第一会場!
移動チートの運び屋(強い)―だいたいバカにされるけど圧勝します―
いきなり面白いの来た(笑)
着眼点が「運び屋」っていうのがユニークでいいですね! 「速さ」を売りにした主人公は結構いますけど、そのスピードを戦闘ではなく運び屋に落とし込んでいるところに、まず心がひかれました。
今後の展望がある程度読めるところも、ポイント高いですよね。
まず主人公のサクヤがこのレースでぶち抜きの速さを見せて勝つ。ギフトを運ぶ役目を仰せつかる。そしてお姫様が憧れの相手を見つけてテンション上がる。読者のテンションも上がる。そして名もない男が素っ裸になる。読者喜ぶ。
次の展開はなんとなく予想つくんですけど、それでも次を読みたいって思わせる構成の仕方がスマートでとっても良かったです!
細かい気になるところは、最初サクヤって性別どっちなのかなーって思ったところと(ちょっと名前が女の子っぽい?)、『こうしてサクヤが~』からの部分で視点がサクヤに付いて行かず、親父に残ったところですかね? 地の文で親父って書いてたので、三人称よりのサクヤ視点で書かれるのだと思って読んでました。親父は名前で書いていても良かったかもですね。
まぁそんな些細な事はおいておいて、純粋にとっても面白かったです!
勘定奉行:RePossession
がっつり時代劇風だった!しかも死に戻り系だった!
あんまり死に戻り? ループ? 物って読んだ事ないんですけど、時代物と併せてあるのって珍しいですよね? 少なくとも私は、とても新鮮な気持ちで読むことが出来ました。歴史好きの、恐らく元会計士とかの主人公が、悪徳商人側で死に戻りをしながら、正義の手から逃れて悪事を遂行していくのだと推測します! 地の文を読む限り主人公は良い人っぽいですので、悪事をなんとかして阻止しつつも、悪徳商人の起源も損ねないような取り計らいをしそうな予感がします。主人公の胃が持つかが心配(笑)
連載してうまく展開をかいたら大化けしそうな題材だなぁと思いました。死に戻りは好きな人が多いキャッチーな設定ですし、時代物はニッチでかぶりませんが、面白いです。JINとかめちゃくちゃ面白かったですしね。
書くのはめちゃくちゃ大変そうなんですが、歴史と会計?得意な人が書いたらすっごく面白そう。
気になった点、というか、もうこれは私の知識不足なんですが、作中のツッコミの大半に意味が分かりませんでした(´;ω;`) すみません、歴史苦手なんです……
もう少し人物の説明があれば嬉しかったなぁと……でも文字数的に辛いですよね。
ただ、ツッコミが分からなくても、十分楽しめる作品でした!
平成最後、忘れられない夏を拾え
八割が地の文で構成された本作。特に劇的な何が起こるでもなく、起承転結が4000文字の中に含まれてるでもなく、ただ淡々と「夏」を描写した本作。なのに気が付けば最後まで読み切っている吸引力がありました。誰もが一つは思い当たる「夏」の描写を、主人公に自分を重ね合わせることが出来る「夏」の描写を、これでもかと詰め込んでいるからかもしれませんね。高校二年生というまだ不完全な主人公が「平成最後」という部分に希少性を感じ、何か特別にしたのだと考える流れは、非常に共感できましたし、どこかノスタルジーを感じて切なくもなりました。起伏はほとんどありませんでしたが、読者を主人公と重ね合わせるための導入だと考えれば、素晴らしい出だしだと思います!
ヒロインとの絶妙な関係性も、良いですね。王道ではありますが、それ故の魅力がありますし、私は大好物でした(笑)
今後の流れは、ヒロインと幽霊を追いかけつつ一生忘れられない特別な夏を過ごす、みたいな感じでしょうか。ちょっと違うかもですが、あの花的なテイストも感じますね!
細かい点としては、序盤「夏」から得た「汗」に対して「勲章」という感想を抱いていた主人公が、すぐその後に「汗がうざったい」と描写してる点は、少し引っ掛かりましたが……まぁ細かすぎますね、すみません(笑)酷暑が続く、この夏にぴったりの作品でした!
赫キ大陸 ―不死なる皇帝と狂乱の獅子―
大体タイトル予測通りの内容になっていたと思いますが、不死なる皇帝と狂乱の獅子の間の関係性が、こうなるとは想像していませんでした!
