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第二会場!

憂国の士と鷲獅子の旗を掲げよ

軍記物?戦記物?っていうんですかね? 私は普段読まないジャンルですが、しっかりと作り込まれていて面白かったです。4000字の中によく入ったなというくらいの情報量で、人によってはやや多いと感じるかもしれませんが、ファンタジー世界の国通しの争いを描くとなると、これくらいは必要になりますよね。今後は反旗を翻してまずは国内のいざこざを鎮圧、ついで南と東から攻めてきているという敵国との戦いになるのでしょうか、あぁ、わくわくしますね(笑) ちょっと毛色は違いますが、昔「火の国、風の国物語」っていうお話が合って、これは魔法もありで結構戦闘はぶっ飛んでたんですが、国同士の戦いとかは割と似てるのかなと思いました。本作は今のことろ魔法などはないファンタジーの世界観っぽくみえるので、戦いはよりリアリティのあるものになるのでしょう(もしかしたらこの後魔法的なのも出て来るかもですが)。気になったのは、周りの国が攻めてきているのに自分に批判的な重臣たちを殺している第二王子と王妃は、思惑通り王座に付けたとしてどうするつもりなんでしょう? 周りの国と既に手を組んでいて、内外から国を滅ぼそうとしているのであれば分かりますが、それだと王座につくことにそれほどメリットがないような気も。まぁこの辺は追々明かされると思いますし、純粋に先が気になって面白かったです!



青い瞳に恋をした

自分を助けてくれた退魔師の男性に憧れて、彼を探して自分も退魔師になろうとする女の子の物語。女の子の清々しいくらいのまっすぐな性格が読んでいてとても気持ち良かったです。妖魔がどれほど邪悪な存在なのか、この話だけではうかがい知ることができませんが、ご両親の気持ちは痛い程によく分かります。そのご両親の気持ちを理解できずに反発するまだ若い主人公の機微も絶妙で、キャラが生きている感じがしました。セリフも地の文も引っ掛かるところが全くなく、書き慣れている方の作品だろうなぁと思いました。とても完成度が高かったです。他方、書き出し祭りの4000字としてはインパクトは薄かったかなとも思いました。一話丸々両親とのケンカ(というか説得)というのは少々もったいない気もしました。やっぱりこの出だしだと、青い瞳の男性と主人公の関係性がどう転んでいくのかが気になってしまいます。男性は主人公の事を覚えているのか? どんな対応をとるのか? 冷たい? 優しい? 無関心? そんな彼に主人公がどうアタックしていくのかも気になりますし、今後展開されるであろうそういう描写が読んでみたかったです。キャラが魅力的だっただけに、余計にそう思うのかもしれません(笑)



理想のあの世で会いましょう

とりあえず知らない単語が出てきたら調べることにしている私ですが、「This man」を調べ、無事眠れない夜を過ごすことになったことをここにお知らせいたします(ただいま午前2時40分)。だって! だって!!! 目が覚めたら調べてみろっていうから!!(´;ω;`)(笑) いやー、苦手系ホラーと大丈夫系ホラーがあるんですが、これは苦手系ホラーでしたね……(どちらかと言えば都市伝説、かな?)(笑) なんてことはさておき、この独特の雰囲気、くせになりそうなおもしろさでしたね。特に黒い人影が「さよならー!」「ばいばーい!」「またねー!」とさも自分たちが普通であるかのように日常会話を繰り広げる様は鳥肌がぶわって立つくらいぞくぞくしました。都市伝説系のお話になるのでしょうか、学校の怪談の現代版のようにも見えますし、ぬーべーのスタイリッシュ版なようにも感じますし、ホラー・都市伝説はいくらでもネタが転がっていますから、ネタも豊富で今後の展開にも期待できます。とても面白かったです。気になる点をあげるとすれば、主人公たちが中学生にしてはややませているかな? と。これ冒頭の心情描写読んだりする限り、高校生くらいの精神年齢でもいいと思います。「自分たちにとっての世界は、自分たちの視界の範囲内で完結しているしそれでいい」と認識できる中学生は中々いないかなと(笑)



