キール(200文字小説)~桜葵さんへのホワイトデーのお返し~
ホワイトデーって時期が悪いよ。
社内は年度末で慌ただしい。
無理して配ったチョコはなんだったんだろう?
こんなことなら、今日が休みなら良かった…。
所詮、義理チョコ。
お返しなんか当てにしてなかったし。
残業を終えて会社を出ると、そこに日下部さんが居た。
「行くよ」
そう言って私の手を取る日下部さん。
バーカウンターに並んで座る。
日下部さんが選んでくれたカクテルはキール。
その意味は…。
“最高のめぐり逢い”
「乾杯!」