよどうしよ!」
マジかよ!!!
嘘じゃん!不必要な出し惜しみに無駄な魔法を減らせる?
うわ、神かよ!
最高じゃん!
「………とまあそれは置いといて、お前等起きろ!海釣りだぁ!!!」
「「「ぐはぁっ!?」」」
《スキル:咆哮Lv1を習得しました。》
うっせえ!
何だこの野郎俺の覚醒命令を咆哮だとでも言いてえのか!?あぁん!?
「………まあ、普通に優秀なスキルだしいっか」
許す。




