1.サイケデリック体験
頭が痛い。
頭蓋の中に壊れたスピーカーがあったらこんな感じだろうか。
朝から吸った非合法な薬物のせいで俺の萎縮した小さな脳みそが叫び声を上げている。
瞳孔は開きっぱなしだ。
震えも止まらない。
誰かが俺を読んでいる。
GWとはいえはめを外しすぎた。
こういう時は更にきつい薬で上書きするのがライフワークだったが生憎もう薬はない。
俺は意味のわからない悪態を呟きながらビールを胃に流し込む。
金はある、電話をすれば薬は直ぐに買える。
だが俺は依存症ではない、止め時は心得てる。
そろそろ潮時だ。
しかしいつでも止めれるなら急いで止める必要は無いのでは?
そんな考えが脳を過る。
どうやら薬で頭が冴えているようだ。
俺は馴染みの売人に電話をしようとスマホを手に取る。
その時だ。
目の前の女と目が合う。
ショートカットの綺麗な黒髪と少しキツメな目、身長は低く胸はあまり出ていない、小動物のような愛くるしさがある。
彼女は目が合うと満面の笑みを浮かべながら首をかしげてくる。
まるで天使だ。
恥ずかしながら俺は目の前にいるこの天使
天野桜に絶賛片思い中なのであった。
サイケデリック‥‥幻覚剤によってもたされる心理的感覚、幻覚、かっけー音楽