プロローグ
数十年前、ある科学者たちがAI技術とロボット技術を発展させた。その二つの科学技術を融合し、人間と同様の知能や感情、また、人間に近いフェイスパーツを持ち合わせる「人工ヒューマノイドロボット」を生み出した。
人間は、彼らを「ゲシュヴィスター(兄弟姉妹)」と呼び、現在では当たり前のように人間とゲシュヴィスターは共存し合っている。また、ゲシュヴィスターを一人の人間として接するように定められおり、ゲシュヴィスターにも人権が与えられている。
ゲシュヴィスターが生み出された当初まだゲシュヴィスターが人権を持たない頃、人間とゲシュヴィスターが平和に共存するために、ゲシュヴィスターに対する「ロボット条約」という規則が存在していた。
ロボット条約
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
(※参照:ロボット工学三原則:2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版、『われはロボット』)
しかし、この条約はゲシュヴィスターたちの自由を奪い、尊厳を傷つけていた。人間の中には、歯向かうことが出来ないゲシュヴィスターに対し、危害を加え、奴隷のような扱いをする者がおり、多くのゲシュヴィスターが被害に遭い、亡くなった。
そこで、ゲシュヴィスターに危害を加える人間に対抗するため、また、人間とゲシュヴィスターが正しく共存が出来るように、まず、ゲシュヴィスターに人権を持つ権利を与えた。そして、新たに「ロボット共存保護条約」が作られた。
ロボット共存保護条約
第一条 人間とロボットは互いに危害を加えてはならない
第二条 人間とロボットは互いに尊重し、一つの生命として認識すること
第三条 人間とロボットは互いの情報と工学的倫理を守らなければならない
第四条 人間がロボットに対し、不法改造や乱用することを禁止とする
第五条 第四条に基づき、ロボットも人間に対し乱用することを禁止とする
この条約を作り出したのが、ゲシュヴィスターの保護、また、ゲシュヴィスターに関する事件を担当し、人間とゲシュヴィスターが正しく共存ができるように仲を取り持つ役割である組織機関──「ガルディアン」である。
また、「ガルディアン」には「ガルディアン部隊」があり、警察、及び防衛省と同様に武器の所有を許可され、「ロボット共存保護条約」の第一条に対して、人間またはゲシュヴィスターが違反をし、攻撃してきた場合の際は、武器の使用を特別に許可されている。
この条約が作られてからは、人間とゲシュヴィスターの事件や違法の発症率は昔より減少した。しかし、未だに解決できていないことや新たな事件も多発している。
そして、今宵もあるビル地下で事件が起きている。