91話 まるでグールみたいじゃないの
戦う事を尻込みしているメイサに伊集院が
「そうそう、これをお渡ししておきます」
引き出しから銀の袋を取り出すとメイサに渡
した。
「なあに?これ」
開けてみるとそこにはメイサが開発したグール
対策用の弾がぎっしり詰まっていた。
「なんでこんなにたくさんあるの?」
「メイサさんにプレゼントしようと思いましてね、
沢山作っておいたんですよ」
「その弾のテストも兼ねて、お願いね」
言うと同時に伊集院と雪の姿が三人の前からフッ
ト消えてしまった。
「じょ、冗談じゃないわよ、千秋どうしよう」
「私に相談されても」
後ずさりする千秋に代わって
「大丈夫、俺がメイサを守って戦うから」
力也が胸を叩いたが
「力也か・・心配だよな」
メイサが唇を尖らせた。
「大体何であたしが戦う必要があるのよ」
と、その時だった。突然部屋の壁が叩き割られ
ると、一体のグールが飛び込んできた。
「キャ、もういや」
メイサは慌てて千秋の後ろに隠れた。
「力也、もうウダウダ言ってる場合じゃなくなっ
てきたわ、メイサはあたしが守るから先に外に
飛び出してくれる」
割られた壁の向こうは道路になっており、そこに
は5体のグールが唸りを上げてこちらを睨みつけ
ていた。
全員、黒豹の姿で、こちらを睨んでいる。
「こいつはどうする!」
部屋の中に入り込んできたグールを指さす力也に
「こいつは私が殺るわ」
千秋は手首を回すと、その先を剣に変えた。
「キャ、千秋、何それ、まるでグールみたいじゃ
ないの」