あと、思ったよりも狂乱の獅子の方の年齢が上で驚きました(笑)
吸血鬼の皇帝が出て来てから、面白さがぐいっと増している気がしました。それだけ皇帝のキャラが立っていたと思いますし、それまでの堅く鉄臭い雰囲気を、登場シーンから良い意味でがらりと変えてくれたので、親近感が一気に湧きました。この登場の仕方はとっても巧みですね。結構壮大な世界観なんですが、4000字という制限の中で過不足なく説明がなされていて、話に入っていきやすかったです。話のラストで狂乱の獅子の特異性?みたいなものに言及して幕を引いているのも良いなと。なんとなく、ジャンプの連載一話目の転換点みたいな印象を受けました。次の話を読みたくなりますね。
細かい点としては、行間がちょっと不均一だったところと、最初死に物狂いで逃げた主人公が、皇帝を前にした瞬間生きる気をなくしている部分に違和感を覚えたくらいでしょうか。もう少しあがいても良いのかなと思いましたが、とっても些細な問題ですね(笑)
転生も死に戻りもない、がっつりしたハイファンタジー、楽しく読ませていただきました!
退魔のできない退魔士と、ランドセルの似合わない吸血鬼
これはレベル高いですね!
4000文字の中で最初に投げた、一見意味のない「友釣り」を、最後で回収する手法は鮮やかですね。最後まで読むまでは「友釣りの描写は必要なかったのでは?」と感想に書くつもりでいました、浅はかでしたすみませんでした(笑)
比較的淡々とした「僕」を視点とした一人称で進む本作、恐らく退治の対象であろう吸血鬼を夜が遅くなったからと夜道を送るなど、その後にルビイを助ける主人公の人となり、行動の指針は、しっかりと作られてるなぁという印象でした。ただ、ルビイの術を見て、自分の祖父が退魔術を教えてくれなかった理由と関連付ける点はやや不明瞭かな、と(読み取り不足かもしれませんが)。次話以降で解説されるのかもしれませんが、書き出し祭りということを考えると、違う引きでも良かったのかなと。静かな立ち上がりの話は沢山ありますし、一話目としての完成度はかなり高いと思うので、これはもう好みの問題だとは思いますが。
後これは超個人的な事なんですが、どうしてもルビイとの関係性を見ると、物語シリーズのアララギ君が脳裏をよぎるんですよね……。吸血鬼を扱う(しかも幼女)となると、むずかしいところですよね。「友釣り」の術と主人公の「目」という部分がきっとポイントだと思うので、そこで差別化がされてればいいなと思いました。色々書きましたが、ほんと完成度高かったです!
ポンコツ魔術師と人形従者
タイトル予測で大きく外しました恥ずかしい(笑)
ポンコツ魔術師=男の子、人形従者=女の子、だと勝手に思ってたのですが、逆でしたね!
そして人形従者は、人形に異世界の人間を召喚する形でしたね!
召喚→会敵→掃討→ポンコツ!の流れに違和感はなく、それぞれのシーンが明確に頭の中でイメージできてうまいなぁと思いました。特に走りながらの戦闘シーンは私自身が苦手にしてる部分でもあるので、勉強になりました。
王道で安定感のある展開ですが、何か一つ意外性というか、変化球があると良かったのかなぁとか思いました。二人のキャラが、書き出しの時点ではまだ固まりきっていなかったので、会話とかで保管したら良さそう。最初の召喚のシーンが若干長いので、そこが削れそうですね。
細かい点としては、最初三人称ユーリエ寄りだった地の文が、途中から三人称ドールの少年寄りに切り替わったところですかね。完全な三人称ならあれですが、ちょいちょい心の中の言葉が出て来てるので、どちらかに統一した方が分かりやすいのかなと思いました。
人形になってるので、痛みも疲れも感じないと思うんですが、そういうドールの少年が、ユーリエのためにどんな行動を起こすのかを勝手に想像してわくわくしてました(笑)
不死身な俺の殺し方
タイトル予想結構合ってました!嬉しい!(笑)
安定感のある文章でしたし、セリフの一つ一つが良かったです。「私に命をよこしなさい」「断る」「断る、ね。よかったわ、できないわけじゃないのね」なんて、かなりかっこいい受け答えだと思いました。長く生き過ぎて、何の欲も抱かなくなった主人公に「死」を報酬として与える(恐らく)ヒロイン。めっちゃいいですね! ただ、惜しむらくは……惜しむらくは……どうやって死ぬのかの方法が書いてない!!(´;ω;`)(笑)
4000字という制限がありますし、恐らく物語の根幹にかかわる部分なので、しょうがないのは分かるのですが、知りたかったです(笑)
◆部前の冒頭のシーンが関係しているのかなぁとか想像はするのですが、分かりません。でも少なくとも、どうやって死ぬのか、どうやってレイナが生き延びるのかを知るまでは読み進めたいと思わせた時点でこれは作者様の作戦勝ちかもしれません。少なくとも私はとっても気になります(笑) 死から逃れる方法と、死に向かう方法が、ヒロインと主人公を結びつける動機になりますし、方法如何によっては、二人の魅力が何倍にも膨れ上がりそうですね!