色めく世界と比翼の旅烏たびがらす

ゆったりとした立ち上がりの良質なファンタジー作品。恐らく主人公は異世界から転移してきていると予測できるので、そういう要素もあるのでしょうか? ただ、異世界から来たことによるメリットを前面に押し出すというよりは、「旅烏」という言葉から推測するに、異邦人、流浪人といった、デメリットの方が強く描かれているような気もします。その中で少女クレアと出会い、ささやかながらの幸せを享受しているという感じでしょうか。「比翼」なので、お互いにお互いがいないとダメな関係、なのかもしれません。え、なにそれ素敵(笑) 今後語られるであろうクレアとの出会いも気になるところです。非常に丁寧に描かれていて、情景も容易に想像できて没入しやすかったですが、旅の目的が示されていないのが少し勿体ないかなと思いました。特にあてもなくふらふらしている、という可能性も捨てきれませんが、意味深なタイトルといい、絶対そんな事はないと思うんですよね。なので一文でも目的を推測できる描写があれば、読者の妄想もはかどって次がもっと読みたくなる感じになったかなと思いました。とはいえ、十分今のままでも続きは読みたいのですが(笑)



幸運の子~生まれた時から異形に守護されております~

おぉおお(笑) これはまた独特の雰囲気をもった良作。いかなる災厄からも身を守ってくれる、誰にも見えない異形。それが憑いていることを幸運と呼ぶのか、はたまたそれ自体がすでに災厄であると捉えるべきなのか。こういう異形の存在は最終的に憎めない、温かみのあるキャラに育って行って、何らかの形で分かれる(死別・離別問わず)時に完全に涙腺をやられるパターンが多いかなと思うのですがどうでしょう。私はすでにその時のことを考えただけで若干やばいです(笑) ただ、最後の不穏な一文「お前が呼ぶ『アキラ』はきっと、僕じゃないんだろう?」という引きがちょっとそういう結末には向かってないのではないかと思わせてくれていますね。素晴らしい引きだと思いました。主人公がそう邪推する理由がまず知りたいですし、その推測が当たっていた場合、異形がそのことに気付いた時果たしてどうなるのか、というハラハラもあります。総じて、「とりあえず次だ!次を読みたいぞ!」と思わせる膂力のある一文だと思いました。んー、レベル高い(笑)



今も僕を束縛する、三人の彼女の話をしよう

や、好き勝手楽しそうに書いてますね(笑)

本作のメイキングというか、小話的なのをエッセイの最後にまとめましたので、興味がある方は読んでみてください。趣味と好みを詰め込んではいますが、一応自分なりにテーマと意味合いを持たせた作品です(笑)



万年筆のインクが切れた

はい、一話単体での話であれば、今回のお祭りで一番好きなお話です。多分感想が長くなります。性的倒錯と倫理観の欠如と地の文の流麗さとそこはかとないエロスがマーブルみたいに混合した最高にやばい作品だと思います(超絶誉め言葉)。この前の私の作品も大概倫理観おかしいので、これが二作並ぶのはなんかすごいなと勝手に縁を感じていました(笑)(完成度は及ぶべくもありませんが……)

構成は言うまでもなくうまくて、読者視点で見ると、主人公がストーカーであるという先入観がしばらく続くんですよね。これが「――本当に、楓さんは演技がうまいんだから」の文章まで続くのがやばい、もうやばい。ここで主人公が最高に気持ち悪いと思うんですけど、そこから立場が一気に逆転する流れは最早謎のカタルシスを感じるレベル。

ただ、もっとすごいと思ったのは、主人公とヒロイン楓の設定ですね。主人公は楓が「他人の物になっている」という満ち足りない想いと、その穴を埋めるために自分の中の気持ちを吐き出す作業に快感を覚えていて、楓はそんな好き勝手する自分をそれでも愛し続けてくれている、愛を形として提示してくれている主人公の行動に快楽を得ているわけです(たぶん)。これはどちらかと言えば相利共生みたいな関係で、愛ではないのではないか? とか、お互いに満足しているように見える関係性ではあるけれど、主導権は楓が握っていていつでも関係性を終わらせることができるのは主人公ではない、という理不尽な状況なんだなとか、色々想像の余地があって最高に面白かったです(全くそんな事意図されていなかったらすみません、穴掘ってそこで暮らします)。

一つだけ突っ込みをいれるとするならば、これはもう短編じゃんっていうことくらいですが、そんなことどうでもいいくらい面白かったです。ありがとうございました。うん、やっぱり感想長くなった(笑)



雅探偵事務所は今日もビンボー

ホットスタートの探偵ものいいですね! もっとだ! もっと探偵ものが読みたい!(笑)

