8 キラル王国、侵攻される2《追放者SIDE》
――だが、フレイにそのことを聞いても、『何のことだ? 俺は知らない』と答えてもらえなかった。
実際、カイルも自分が夢でも見ていたのではないかと疑うこともあるほど。
それでも、あのときの光景は目に焼き付いている。
同時に、強烈に憧れた。
自分もフレイのような力を振るい、国を守りたいと思った。
それ以来、今までにも増して魔術の腕を磨き続けてきた。
「おおおっ、【雷破撃】!」
カイルは得意とする中級雷撃呪文を唱えた。
ばちぃぃぃぃっ!
激しいスパークとともに魔獣の一体に命中し――しかし、ほとんどダメージを与えられない。
「くそっ、俺程度の呪文じゃどうにもならないのか!」
カイルは悔しさに唇をかみしめた。
当時より格段に魔術の力は上がったはずだ。
それでも、まったく通用しない。
敵が、強すぎる――。
と、
『何をやっているのだ、カイル!』
念話が届いた。
筆頭宮廷魔術師であるジューガが、魔術で遠隔通話しているのだ。
「……もうしわけありません、ジューガ様。相手はてごわく……私の術では歯が立ちません」
『ゲーテラ内務大臣もお怒りだぞ! 命に代えても足止めしろ!』
ジューガが怒鳴る。
『他の地域での魔獣退治でも連戦連敗で、俺のメンツも丸つぶれなんだ! お前ら、もっとしっかりしろ!』
「……いい気なもんだ」
自分は前線に出てこようともせず、安全な場所から偉そうな指示ばかりを出して。
だが、理不尽に叱責されようとも現場はがんばるしかない。
自分の後ろには、多くの民がいる。
自分が退けば、多くの民が被害に遭う。
「だから、俺は戦う!」
雷撃や炎の呪文を続けざまに放ち、数体の魔獣をけん制する。
「ひるむな! 俺たち全員で魔獣を少しでも食い止めよう!」
他の宮廷魔術師や魔法戦団のメンバーに呼びかけるカイル。
何人かはそれに応え、ふたたび闘志を奮い立たせた。
しかし――劣勢を跳ね返すことはできない。
(こんなとき……あの人がいてくれたら……!)
カイルは心の中でうめいた。
あの日のように、圧倒的な力で敵を吹き飛ばしてくれたら――。
そう願わずにはいられない。
「フレイさん……!」