世界の果てで君は歌う
まさか歌ったところが世界の果てになるとは思いませんでした! こういう発想の転換、いいですよね! 行商人が連れ人を故郷のある場所まで送る、の時点では狼と香辛料的な展開なのかなと思っていたのですが、最後まで読み切って良い意味で予想を裏切られました。ティアの性格とか知りたかったなぁ、どんないざこざがあったのかなぁ、なんて思いながら読んでいたので、最後に一年時が巻き戻り、しかもティアを惚れさせるという目的が設定された時は普通に歓喜しました(笑)
目的設定もタイトルの回収もしっかりされている、良い書き出しだなぁと思いました。書き出しとしての完成度が高いのはもちろんのこと、次を読みたい、と思わせる連載的な書き出しって大事ですよね。すごいです。
細かい点を挙げるなら、若干指示語が多い?気がしました。なんかもうちょっと減らせそうな気も。後は個人的な趣味だと、アルスの慟哭がもっと聞きたかったですね(笑) 絶望して、泣いて、叫んで、それで手に入れたティアを惚れさせるラストチャンス! みたいなのだと、読んでる方も燃え上がるかなとか。なんかこう考えると、ゲームとかのオープニングにありそうな出だしですよね。面白かったです!
『売ります・買います』量産型! 聖剣エクスカリバー!
あ、めっちゃ笑ったタイトルのやつだ(笑)
どんな設定でエクスカリバーが量産されてるのかなーと思ってたのですが、まさかのスマホでさらに笑いました(笑)
ただ、原理がよく分からなかったんですよね。説明はあったんですけど、スキルと科学技術の混合?によって色々取り寄せたりできるってことだと思うんですが、この時点で世界観が迷子になりました。で、迷子になってる中、新しく色んな娘たちが出てくるんですが、いきなり大量に出てきて更に迷子に(笑) なんとなくキャラ立ちはしてるっぽいんですが、わちゃわちゃみんな喋ってるのでよく分からないまま話が進んでしまいました。
なんとなく誤字とか重複表現も多いので、急いで書いて投稿しちゃったのかなーと。第一会場は速攻で埋まったみたいですしね(笑) 題材が面白いだけにちょっともったいないなーと思いました。
愛するお義兄様のために、『悪役令嬢』にはなりません!
私の初の悪役令嬢ものになりますね!
悪役令嬢をそもそも良く知らなかったので、ちゃんとググりました!(笑)
思っていたより、シェーラが健気でいい子で、素直に応援してあげたくなりました。
もっとこう、お義兄様大好き超大好き愛してる!みたいなのを前面に出してくるのかなーと思っていたんですが(何かに毒されすぎですかね……)楚々としていて、イアンのことを考えていて、や、ほんといい子でした(笑)
でもって恐らく敵?と思われる人から「悪役令嬢ですよね?」って言われるところで一旦幕を引くわけなんですが、悪役令嬢って、お前がそうだ! って言われるものなんでしたっけ? なんかこう、「そういう役回りの人」のことをメタ的に表す言葉だと思っていたので、今後どういう展開になるのか、ちょっと予想がつきませんでした。
が、あまりこの手のジャンルを読まないので私の知識不足かもしれません(笑) 細かいですが、最後のシーンでちょろっと場面転換してイアンサイドに移行するんですが、ここは書き出し祭りの時点では、全部シェーラ視点にした方が収まりが良かったのかなぁとか思いました。多分好みの問題です(笑)
故無しの最強魔術士
故無しの最強はヒロインの方だったのか! → いや、これは……主人公もか⁈という二段構えでわくわくしました!