まずはキャラを立たせるぜ! とばかりの書き出し、とても良いと思いました。探偵もの、推理物、ミステリは総じて「まずは死体を出すか探偵に推理をさせる」のが安パイと言われていますが、私は別にそうじゃなくてもいいと思ってます。ミステリにトリックを期待している人は早く事件が起こって欲しいと思うでしょうけれど、癖のある探偵が謎を解く系の所謂ライトミステリであれば、読者層が求めるのはキャラや設定の面白さであって、必ずしも先述の前提に則る必要はないと思いますし、むしろキャラを立たせるのが先かなと。なので、四人もキャラが出ているにも関わらず、大体全員の特徴が覚えていられる本書き出しはとっても良いなぁと思いました。ただ、主人公の「能力」。これだけは情報がもう少し欲しかったなと思いました。何かが「見える」んだと思うんですが、具体的な描写が一切ないので、今の段階では推測することもできず、若干フラストレーションが溜まります。引きもただなんか掃除するだけなので、もう少し能力に関連する引きが欲しかった所です。あとはそうですね……やっぱり改行かなぁ。文字がぎゅっと詰まっていたので、読み手は少ししんどかったかもです。



Ultimate Hacker Online ~無料で稼げるデスゲーム~

デスゲームとはタイトルにありつつも、書き出しの段階ではそこまでヒリヒリとした焦燥感はなく、むしろ緩くのんびりとした滑り出し。ここから誰かが本当に死ぬことで状況を一転させるもよし、そんな事はせずにまったりと進めるもよしの二通りの選択肢が存在しているので、書き出し的には良いのではないかと思いました。個人的な好みは前者の展開ですが(笑) この手のお話しにどれぐらい設定の細かさとリアリティを求めるかは意見が分かれるところだと思うのですが、ほとんどをブラックボックス化している本作のやり方が一番良いような気がしました。ツッコミを入れ始めればきりがないですし(笑) ただ、現状問題にならない程度しか死人が出ていないというのはさすがにぬるすぎるのかなぁと。いくら難易度調整が絶妙と言っても、普通にゲームやっていれば一度や二度は死ぬわけで、儲けたければ強い敵を狩る必要がある、という金額設定がされているのであればもうちょっと死んだらやばそうという噂がゲーム内だけでも流れていても良いのではないかと(それをプレイヤーが信じるかどうかは別として)思いました。ただこれも説明を入れるかどうかは、この後の展開次第かなという気もします。



竜の嫁取り~唄紡ぎの渡り巫女~

ご飯の描写がすんごく美味しそう……。このタイトルで飯テロをくらうとは思いませんでした(笑) いや、でもジブリのご飯が美味しそうなのと一緒で、ファンタジー作品とご飯の描写は切っても切れない関係なのだろうか……。

とてもレベルの高い地の文で書かれており、ほぼ主人公の独白で占められているにもかかわらず面白く、すらすらと読めるのはすごいと思いました。ご飯に関する内容がしっかりと物語の基盤を支えているのもいいですね。記憶を取り戻すきっかけとして結構斬新ですし、くすっと笑えますし、なによりお腹が空きます(笑)

六種の呪力を備えながらも絶対量が少なすぎて見放された主人公は、活躍できるポテンシャルをがんがんに秘めているので、今から活躍が楽しみです。惜しむらくはタイトルがどう関係しているのか、現状ではメインタイトルもサブタイトルも両方分からない、というところでしょうか(かろうじて渡り巫女は最後に出てきましたが)。ただ、長編ファンタジーを想定されて書かれている気がするので、必ずしも出鼻4000字でタイトルを回収する必要はないかなとも思います。



店長はくまさんです怖くありません

クマは怖いですよ(これ、どこかで言ったと思って探したら、第三会場の「赤錆とグランダ」の感想の時に言ってましたね(笑) クマは本当に怖いんですよ……)。

地の文は軽妙で読み易く、情報の提示も丁寧でストレスなく読める良作でした。気づいたら読み終わってたというか4000字を感じなかったというか、綿あめみたいな不思議な読み応えでした(笑)

んー、リアル路線なのでどうしても借金関係が気になってしまうんですよね。両親の借金に子供を巻き込むのは、主人公のツッコミ通り「あり得ないのでは」と思ってしまいますし、何より利子が法外。主人公の職歴というか経歴もちょっとリアリティに欠けすぎ? という面で、没入しきれない点は残念でした。とはいえ、これらはあくまで場を整えるための舞台装置であって、肝心なのはこれから始まるクマのパン屋さんでの話ですよね。ここからより詳しく、今の状況を打破する方法があげられるかもしれませんし、なによりクマの正体はめっちゃ気になります(笑) エンタメ小説でリアリティをどこまで追求するのかというのは答えのない命題な気もしますが、今後の流れ次第では全然オッケーかなと思いました。書き出し祭りじゃなければ、そのまま一旦流して読み進めてると思います。地の文が読み易いですし。



邪竜神殿へようこそ!

