表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出会った美少女は秘密結社の姫巫女様  作者: 五木史人
1章 憲兵隊本部長の娘
2/25

2話 作戦は失敗したらしい。

雨の中僕は、公園付近の駐車場を探索した。



電子キーなら簡単に、


自分が乗っていたであろう車を見つけられるはず!




公園のすぐ隣は住宅街だ。


静まり返った住宅街から、安らかな寝息が聞こえてきそう・・


今の僕とは対照的で、なんか泣けてくる。




車は、思っていた以上にすぐ見つかった。



ポケットの中の鍵に気づいていれば、


こんなに時間を無駄にすることもなかったのに。



電子キーを押すと、

白のワンボックスのワゴン車がライトを点滅させて、

僕に合図を返した。



「なかなか可愛い奴だ」



僕は運転席に乗り込んだ。



運転席はすぐに僕の身体に馴染んだ。



間違いない、僕の車だ。多分・・・・



「う~う~」



後部座席からの声に、僕の身体は全力でビビった。



3列目の後部座席には、身体を縛られ、手錠を掛けられ、


口を塞がれた少女が呻き声を上げていた。



そんな不穏な状況に、僕の身体は全力で怯えた。




一体僕は何をやったんだ?





セーラー服を着た少女は、目で何かを必死に訴えていた。



状況からして、僕が誘拐した少女か?




とりあえず・・・・



少女に話を聞いてみない事には、詳細は理解できない。




僕は少女の口を塞いでるガムテープをゆっくりと剥いだ。



すると



「お願い、逃げないから、トイレに行かせて!もう限界!」



「えっえっえっ」



どうしよう。


僕の頭脳はそれに関して、何の回答を出すことは出来ず。



「お願いです!」



彼女の声に押されて、彼女を車外に出した。 しかし、



「あ・・・」



彼女は悲しい声を出した。


ミッションが失敗したらしい。




誘拐された?事に比べれば、そんなに悲劇とは言えないが、


女子のプライド的には、比べものにならないレベルの悲劇だ。



目の前の少女から、清楚系美少女お嬢様オーラが、


崩れ落ちる瞬間を僕は、とても残念な現場を目撃してしまった。



「なんか・・・ごめん」




清楚系美少女お嬢様オーラが、


剥がれた直後の少女は呆然としていた。




「あの・・・バック取ってもらえます?」



彼女は弱々しく言った。


僕はすぐに陸上部と書かれたバックを彼女に渡した。



「大丈夫、見なかったことにするから」


僕は慰めになるかどうか解らない言葉を掛けた。




「これで私を撮ってもらえます?」



と少女はピンクのチェキを僕に渡した。

実物は初めて見たけど、インスタントカメラか?




「漏らした自分を撮ってくれと?」



「自分を、より客観的に捉えて置きたいので」




「う・・うん」




しかし、どうしよう・・・・


今は誘拐中・・多分。僕は記憶喪失中。彼女はお漏らし中。



「安心してください。


後で法廷に提出とか誓ってしないので」




【法廷】その言葉が、僕の肩にずっしりと乗った。



今までの僕が真面目に生きて来たのかは解らないが、


現時点で僕は罪を犯している。それも、かなりの重罪だ。



僕はその言葉の衝撃に耐えながら、カメラを彼女に向けた。



向けられた彼女は、哀しげにうつむいた。




フラッシュが、思ってた以上に光り、僕は全身で焦った。



「ちょっと見せてもらえます?」



そう言われ、写真を一枚見せた。



数秒、確認した後、


「はい、おkです、さっきより上手に撮れてます」


さっきも撮ってたのかよ!


何してんだよ、さっきのこの子&さっきの僕!


誘拐中だよ!



「ちょっとそこの水道で洗ってきても良いですか?」



「う・・うん」



「誘拐犯のパシリさんも、着いてきます?」



「パシリ?」


僕は主犯ではないようだ。



深夜の公園の水道で、女子の下半身を洗ってるところを、


誰かに見られたら、即、通報される。



でもさいわい、深夜の公園には誰の姿も見えなかった。



「これをこーしてここに・・・・。」



彼女に言われるまま僕は、


人が来るかも知れない方向に立ち、


バスタオルを広げ壁になった。



「えっえっえっ、ここでスカートを脱ぐの?」



「大丈夫です」



彼女は、小さい声で囁いくと、


蛇口を上にして、パンツに向けて水を噴出させた。




「また撮ってもらえます?」



「えっ、ここでも?」



「はい」




僕は仕方なくバスタオルの壁を維持しつつ、カメラで彼女を撮影した。




深夜の公園でまたもやフラッシュが焚かれた。



陸上部で鍛えられた彼女の足腰は、


暗闇の中でも惹きたった。



「はい、ありがとうございます」


の声で撮影は終わった。



バスタオルを腰に巻くと、濡れたパンツを脱ぎ、


陸上用の短パンに着替えた。



「記念に、いります?」



彼女は濡れた方のパンツを僕に示した。


僕は相当変態だと思われているらしい・・・。


そこまで変態じゃない。いや変態かも知れない。


まあ誘拐犯のパシリらしいし、それは仕方ないか。


しかし、なんの記念だろう?



「いらない」



「ホントに?」



「ホントに」



「良かった。そんなに変態じゃなくて」



彼女はちょっと安心したみたいだが、


それはどうだろう?


今の僕が本能に忠実じゃなかったってだけで、


本能にもっと忠誠を誓っていたら、違う答えになっていたはずだ。



彼女は濡れたパンツをバックにしまった。



「はあ」



彼女は、色んな種類の意味を含んだ溜息をついた。



その小さな溜息は僕の心に沁み渡り、居た堪れなくなった。



つづく



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