9 次の課題は魔法学園
「魔獣対策は結界作りなどを進めていくとして……他にも課題は色々とある。たとえば人材育成」
俺はレミナたちに言った。
「人材……優秀な魔法使いの育成、ということですか」
「ああ」
レミナの言葉にうなずく俺。
「この国には魔法の素質を持った者が少ないからなぁ」
ボルテックが言った。
「キラルみたいにはいかねーんじゃないか?」
「どうかな? 魔法の素質者の割合というのは、どの国でも大差ないと思う。差があるのは、その素質者が魔法の教育を受けられる機会のほうじゃないかな」
と、俺。
「教育……うーん」
キキがうなった。
「でも魔法を教えられるような人自体が少ないよ?」
「ああ、それについては英霊を活用する」
何せ1000体もいるんだ。
どんどん召喚して、この国の色々な業務を手伝ってもらいたい。
そして、アーシアをもっともっと住みよい国に――その一助になりたい。
それが俺の当面の目標だった。
「まず生徒を集めるところからだな。魔法学園の臨時受験を行う」
「受験……ですか」
「その際には、受験生の魔法の素質を高い精度で見抜く必要がある」
俺は説明した。
「その上で、能力や素質に応じたクラス分けをして教育するのがいいだろう」
「その……『魔法の素質』を高い精度で見抜ける者が、そもそも我が国にはいなくて」
レミナが言った。
「なら、それも英霊にやってもらう」
なんでも英霊任せだけど、それでいいと思う。
「講師はどうするんだ、大将?」
たずねるボルテック。
「そうだな……今までの講師はどうだったんだ?」
「この国の魔術師自体が数えるほどしかいねえからな。その中から教えてくれる者を募って、まあ、なんとか……って感じだ」
「じゃあ、教育に長けた英霊を呼び出して講師をやらせよう」
「講師も英霊なのか?」
「俺が従える英霊は、いずれも過去において英雄クラスの剣士や魔法使いたちだ。教師をやってくれれば、この時代の誰が教えるよりも立派な魔法教師になるんじゃないかな」
「なるほど……」
「まずは受験生を広く募ろう」
俺はみんなに言った。
「さっそく取り掛かるぞ」
今はまだ魔法大国キラルなどに比べれば、小国に過ぎないアーシア。
だけど、これから未来を担う若者たちを集め、育て――。
ゆくゆくは、そんな大国に肩を並べるような国になってほしい。
そのために、俺もできることを一つ一つ進めていこう――。