いや、栄転ではなかろう(笑) 主人公のポジティブさが振り切れてて面白いです(笑)

主人公のキャラは確立されてるといっていいかなと思いました。めっちゃポジティブ+ちょっとお馬鹿+好奇心旺盛、って所でしょうか。年齢がやや若めに見えますが、働いてるってことはそれなりの年齢なんでしょうか? 十代後半くらいかな? 七秘宝の封印をうっかり解いてしまった子を、一人でこんなところに送り込んではいかんだろう、という気もしないでもないですが(また何かやらかすのは目に見えてる気も)、結構厳重に隠されていたようですし、まさか上司もそこにたどり着くとは思わなかったのでしょう(笑) もしくはそもそもその存在自体を知らなかった、とかかな。

文章はしっかりしていて、読みにくいところもなく、説明が多いはずですがさらりと読める文体は書き慣れ、推敲慣れしているように感じました。ただ惜しむらくは、ずっと主人公が一人で喋りながら(もとい解説しながら)進んでいるというところでしょうか。ここだけ見ると、ちょっと寂しい痛い子に見えなくもないんですよね。なんか相方的な存在が居ればよかったのかなぁと思いました。別に人間でなくても良くて、例えば昔から仲のいいペットのぴーちゃん(仮名)とか。その子と喋りながら進めたりすれば、(例えば「ぴーちゃんどこ行くの? え……どこ、ここ?」みたいな)話に起伏が出たのかもしれません。とはいえ、最後に相方キャラは出てますし、ここで無理に設定を弄る必要はないかもしれませんが。



陰陽師転生~和洋折衷にも程があるよね!~

安倍晴明って「せいめい」って読むんだと思ってたら「はるあき」って読みもあるんですね、勉強になりました。内容ですが、そうですね……「俺は高校生探偵、工藤新一!」みたいな書き出しだなと思いました(笑) 八割方が一人語りで構成されていて、読み易くて面白い試みだと思います。反面、起伏には欠けるかなとも思います。こういう独白(戦闘からの現実逃避中)の出だしって、漫画の出だしとかでよく見かけますよね。「血界戦線」とか、こんな感じじゃなかったかなぁ(うろ覚えですが)。あれは絵がガンガンに動いてるので独白を見ながらもアクションを見られる、という側面があってよいのですが、小説だと途中で飽きてしまう人もいるかもしれません。なので例えば、独白の途中に敵に襲われてることを暗喩する台詞なんか入れても面白かったのかなと思いました。ちょっとごちゃごちゃするかもしれないので、塩梅が難しいかもしれませんが、何かしらに追われてる最中であることは伝わるかもしれません。あるいは、一番冒頭に「絶賛バケモノに襲われてます☆」くらい書いてしまっても良かったのかもしれません。とりあえず主人公の立たされている状況が早めに提示された方が、読者的にはフラストレーションが溜まりにくいかも?です。



Imaginary Creator~俺の相棒が何故か神父なんですが!?~

まさかVRMMO物だったとは(笑) SAO以外はあんまり読んだことなかったんですが、面白かったです。一番笑ったところは<ディスク>の相方のリズムモンキー<ジョッキー>の存在意義のなさなんですが、まぁそこは置いておくとして(笑)

唯一無二の相棒が与えられて、一緒に冒険を出来るゲーム、いいですね。実際にやってみたくなります。相棒がスライムだった子が今や最前線で活躍しているという設定も熱いですね。いつか相対する時に「こいつが……!」ってなる展開を考えるだけでわくわくします。初代ポケモンの原点にして頂点、レッドみたいな感じですね。ちょっと気になったのは、これ最初の二人「どちらが相棒としての存在」なのかが分かるのがちょっと遅かった部分でしょうか。もちろんタイトルが「相棒が何故か神父」なので、神父の方が相棒なのは分かるんですが、その割には「俺だけ棄権して帰っちゃ駄目か?」と言ってるんですよね。棄権と書いてログアウト、とルビが降られているので、こっちが人間の方か?と思ってしまいました。これに付随して、「ニンゲンが相棒として創造された」というのは、AIを実装されたガワだけ人間のCPUなのか、それとも本当に人間なのか、というところですね。プレイヤーがタッグを組んでいるようになっているのか、それともただのCPUなのか、そのどちらであるかを早めに提示してもらえるともっと分かりやすかったかなぁと思いました。