ラフタを助けるために奮闘するネリには素直に共感できましたし、ヘイトがなくて良いですね。銀髪のラフタがなんで忌み嫌われてるのかの説明と、ネリがそれでも彼女を助ける理由が書いてあればもっと感情移入できたかもですが、文字数的に辛そうですね。
あと気になったのは、星持ちは魔術の天才という事なんですが、孤児院とかその周りの人たちはこれを知らなかったんですかね? いじめの原因にもなっていたということなので、星が普段見えない部分にあったわけでもなさそうですし、星持ちの情報自体が秘匿されているわけでもなさそうですし、何かしらの説明があればよかったなーとは思いました。
魔術の入力出力がなんかコマンドプロンプトとかみたいで個人的にめっちゃ好きでした! かっこよかったです(笑) 魔法って確かにとらえ方によっては、ちょっとプログラムみたいなところありそうですよね。
黒探偵 スカルフェイスのザギ
探偵もの、推理物は個人的に大好物なので、ちょっと感想辛口になりそうだよなぁと思って読みだしたのですが、いとも簡単にそのハードルを飛び越えて来たので私は狂喜乱舞しました(笑) 続きはいつ出ますか?(笑)
さて、探偵が悪寄りの話というと、最近では「殺人鬼探偵の捏造美学」がありましたね。あれはかなり完成度高かったなぁ……
出だしとしてつかみはばっちりな本作なのですが、主人公ザギのポジションというかスタンス?が前面に出てないのが残念です。どんな形で推理を展開するのかプロファイリングが中心なのか、あるいはスカルフェイスとあるので、模倣事件を自分自身で起こしたりする破天荒なやり方なのか、とか、4000文字では限界があったとは思うんですが、なにか書かれてたら良かったなぁと欲張りにも思いました。考え出すと色々妄想が膨らんで止まらなくなりそうなのでこれ位にしておきます(笑) 推理重視か、サスペンス重視か、どちらで続きが展開されるのかなぁ。
拾われた大罪人と拾った少女
最近ちょっと涙腺がね……脆くなっててですね……。少女ちゃんの話だけでちょっと心に来ました。少女ちゃんめっちゃいい子やん……なんならエアハルトもいいやつやん……末永く幸せになってくださいまじで。ほぼ会話ベースで話が進んでますが、必要な情報は提示されてますし、入り込み易く読み易かったです。
およそタイトル通りに話が進んでますし、ストレスなく読み進めることが出来ました。以外だったのは、ファンタジーの世界だったってとこですかね。現実世界の話かなと思ってました。でもこっちの方が話も広げやすいですし、イミゴがどう関わってくるのか分かりませんが、エアハルトが少女ちゃんを守りながら戦うっていう心温まる展開が予測出来て、とってもいいですね! 書き出し祭りの一話の引きとしてはかなり大人しめの締め方かなーと思ったので、何かもう一つ仕掛けがあっても良かったかもですが、普通に二人の行く末が気になるので次読みたくなりますね(笑)
少女ちゃんのキャラがよかったなー、無垢な子は正義! ですね!
当て馬キャラに恋をしました
全然関係ないんですけど、私ミステリの次に恋愛ものが好きなんですよね。叶わない恋とか歪んだ愛とか純粋な愛情とかね、もう見てるだけで幸せになれるんですよね。ごちそうさまでした面白かったです(笑)
タイトル予測の時に、当て馬キャラのパラドクス(勝手に命名)をどう改善するのかなーと思ってたんですが、記憶相続系ということが序盤から明かされて、「なるほどなー」と思いました。登場人物たちの恋愛の結末を知っている主人公の恋物語とか、葛藤が今から目に見えていて最高じゃないですか……是非「恋のあかりが灯る」のストーリーなんてぐちゃぐちゃに壊して幸せにハッピーエンドして欲しいですまじで(笑)
文章も良かったです。推しカプの説明のとこだけで死ぬほど笑いました(笑)
これはもう個人的なスーパー個人的な好みなんですけど、花鈴が千秋に最初は恋愛感情を抱いていないパターンでも面白いかなと思いました。結末を知っているから自分の中の恋心を無意識に塞いで、心的防御を図ってた的なのもドラマが作れそうだなと……すみませんただの好みです(笑) 面白かったです!
