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10 底知れぬメーヴェ

「いくぞ、『至高の魔術師』!」

「一斉攻撃で仕留める!」


 五人が叫んだ。


 まずメーヴェを同時攻撃で倒そうというのか。


「一対一を挑むのかと思ったら、案外シビアな戦術をとるじゃないか」


 メーヴェが口の端を吊り上げて笑った。


「実戦モードってわけ? 気に入ったよ!」


 笑みが深くなる。


 ゴーガの火炎呪文が、シュトルフの召喚した魔力の剣が、ファービィの爆裂呪文が――同時にメーヴェへと向かった。


 さらにリットが幻惑系の魔法でメーヴェの探知能力を引き下げ、反撃に備えてリットが氷の結界を張る。


 即席でチームを組んだ割に、見事なコンビネーションを見せる五人だ。

 さすがは英霊たちだった。


「なるほど――意外と連携してくるじゃないか」


 メーヴェがニヤリと笑った。


「だが――甘く見ないでよ。この『至高の魔術師』を」


 怜悧な美貌に浮かぶ、激しい闘志。

 赤いドレスの裾がはためく。


「【邪神の爆炎(ザルクフレア)】!」


 メーヴェの反撃はシンプルだ。


 迫りくる攻撃すべてを、広範囲高火力魔法で吹き飛ばす――。


「幻惑系であたしの探知能力を弱めても関係ない。全部まとめて吹っ飛ばすからね!」

「ば、馬鹿な、ここまで魔力が大きいとは――」

「うおおっ、我らの呪文がかき消され――」


 五人の英霊たちが驚愕の声を上げた。

 迫りくる三つの呪文は、メーヴェの火炎によって消滅し、さらに氷の結界をあっさりと貫く。


 爆炎が五人を吹き飛ばした。


 勝負あり、だ。


「強い――」


 俺はあらためて思い知った。


 魔力の巨大さ――それ自体が圧倒的な武器になり、あらゆる英霊魔術師を寄せ付けない。

 これが『至高の魔術師』メーヴェなんだ、と。


「ふん、あんたは挑んでこないの? 『漆黒の魔術師』」


 メーヴェが振り向いた。

 その視線の先にはハーヴェルの姿。


「私はあなたに挑戦した覚えはありませんが」

「ま、あんたは他の連中みたいに闘争心を表に出すタイプじゃないみたいだからね。だけど――その時代でトップクラスだった魔術師としての矜持はあるだろう?」

「……どうでしょうか」


 ハーヴェルは否定も肯定もしない。

 いつも通り、淡々とした態度だった。


「生まれた時代が違うから、直接相まみえたことはないけれど――魔術の精密性なら全英霊中トップのあんたと、魔力の大きさならナンバーワンのあたし。どちらが上か、興味があるね」


 これは、ハーヴェルとメーヴェのドリームマッチ実現となるのか――。


 俺は完全にスポーツ競技の観戦者のような気分だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 技の一号、力の二号(ちがう) これは確かに気になるところ。 というか当時の「英霊」という称号に驕ってるのかもしれないけど、多少の連携や工夫があるとはいえやっぱりちょっと彼らの戦法が力任せの…
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