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出会った美少女は秘密結社の姫巫女様  作者: 五木史人
1章 憲兵隊本部長の娘
5/25

5話 私たちの夜明けが来るね。

「粛清リストを知らないんですか?」



薄暗い後部座席で、由良穂香は聞いた。



僕自身は、知っているかも知れない。


知らないかも知れない。



僕が言葉を選んでいるうちに、由良穂香は言葉を続けた。



「お父さまのID使って、色々見てたら偶然見つけたんだけど、


その粛清リストに載ってる何人かは、この半年で、


事故死に見せかけて殺されてるらしいの。


少なくとも憲兵隊本部はそうみてる。


で、その粛清リストに、私のお父さまの名前も載ってたの」



由良穂香は、僕の表情を見ながらそう言った。



九州探題所属の憲兵隊は、普通の一般市民と関わることはほとんどない。

防諜と公務員の行政監査が主な任務だ。政治活動は厳しく制限されている。




「それで私の誘拐でしょう。


何か関係あると思ったわけです。


誘拐犯さんはは粛清リストの関係者ですか?


その位、話しても問題はないと思います」



問題も何も、記憶のない僕には話すべき情報は何もない。



「そう、じゃあ取引しましょう。


もし誘拐犯さんが私の味方になってくれたら、


誘拐犯さんに私のすべてをあげます。心も身体も・・・


誰かに理由も解らず粛清されるくらいなら、


誘拐犯さんに、にすべてあげます」



由良穂香のすべて・・・・


僕はバックミラー越しに、彼女を見た。


可愛い系と言うより、美女系の顔立ちに、


無駄なく鍛えられてはいるが、


女らしい柔らかさも兼ね備えた身体。



「私にその価値はありませんか?」



僕は損得など色々考えた・・・・



例えば僕がその粛清リスト側の人間だったとしよう。


彼女に味方するって事は、


その粛清リスト側を裏切る事になるわけだろ。



憲兵隊本部長を殺そうとする組織が弱い訳がないよね。



結論、由良穂香にその価値はない。



その結論を言おうと振り向くと、


由良穂香の口が、僕の口に迫っていた。



僕によける術も時間もなかった。



彼女の口の優しさは、なぜか僕の目から涙を流し、


僕の心を簡単に口説き落としてしまった。



「取引成立ですか?」



僕の口から離れた彼女の口は聞いた。




「うん」



僕の意思に反して、


僕の心は高鳴り、取引成立を宣告した。



「私にとって、初めてのキスです。

もしあなたが私を裏切った時は、

あなたと刺し違えて私も死にます。

宜しいですね?」


僕は、頷く以外手段がなかった。



「誘拐犯さん、私たちの夜明けが来るね」




つづく 毎週木曜更新です。\(^▽^)/

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