シルバー・ブレット~墓場鳥は鎮魂歌を謳う~

墓場での決闘からのホットスタート、独特の雰囲気がありますね。手に持ってる武器はちっちゃいパイルドライバーみたいな感じなんでしょうか。スピンコックからの装填のシーンとか最高にかっこよくて震えました(笑) ただ敵が大きくなってから? はちょっと描写が足りてないところがあるかなと。ケルベロスって出たので四足歩行になったのかなぁと思ったんですが、銃を向け合ってて、え?結局二足歩行?っていうか何で大きくなったの?という疑問が浮かんでしまい、ホットスタートのラストに没入できなかったのが残念です。後半はソロモンの小瓶という、これまた心が躍るネーミングの品が出てくるんですが、イマイチ世界観がつかみ切れないところがありました。ソロモンの小瓶の逸話は眉唾であり、魔人や悪魔はいないものとして認識されている。のであれば、この子達はただ聖職者の下で育っただけの普通の子なのでしょうか。なのにソロモンの小瓶を回収……? その辺の説明のなさが気になって、一度で全ての情報を精査しきれなかったのが残念な所です。面白そうな設定が見え隠れしているだけに、ここである程度説明が欲しかったかなと思いました。



正義とエゴの差を求めよ、ダークヒーロー

スタイリッシュ版「ヒロアカ」みたいな感じですかね。「この世に無限にあるしがらみを、人はそれぞれひとつだけ無視することができる」というのは、中々パンチが効いていて面白いと思いました。「身体能力限界の無視」は「体の丈夫さ」や「その動きを把握する脳の処理能力」の限界を無視できているのかとか、若干つっこみどころが出てきそうではありますが、その辺はうまいこと誤魔化しがききそうではあります。しがらみ=制限、と解釈してもよさそうですが、冒頭に「無限にあるしがらみ」とあるように、一つの制限を無視したところで、それが万能ではないところがポイントですね。いい感じにインフレは避けられそうな設定です。ただ気になるのは主人公の「異能がひとり一つである」ことを無視した能力なんですが、なんでこれが「異能を奪う」ことにつながるのか若干分かりませんでした。異能を奪うのは指輪の能力で、彼自身の異能とは関係ないのかな? あとこれはきっと後々明かされるとは思うんですが、爆発と音の振動、これは一体何を無視したらこうなるんでしょう(笑) 最初の移動の時に使ったのは「重力の無視」っぽいですが、爆発はなんだろう……「分子間力の無視」とかですかね(笑) 



定跡外れ少女☆光珠ちゃん

これはまた好き嫌いがばりっと分かれそうな(笑) 独特の感性をごりっと置いていきましたね、面白いです(笑) 西尾維新とかお好きなのかなぁとか思いましたが、早計ですかね。ともあれ、癖のある地の文は、一つの事柄に対してやたらと多くのことを連想して考えてしまう、という主人公光珠の脳内を如実に表しているのであろうと思います。告白された時に普通ならあり得ない返答をしてしまうという彼女の行動を裏付ける十分な裏付けにはなっていると思います。「ざっと片手の指の数ほど。以下の触腕であればその半分ほど」なんて文章普通思いつかないので、個人的には「味があっていい!もっとやれ!」となります(笑) ですが、せめて改行と行間は空けて、一人称と三人称の視点は統一した方がいいと思います(途中で一人称→三人称→一人称の流れになってますね)。それだけで大分みやすくなって、この個性の塊で殴られるみたいな地の文がより生きて来るのかなぁと思いました。



やっぱり人の肉は、ミディアムレア

個性が強い(笑) ゾンビとかグロとか苦手な私はおそるおそるスクロールしながら読んでました……、が、面白かったです。「人間とはつまるところ、『骨』である」はインパクトのある一文ですね。絶対違うだろ、と思いながらも、こじつけ、詭弁以外のこれといった反論が思いつかない一文です。なにより、主人公の背景を知れば、まぁそう思うのも無理はないか、という気分にもなる。作品の雰囲気を一気にこの文章が決めた気がしました。

地の文が非常に読み易く、さくさくと読み進めることができました。かなり書き慣れた方なのではないかと感じました。扱うテーマは非常にセンシティブというかナイーブというか、それ、食べちゃった遺族の死体どうするのさ、というつっこみとか色々ありはするんですけど、どう処理するのか、どう物語が展開するのか気になるので、とりあえず次の話は読みたくなりますよね(笑) ただ若干単発ものっぽい雰囲気も感じていて、このラストの一文を回収するために書かれたのではないかとも思ってしまいます。ゾンビが出てくるラノベ、漫画でぱんと思いつくのは「これはゾンビですか?」と「さんかれあ」くらいなんですが、連載があるとすれば後者寄りの展開になるのかもしれません。