地平線の内側で
こう、理屈っぽい話は好きなので(でも物理は全く知らないので)、「そもそも情報=エネルギーの等式は成り立ってるのか?」とか考えてググったらマクスウェルの悪魔とか出てきて、もう好きってなりましたね(笑) 全体的に独特の単語選び、組み合わせのセンスを感じていいなーかっこいいなーと思いました。「あなたの涙も情報をもってるんだよ」「少なくとも人間の一生は、月が表情を変えるには短すぎる。人間が成長するにも短すぎる」とかかっこよすぎません? どうやったら思いつくんだ(笑)
途中の物理用語ばりばりのところは「かっこいいけど何言ってるかさっぱり分からない、けどなんかすごそうかっこいい」くらいで深く考えるのはやめてたんですが、それでもなんとなく何をしてるのかは分かったので、情報の精査もうまいなと思いました。
物語がここからどう動くのかはさっぱり分からないのですが、妄想科学ADVシリーズ的な方向で行けば面白そうだなと思いました。でも主人公女の子なんですよね……。性別が同じ登場人物のみが二人出た場合、その後の展開がちょっと想像しにくいですね。でも続きは読みたくなりました(笑)
これが私の復讐譚
うぉおお! そう来たか! 「『勇者』という存在があるらしい」からの展開はちょっと鳥肌モノでしたね。魔族側があえて勇者を作るというメリットは分かりませんでしたが、書き出しでそこまで触れる必要はないですし、なくても十分物語の方向性は見えて、続きが読みたくなりました! で、これ最後まで読んでから、もう一度最初から読み直すと、結構色々伏線というか、「そういう意味か!」と分かる描写が沢山あって、一粒で二度おいしかったです(笑) こういう緻密な描写を書けるのはかなり書き慣れた、筆力がある方なのではないかと思いました。復讐の起点として「愛する人が死んだと思っている」を持ってきているのもいいですよね。最終的に出会った時に、姫様がどんな反応をするのか、どう乗り越えられるのか、それがもう、とっても読みたいです(笑)
『もしも』から始まったパラレル転生
IFの世界に転生するお話しですね!イメージとしては、現在を起点に無限に広がる沢山の世界があって、独自の歴史を歩んでいくんだけど、分岐した後も世界間がもう一度交わることがある。そうなると、全く異なる歴史を歩んだ世界で生きていた人間同士が相対する可能性が出てくる、と。え、面白そう(笑) つまりこの時点で三つの世界が出て来てるわけですよね。一つは現代世界。もう一つは魔法科学が発達した世界。で、最後の一つは魔王がいる世界。全く異なる変遷を歩んだ日本を描くのはかなりしんどそうですけど、それぞれの世界の特色をもった登場人物とかキャラめっちゃ立ちそうですし、なにより楽しそうですね! ちょっと気になったのは、転校生=魔王の女の子、なんですかね? ちょっとその辺りがごたついてて把握できませんでした。後はこの、城?は魔法科学が発達した世界のものなのか、あるいは魔王がいた世界のものなのか、どちらなんでしょう? 一文「それはこの世界では見たことのない形をしていた」的な説明があれば分かりやすかったかなーとか思いました!
スピリットチェンジ!~少女は勇者のハーレム要員~
スピリットチェンジってそういうことか! と思いました! てっきり「勇者←→ヒロインズ」の間で意識交換するようなものを予想していたので、これは良い意味で予想を裏切られましたね。こっちの設定の方が断然面白いと思いました!
初っ端から地の文が丁寧語で、これは何かの意味があるんだろうなぁ、びっくりする仕掛けだといいぁと思いながら読んでいて、ちゃんとそれが回収されたのも良かったです。この丁寧語で各人格を俯瞰してみている子も、またスピリットチェンジの人格の一人なのでしょうか? 多重人格とは少し違うと書かれてましたが、いわゆる統合意志、みたいな存在なんですかね。温かく全ての人格と勇者の間柄を見守る存在、いいですね。個人的にはこの子もハーレム要員に加わったら美味しい展開だなぁと思いました(笑)
細かい点だと、スピリットチェンジのスキルが発動した時の描写がやや分かりにくかったかな? と思いました。理解できると、なるほどね! と読み進められるのですが、最初は違う効果のあるスキルだと思っていたのもあり、理解に少し時間がかかってしまいました。「ざっけんなこのエロ野郎が!」の前に、一文説明とかあると良かったのかな? 書き出し祭りは文字数との勝負もありますので、少し厳しいかもしれませんが(笑)
記憶違いの転生魔王―クラスメイトの助命に必死です―
クラスごと転生(転移?)する設定の存在は知っていたのですが、なるほどこんな感じで場面が切り替わる訳ですね。ユウマとカレン、ツルギの間にある何とも言えない温度差みたいなのはシュールで面白かったです! 「本当にごめん。僕にはコスプレをした緒川君と花崎さんにしか見えません」は笑いました(笑) ひどい(笑)
優しい、もしくはちょっと気弱な主人公が、魔王軍ならではの残虐さをもつ部下たちを必死で止める、という構成は、シュールギャグ系の方向に持って行けそうですし、実際三人の会話は面白くて一気に読めました。気になるところはやっぱり、タイトルにある「記憶違い」と「転生」を受けきれてないように感じた点ですかね。本文を読むと、「記憶違い」というよりは「記憶喪失」に見えてしまうんですよね。これが「記憶違い」であることを明確にしめす何かが欲しかったかなぁと思います――ってここまで書いて気付いたんですが、もしかしてこれ、序盤に出て来たカズヤが本当の魔王の記憶を持っているんじゃないですか(笑) そうなると、そこまで出だしで触れて欲しかったなぁという個人的なわがまま(笑) ほんとは俺が魔王なのに! なんでそっち⁈ みたいな絵面、最高に面白いですね(笑) 三人の会話を少し削って、そこまで盛り込めていたら更に面白くなっていたかなと感じました! や、この予想全く違ってたらごめんなさい(笑)
