7 王都でスムーズに再就職が決まる
俺は町を後にした。
ちなみに、自動召喚の設定はいったん、ほとんどオフにしてある。
英霊が自動的にトラブルを解決すると、この国の宮廷魔術師の仕事を横取りする形になるかもしれない。
さっきの町では緊急の案件だったから、英霊を使って解決したけど――。
今後はしばらく様子見だ。
そこからは三日ほどの行程で王都に到着した。
「さっそく、再就職活動開始だ」
事前に話を通してもらっていたので、スムーズに宮廷魔術師と面会することができた。
「ようこそおいで下さいました、フレイ様。私はこの国の筆頭宮廷魔術師レミナと申します。紹介状はすでに拝見しております」
王宮に行くと、まだ若い女魔法使いが俺を出迎えてくれた。
薄桃色の髪を背中まで伸ばしている。
青く澄んだ瞳と柔和そうな顔立ちが印象的な美人だ。
年齢は俺と同じくらいだろうか。
この若さで宮廷魔術師の筆頭になるなんて大したものだと思う。
「あ、その……若い女が出てきて戸惑いましたか? 実は、我が国には魔法の素質を持つ者が少なくて……」
レミナさんは申し訳なさそうな顔になった。
「魔法大国であるキラルと違い、宮廷魔術師の数も足りていません。魔法関係の職務に就けるだけの実力を持つ者が非常に少ないからです。私も……恥ずかしながら、大した魔法の力は持っておりません」
言って、レミナさんは俺に深々と頭を下げる。
「我が国は魔法においては他国にかなり遅れを取っております。フレイ様にはぜひ筆頭宮廷魔術師としての働きを期待したいのです」
「えっ、私を宮廷魔術師として雇っていただけるんですか……? というか、いきなり筆頭……!?」
「モンスターのスタンピードをいとも簡単に止めた、と聞いております。あなたの魔法能力が、我が国の宮廷魔術師たちと比べても桁違いなのは明らかです」
と、レミナさん。
「私たちの誰にも、そんな真似はできません。現在の筆頭は私ですが、あなたの方がはるかに実力が高いと思います。ぜひ、今後は筆頭として腕を振るっていただきたいのです」
初っ端から持ち上げられてる感じだ。
礼を尽くして迎えられるのは、ありがたかった。
「事情は分かりました。ただ、新参の私がいきなり筆頭というのはやはり……」
俺はレミナさんに言った。
「他の方も快くは思わないでしょう」
「うーん……みんないい人ですし、大丈夫だと思いますよ」
レミナさんが微笑んだ。
「もしご不安でしたら、他の宮廷魔術師たちに会ったうえで、あらためてご判断ください。きっとみんな納得すると思います」
「分かりました。ご配慮感謝いたします」
その後、他の宮廷魔術師たちからも快諾をもらい、国王の承認を経て──。
俺は王都に来て早々、いきなりこの国の筆頭宮廷魔術師になった。
大国キラルから追放された俺だが、余計なしがらみがなくなった今、今度こそ全力で──人々のために頑張ろうと思う。
そうだな、手始めに、
「英霊たちの力を惜しみなく使って、この国をもっと暮らしやすくするとか……魔法の力をフルに活用すれば、もっともっと色んなことができるはずだ」
キラルにいたころは力を隠し、息をひそめるようにして過ごしてきたが――。
今はもう、そんなしがらみはない。
「よし、やってやるぞ」
俺は決意を新たにしたのだった。
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