実家を出た元貴族の俺は、死に戻り系鬼畜難易度のダンジョンにソロで挑むことにした

これ今打ち込んでて気づいたんですけど、タイトルが限界一杯ぎりぎりまで使ってあってすごい(笑) 内容は古き良きダンジョン探索系ゲームを彷彿としました。トルネコの大冒険とか風来のシレンとか、あの辺りの。なので小説として云々というよりも、ゲームでこれやりたいなぁと思ってしまいました(笑) 恐らくダンジョンの詳細についての説明に4000文字めいっぱい使っているからだと思います。何故ダンジョンが存在しているのか、魔石しか持ち帰れないとあるが、本来であれば他に何が持ち帰れるのか、「死亡不可」がさらりと書かれてるけれど、この世界での「死亡」の扱いはどうなっているのか、など世界観の説明がなく、かつ主人公の特色もほぼ見えない。その代り、戦闘シーンは派手で、使っている武器や小道具もイメージしやすいものが多く、ゲームのチュートリアルを見ているような気分になる。という感じで、物語を見ているというよりかは、これからこのゲームをするぜ!という気分になりました。それが作者さまの狙いであり、この調子でどんどんとダンジョンを攻略していく流れなのだとすれば、斬新で面白いと思います。先述のゲームが好きな層には刺さりそうですし、少なくとも私には刺さります(笑) 物語性を重視したかったのであれば、もう少し前述の説明は欲しかったかな?という感じです。



縁切り神社のふしぎなご縁

人の頭から出る線が見える主人公が、「縁切り神社」と噂される神社にお祓いに来たお話ですね。主人公が「縁切り神社」に来たのは、その能力との縁を切りたかったから、ということなのかなと思いながら読み進めていました。具体的に縁切り神社に来た理由は、特に明示されていなかったですよね。地元にいる間は気にも留めていなかったけれど、都会に来たら結構グロテスクな光景も見えたから辟易として耐え切れずお祓いに来た、という最後の数段落は、これまで主人公が能力を持っていたことと、自分の能力とどういう風に向き合って来たかが分かってよい設定だなと思いました。主人公が今お祓いを求める理由付けにもなっていますしね。都会の人間ほど線に雁字搦めにされている具体的な理由は書かれていませんが、何となく人との関係や縁などにストレスを感じていたり、何かトラブルがあったりするのかなとタイトルや内容である程度想像が出来たのでこの時点で明示されてなくてもよいのかなと思いました。ただ、全体的にお祓いに来る→場所を間違える→お祓いをお願いする→お財布を忘れる→とりあえず見学だけでも、と場所を間違えたり財布を忘れたり、目的を中々達成できない構成になっているのは少し読み進めるうえで障害にはなるかなとも思いました。場所を間違えるくだりなしで、一気に財布を忘れたくだりまでは飛べそうな気もします。



元公爵令嬢の憧れ

大きく物語が動き出す序章、という感じですね。タイトルの「元」公爵令嬢には今からなるわけですね。何に憧れているのかはこの段階では分かりませんでしたが、「銃も魔法も拳も振るい放題の生活」を想って笑みを浮かべているところを見ると、これまでの生活が鬱屈としていて、自由な生活に憧れていたのかなという気がしました。「不正が発覚した」からの「あぁ、やっとなのね」の流れは、主人公は不正が発覚したことで不利益を被る方ではなく、むしろそれを望んでいたのだということを示す流れになっていて、結構パンチがきいていていいなと思うったのですが、最初から主人公がフラットマン一家のものであることは示しておいた方がよりインパクトがあったかなと思います。現状、主人公が何者であるかが読者に明確に提示されるのがオフィーリアの「当たり前でしょ~」のセリフからなので、前半半分のどこかにその情報があっても良かったのかなと思いました。あと、主人公がみつけて匿っていた(養っていた?)優秀な子供たちという設定が個人的にとっても好きでした。ここから群像劇風にもできますし、主人公目線で進めることも勿論できる、長期シリーズ向きの良い設定だなと思いました。



裏山のエルフ村は緑茶を欲する

魔力とお茶をかけ合わせるという発想の勝利ですねこれは(笑) 面白かったです!

エルフとお茶をつなぎ合わせた作品は、私が知る限り見た事ないのですが、かけ合わさったタイトルや書き出しを読むと、今までないのが不思議なくらいマッチしていて、とても面白い設定だと思いました。なんかもう、表紙のイラストとかまで見えてきそうです(笑) もう一つ面白いのは、エルフの方がこちらの世界に転移してきている、という点でしょうか。主人公が異世界に、という設定は数多くあれど、逆はそんなにないですよね(「はたらく魔王様」とかはこのパターンでしたが)。村ごと転移してきているのか、この二人だけ転移してきているのかはちょっと分からないんですが、タイトルを見る限り村ごと来てるんですかね。大所帯(笑) 元の世界に帰るためには魔力がたんと必要で、魔力を集めるためにお茶を作る、というような流れになるんでしょうか。中編~長編で完結してしまいそうではありますが、設定がかなり魅力的なので、どうにかしてシリーズものにならないのだろうかと色々妄想してしまいますね(笑)