人間最後の希望=ドジっ娘可変式猫耳最終兵器メイド・アルテマウェポン少女
タイトルの存在感が異質を放ってますよね(笑)
どんな話なんだろうと思いながら読み始めると、世界観は意外にもシリアス。現実世界でAIが暴走してディストピアになったわけではなく、異世界の一つ「機界」でAIが暴走してディストピアになってるわけですね。「デウスエクスマキナ」の意味が分からないということは、作った人はこちらの世界の人間だったのかも、とか推測できますね。こういう前書きだけで色々妄想がはかどる設定を作れるのはいいなぁと思いました。いい具合に真の情報も隠れてるっぽいですし。あと、「機界」って単語、個人的に好きなワードチョイスです(笑)なんとなくターミネーターを彷彿とする世界観設定ですが、大事なのはアルテマウェポン少女ですよね(笑) アルファという名前で呼ばれるこの子が、本作の売りでしょう間違いなく(笑) ちょっと惜しいのが、タイトル……というか名前のすんごいインパクトに比べてアルファのキャラがやや薄めに感じたかな? と。語尾が「にゃー」なだけなんですよね。この子のドジっ娘なとこがもっと見たかったですし、可変式なところも見たかったですし、メイドなところも見たかったですし、アルテマウェポンとしての規格外な強さも見せて欲しかったです(笑) 邂逅じゃなくて、アルファの活躍シーンから始めても良かったのかなとか思いました!
国王の娘です。国から追放されました。
国から追放された理由が思ってたよりもシリアス(笑) もっとこう、「大事な花瓶割っちゃったから」くらいのラフな感じのものを想像してたので、これは意外でした。
誘拐された、という名目での事実上の追放なわけですね。純粋な血筋から出来損ないが出るのは国の威信にかかわる、と。最初の1000文字前後で背景がちゃんと説明しきれてるのは読者的に嬉しいですね! で、この「絆獣」と「血統解放」って単語がまたかっこいいんですよねぇ……。絆獣とかもう最高じゃないですか。ポケモンとかデジモンとか、異種獣パートナー系が好きだった私にはたまらない設定です(笑) 「血統解放」も字面が超かっこいいんですけ、具体的に何をするものなのか? が描かれてなかったのが個人的に残念でした。本来どうあるべきなのか、それができないことがどれくらい悲惨な事なのか、が分かると、先の展開を予想しつつわくわくできるので、提示されていてもよかったのかなぁ、とか思ったり。ただ、この話もう設定だけで面白いんですよね(笑) 竜以外の絆獣が出てくるのも想像つきますし、絆獣とのハートフルな話が展開される可能性だってありますし、すごくいい世界観ですね、妄想がはかどります……(笑)
指先一つで世界最強!~指弾王子の最初の一歩~
うぉお、やられた! なんとなくデコピンは想像してたんですけど、まさかDecopinだとは思いませんでした(笑) Decopin Tournament 2019とかもうこれだけで面白いです(笑)
私たちが知ってる「デコピン」って、まぁあの罰ゲームのやつなわけですけど、それでめっちゃ真剣に戦う、なんならチャンピオンとかがいるって状況設定がギャップをうまくついていて素晴らしいと思いました。こういうシュール(でも作中人物はみんないたって真面目)な作品はすごく好きなので、終始にやにやしながら読み進めました(笑) 一番好きなセリフは、「同じ試合なんて一つもねぇよ、棗。だからこそ面白えんだ、この」「でこぴんってやつは、な」ですね。うるせぇよ(笑)ってツッコんじゃいました(誉め言葉
最後主人公が父の遺志を受け継いで舞台に立つ、という引きは熱いですし、タイトルもなるほどこういうことか、と納得の一作でした。惜しむらくは、ちょっとデコピン対決のルールが分かりにくい……かな? と。なんとなく何やってるかは分かるんですけどね(笑) 一メートル先から風圧起こせるとかいう描写があったので、もっと超人めいた戦いになるのかと予測していたので、ちょっとそこがすんなり入って来なかったかな、と。細かいですが(笑)
死神の烙印を探して
人の魂を糧にする死神の物語ですね! 死神がかなり生きにくい世界なのが冒頭から伝わってきますね……。人の魂を食べるということは、人の命を奪うということ。人を殺さなくては生きていけない人の形をした違う何か。悲しいですね(´・ω・`)
ちょっと東京グールなんかを彷彿としますね。あっちは死んだ人間を集めて食べたりしてましたけど、死神だと、もうすぐ死にそうな人を見つけて魂をもらうとか、優しい死神はそんな生き方をしているのかもしれませんね。個人的には主人公がちゃんと(?)ぐれて育った所がポイント高いです(笑) 幼いころに親に置いて行かれたら、そりゃ性格もひん曲がりますよね。そういう性格の子が、ここからどういう成長を見せるのか、という期待感があるので、読んでてワクワクしました。ヒロインの喋り方が個人的にはちょっと読みにくいというか、そっちの方向でキャラが濃くなくてもいいかなと思ったりはしました。でもこういう口癖のキャラ、どこかのアニメで見たことあるんですよね……誰だったかな……。なので需要はあるのかもしれません、個人的な好みの問題ですね(笑)
物語の引きがかなり尻切れトンボなので、意欲作だなぁと思いました。賛否両論ありそうですが、個人的にはラストにもう一文意味深な地の文が加わった方が、締まりはいいかなと思いました!
