4話 こんな所に閉じ込められてストレスいっぱいなのです。
日焼けした小麦色の肌は、
太陽と汗の香りがしそうで、眩しかった。
そんな健康的な身体には不似合いな手錠が、
彼女を拘束していた。
彼女の横には、【白夜のタルタルソース】と、
書かれた段ボールが積まれていた。
このワゴン車は、これを売ってる営業車ってとこか?
【白夜のタルタルソース】なんて、聞いたこともない。
そして僕が着ているTシャツにも、
でかでかと【白夜のタルタルソース】と書かれていた。
こんな物着て誘拐なんて、バレバレじゃないか。
由良穂香は、
後部座席に積んである幕の内弁当の1つを開け、
手錠を着けたまま器用に食べ始めた。
後部座席には、5つほど弁当が積まれていた。
幕の内弁当、ステーキ弁当、生姜焼き弁当、海苔弁当、カツ丼弁当。
なぜ5つも積まれているのかは不明だ。
「僕も1つ・・・。」
お腹が空いてきたので、1つ取ろうとすると、
「ダメです。これは全部穂香のです。」
「5つも?」
「もちろんです。
私は、こんな所に閉じ込められてストレスいっぱいなのです。
食べないとやってられません」
彼女は、2リットルのペットボトルのお茶を、そのまま飲んだ。
「このタルタルソースの箱、開けても良いですか?」
その中には【白夜のタルタルソース】
以外の物が入っていたらどうしよう・・・
「どうぞ」
「じゃあ開けて」
彼女に言われて、僕は恐る恐る箱を開けた。
しかし、慈悲深い彼女は、「これは美味しいですよ♪」と
タルタルソースのついたエビフライを一切れ、
「ほい♪」と僕の口に投げつけた。
僕は慌てて口でキャッチした。
「ナイスキャッチです」
なんて、雑な・・・しかし、彼女の言う通り、
かなり美味しかった。
弁当5つ食べて満足した彼女は、じっと僕を見つめた。
「ところで、誘拐犯さんは【粛清リスト】関係で、私を誘拐したんですか?」
【粛清リスト】って、なんのこっちゃ(泣)
また危険な単語が出てきたけど・・・。
つづく