そして現実の心象風景<エゴイズム>

心象風景をエゴイズムと読ませるセンスが羨ましいですね、スタイリッシュでかっこいいです(笑)

全体的に禁書目録インデックス一巻を彷彿とする雰囲気・場面が多く、作者さまがお好きなのかなぁと思いました(違ったらすみません)。異能力の設定はほとんどブラックボックス化していていますが、やたらと細かい設定を付け加えるよりツッコミも少ないですし、「こういう設定なんだ!理解するな、感じろ!」感があって私は好きです(笑) 心象風景が異能力の根源にある、というのは科学寄りというよりは、むしろ芸術寄りの能力な感じがして、わくわくします。能力のバリエーションも多そうです。「実質無能力」の主人公が「呪術」を使う敵と相対したところで次の話へと続くわけですが、禁書目録時代の異能力系バトルラノベを読んでいる気分になって懐かしかったです。これ系のお話しは最近あまり出てない気がする(少なくともなろうからは)ので、是非このテンションで書き続けていただきたいなと思いました。続きが読みたいです。



宙の人

あぁぁぁ……面白い……。こんな上質なSF作品に出合えるなんて(歓喜

AIとの会話は程よく軽妙で読んでいて楽しく、地の文も流麗。設定はいくつか不明な点はあるものの、隠れているからこそわくわくする点もあり、もうなんていうか総じてレベルの高い一品でした。続きが読みたいなぁ……。

設定で気になっているのは、何故宇宙空間で作業をしているのか、という部分と(ようするに地球はどこに行ったんだという)、「シェル」が宇宙服というにはちょっと大きすぎる気がする点ですかね。前者についてはやっぱり宇宙を出していて科学技術が登場している以上、地球と舞台の関係性は早めに提示されているといいなと思いました。後者については好みの問題とは思うのですが、シェルはこれ、服というよりもう機体なのでは? という。なんか勝手にちっちゃいガンダムみたいなのを想像していたんですが、違うんでしょうか(笑)

まぁこんなのは些細な問題で、超面白かったです。無重力ブロックから有重力ブロックに入った時の細かい描写なんてすばらしいですよね。実際に自分がそこに居るような気分になりました。



神は腐男子で兄でした!

神ってそういう!(笑)

てっきり神様がそういう人なのかと思ってたんですが、違いましたか(笑)

コミケというものの存在は知りつつ、一回行ってみたいなぁなんて軽く思いながらも一度も足を運べたことのない身としては、興味深く読ませていただきました。腐女子というのはよく耳にする単語ですが、腐男子という方もいるんですね。BL物が好きな男性ってことでしょうか。本作では兄がBL本(ですよね?)を作っていたようですが、女性ではなく男性が書いたBL本というのも全く違うテイストで描かれてそうで面白そうですよね(でも割とよくいるのでしょうか。不勉強ですみません……)。

「ある意味堕ちたとも言える」とか、地の文もちょいちょい笑えて面白かったです。少女漫画の第一話みたいな良質な書き出しだなと思って読んでたんですが、ここからはやっぱり義理の兄との恋愛ものに発展していくんでしょうか。中々複雑な恋愛模様になりそうですが、キャラが立ってるのでどたばたコメディ的で面白そうですね(笑)



楡と葡萄

これはまさかの推理ものなのでは?(歓喜

タイトルからは全く内容が想像できなかったんですが、これは本当にミステリ、あるいはヒューマンドラマの可能性ありますね(私が知らないだけで神話か何かに楡と葡萄の話があって、それをかたどった文芸作品である可能性も捨てきれませんが)。

決して読み易いとは言えない文章ではあるんですが、独特の雰囲気があって私は好きでした。読むのに他の作品の1.5倍位の時間はかかりましたけど(笑) ただ、読み進めるとレトリックな文章が頻出するのは場面転換までで、刑事が出て来てからは意外とそうでもないんですよね。割と堅い地の文というか、寧ろ巧みというか。なので冒頭は意図してあぁいう文章にしたのかなぁと思い、それだとしたらすごく書き慣れてる人なんだろうと思いました。で、何度か読み返してみたんですけど、やっぱりミステリですかねこれは!(笑) ワイダニット系かフーダニット系に見えるんですが、どうなんでしょう。この冒頭でジャンルがまだふるい分けできないっていうのは書き出し祭り的にはマイナスではあると思いますが、作品として純粋に続きが読みたいです。ミステリかどうかが気になる(笑)