ニート探偵セブンスター
探偵ものだ! いいぞ! もっと欲しい!(笑)
登場してないキャラも含めて、キャラが全員立ってましたね、濃い(笑)
仕事しない探偵(安楽椅子探偵らしい)、昔はモテたバーテンダー(多分裏の情報収集係)、事件の匂いを嗅ぎつける係(表の情報収集?)、ヤブ医者という名の名医、たぶんめっちゃ強い柔道家、色気のある中学生(この子が字面が強い)、平凡な主人公、と。一つのビルの中で役割が完結していて、縦割り的に事件を解決していくことになるんでしょうか。主人公の役割は、その伝達係、なのかな?
やっぱり神様のメモ帳を彷彿としますが、こちらは探偵役が渋いですし、展開は全く違ったものになりそうですね。惜しむらくは、というか勝手なわがままなんですが、推理物は出だしから何かしらの推理描写が欲しい! と思ってしまいます(笑) 超簡単な、なんならしょーもない推理でもいいんですよね。アブダクション的な、見える情報から真実をあぶり出す、みたいなのがあると、それだけで探偵役のすごさがちょっと分かるという。安楽椅子探偵らしいですし、どんな推理をするのか気になりました。探偵もの、推理物は、事件が起こるまでの導入がすごく難しいですよね……。全員キャラがいい感じに立っていただけに、その点があればもっとよかったのに! とわがままにも思ってしまいました(笑)
カドリーユの主題による速歩行進曲
なんかすごい(笑) とにもかくにも知らない単語がかなり出て来たのでグーグル先生と一緒に読みました(笑) ベルリラってなんじゃろなと思って調べてみたら、片手持ち運び可能鉄琴みたいなやつでした! みたことあるやつ!
題材が面白いんですよね、これを主題に物語を作れる人はそうそういないと思います(笑) 澤田のキャラがめっちゃ濃いので、この人だけで物語を引っ張る原動力にはなりそうですね。ただ、音楽系の情報量に比べて、他の情報がちょっと不足しているというか……。語り手の性別が分からないのと、澤田の着てる服は澤田しか着てないのかということと、そもそも舞台は普通の日本の学校なのか、というところ。この三点が提示されていたら、それでけでかなり印象は変わったのかなと思いました。主人公の性別、出てないですよね……? 二、三回読み直したんですけど、見つけられなくて……。
軍楽隊とか曲とかに関わる情報、知識は相当なものがありそうなので、うまく順序良く提示していけば面白そうだなと思いました!
もし勇者という言葉がその定義を見失ったのならば、この僕はなんと呼ばれるべきなのか
台詞、地の文、登場人物の考え方、そしてタイトル、全てがすこし理屈っぽくて、ちょっと斜に構えた感じで、どこか物悲しい。好き嫌いは分かれそうですが、私は大好き派です(笑)
ちょっと状況を理解するまでに時間がかかりましたが、要するに、主人公(勇者)が魔王を倒す。魔王、死に際(あるいは死んだから?)に少女を呼び出す。少女、世界を滅ぼすための存在。超強い。何回もループしていて、何度も勇者を屠ってきた。ということですね。
ここの構成でうまいのは、少女が終わりを導く存在であるため、勇者としか邂逅することができない、という設定ですね。何回も何回も生まれては消え、消えては現れていたんだけれど、出会う相手はいつも勇者だけ。そんな勇者に恋をするというのは、絶対的な力をもちながらも世界観が異常に狭い少女の境遇を考えればあり得る話で、納得がいきます。ここの設定がめっちゃいいなって思いました。ただ、先述の通り、これを理解するまでにちょっと時間がかかったというか、「彼女の復活のために~」の文章以降を読まなくちゃ分からなくて、それまでの会話に情報量があまりないのがもったいないかなと思いました。上辺をなぞる淡々とした詭弁のやり取りは、個人的には大好きなんですけどね(笑)
ブロウズ薬局店のカルテ~見習い薬師と最強の師匠~
これはレベルの高いハイファンタジー! 好き!(笑)
天才薬師と見習いの弟子のバディもの、しかも組み合わせは男女で舞台は中世を感じさせるファンタジー世界とか最高ですね(笑)
薬の名前、毒の症状名なんかを見ると、一部現実世界にある植物の名前とかもありましたが、基本的にはこの世界独自の名前を用いているということで、ネーミングと設定が大変そうだけど頑張って欲しいなと思いました。ハイファンタジーで医者ものを描く時に難しいのって、どんな形で医者が働いているか、という点を分かりやすく説明する点だと思うんですよね。薬師は薬を調合する人だと思うんですけど、その人たちが診察までやるのはしんどくないのかなー? とか。怪我をした時、あるいは解剖とかが必要な時にも薬師の人が出てくるのかなー、それとも違う専門職があるのかなー、とか。細かいんですけど、人の生活と密着した職業だからこその難しさがあるよなと思いました。や、すみません、完全に続きがある体で妄想をしてました(笑) 書き出し的には情報量に過不足なくて、引きもよくて、レベルが高い作品だと唸りました。面白かったです!