タヒ丘青春心中

はい、こちら私が第二会場で最も続きが読みたい作品だと心から叫びたい一品です。いやぁ……素晴らしいですよね(貧困な語彙力

自殺しようとする主人公に淡々と理論をぶつけて「それでは死ねないよ」と言うヒロイン(?)。それを覆そうと頭から落ちようとする主人公。さらにそれを止めて、自殺を教唆するようなヒロイン。自殺の手法を巡る物語が始まる引き。書き出しとしてこれ以上ないくらいの完成度でしたし、何より私の好みど真ん中でした。あぁ好き。

衝撃度を求め始めたり、AISの話が出てきたりした時点でもう心は鷲掴みにされてたんですが、引きの一文もいいですよね。火傷少女っていうちょっとテーマが似てる作品があるんですが、それを思い出しました。でもこっちの方が出てくるキャラが魅力的で個人的には好きです。最終的に本当に死を選ぶのか、それとも踏みとどまるのか。彼女との関係はその選択の果てにどうなるのか、など色々と知りたいことが山積みでとりあえず続きが読みたいの一言でした。面白かったです。



心歪能力者は今宵も狂い舞う

大なり小なり、歴史の転換点っていうのは確かにいつの時代にもありますよね。科学的な発明であったり、出来事だったり。「伊達論文」は伊達レポートって読むんでしょうか。論文が転換点になってるという設定は中々わくわくします。ただ、「今宵である」というのはちょっとよく分かりませんでした。いつでも今が転換点ってことなんですかね?

で、中心になってくる心歪能力ですが。んー、こういう能力設定とそれに伴う社会の動きみたいなのに負の印象がある場合、かなり慎重に取り扱った方がいいのかなぁと個人的には思いました(私がそういうのが気になってしまうだけなのですが)。心が不安定な思春期の子供にストレスを強いる社会って設定は単純にやばすぎますし、成り立つとは思えないんですよね。普通にストレス社会から生まれた突然変異体という形ではだめだったのかなと思いました。カオスチャイルドとか空の境界とか、似た感じのテイストで異能を扱ってるんですが、特に前者は社会の流れと異能の組み合わせが絶妙だったので、もしそういう流れをくむのであればあんな感じにしたらどうかなぁと思いました。しかし、世界も歪んでいてそこから化け物が生まれる。バケモノに対抗できるのは同じく歪んでいる心歪能力だけ、という設定は素晴らしいと思いました。なんとなく理屈も通ってますし、歪みには歪みで対抗する、なんて最高に熱いですよね(笑) なので、枝葉の細かい設定がすっきりすればもっと面白くなりそうな題材だなぁと思いました。面白かったです。



先日、妹が逝きまして

(´;ω;`)

こんなん泣くしかないやん……(「あの日、大量の雨を降らせた梅雨前線はどこ行った」のところで既に涙腺が危なかった人)。あぁ……うまいですねぇ……。淡々とした地の文の中に見える後悔と切なさとやるせなさがどうしようもなく心に響きました。なんやこれ……。

えぇっと……あぁ、語彙が吹き飛んでるのであれなんですが、とりあえず最初の「……嫌い。もう来ないで」からの真ん中で「大好きなお兄ちゃんへ」は最高に泣ける描写だと思いました。

ジェットコースターみたいな状況と心情の変化に私の心が追い付きません。

とりあえず続きが読みたいです。絶対泣きますけど。でも読みたいです。



俺のパンツやるから!

この!!一個前の!!作品との!!テンションの差!!(笑)

いや、もうこれは投稿順なのでどうしようもないんですが(笑)

でもこれ好きですね、突き抜けてて(笑) なんか元気貰いました(笑)

タイトルからの「お前のパンツ、俺にくれ!」の流れで、ハガレンを思い出して一人で笑ってました。等価交換かよ、みたいな(笑)

ただまぁ、イケメンだったらパンツをみせてと言えば見せてもらえるのかい!というツッコミはありますね。んなわけなかろうと(笑) コメディよりの作風なので設定としてはありっちゃありな気がしますが、無理な人はとことん無理な設定かも知れません。私は気にならなかったですが。

あと気になったのは生徒会長の口調ですかね。最初と最後でちょっと違いすぎるかなと。最初はややぶっきらぼうな男勝りな感じなのに、最後は冷たいどS系お嬢様風の口調になってたので、どちらかに統一した方がいい気はしました。細かい点をのぞけばテンポも良くてさくさく読めるのでこのノリで一気に書き切って欲しいなと思える作品でした(笑)


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