世界の平和を守るより地球制服するより友達が欲しい
ヒアリィのインパクトが強すぎる(笑)
全体的に明るいテイストで進んでいきますね。敵がやられる時のセリフとかも面白くて、悲壮感とか全くないので楽しく読み進められました。「おら、キリストきょ……」はずるいと思います(笑)
ただこう、4000文字にしては登場人物が多い気がしますね。
それぞれの人物間の関わりもちょっと不明瞭ですし、恐らく最後のミコトが主人公なんだと思うんですが、だとすると二番目にゾンビと戦っていた子は何者? ミコトに付いてるのは蝶とハリネズミみたいですし、別人ですよね、多分。なんか断れない+騙されやすい+友達が欲しいミコトが、色々なヒーロー? になれる契約を結んじゃって……みたいなどたばたコメディ路線なのかなぁと思うのですが、情報の整理がもう少しあればよかったかなと思いました。
設定としてはおもしろいですよね、友達出来るよって言われてスマホ買いまくっちゃう女の子とか可愛いです(笑)
異世界ピアノ工房
(多分)ピアノに詳しい人によって描かれた異世界ピアノ調律物語、いいですね! 異世界にピアノとかこちらの世界の楽器が持って行かれたら、みたいな話、絶対面白いのになぁと誰か書いてくれるのを待ってたのでとっても嬉しいです(笑)
調律がずれているから、聴衆にばれないように、早いテンポと演奏効果の高い技巧で誤魔化した、っていうところ、いいですよね。主人公が演者としても調律師としてもそれなりの技量があるということ、そして筆者さんがこういう話を書けるというその両方が示唆されていて、今後の展開にとっても期待が持てます。異世界にある、現実世界のピアノということで、恐らく誰かが持ち込んだのでしょうけれど、この辺りが今後の鍵になりそうですね。あと、D級とか法的とか、結構異世界に音楽の存在が根付いている、これまでにあまり見たことのない設定だったので、そこも良かったです!
細かいところだと、主人公の年齢設定でしょうか。四十歳にした理由とかあるのかなーと。元演奏者だけど引退して調律師になったとかかな? ちょっとこの手の話を書くには年齢層が上っぽかったので、そこだけ少し気になりました!
俺の転生は、天使のせいで無茶苦茶になりました
某洗剤が思わぬ形で風評被害を受けてて笑いました(笑)
物語の流れや登場人物間の会話なんかはかなりこなれていて、普段から書き慣れてる人だろうなぁと想像しました。これまでのダイジェスト! みたいな説明が、めちゃくちゃざっくりしててツッコミどころもあるのも、この天使とこの主人公ならまぁアリか(笑)と思わせるところも良かったです。今後の展開に、細かい動機付けとか、些細な矛盾みたいなのを吹き飛ばしてくれそうな天使のキャラ設定が本作の魅力の一つになってるなぁと感じました。「チート」と呼んでるスイッチを押すと特定範囲を意のままに操れる、という条件付き能力を使って、どうやって苦難(相方によって提供される)を乗り越えるのかを想像するのは楽しいですね!今の所機械を治したり、天使のあたまにタライを落としたりと割と地味な使われ方がしてるもの、面白かったです、こんなにスゴイ能力なのに(笑)
折角だし、「チート」じゃなくて、なんか違う名前がついてても良かったのかなぁとか思いました。具体案は思いつかないんですけどね(笑)