89話 地球存亡に関わること
「拷問で処刑した死体はどう処理されたか、そ
こが都市伝説なのよ」
千秋が言いにくそうに言った。
「何千単位の死体をハンター本部のどこに埋葬
してたというの。勿論身柄引き渡しなんてし
てなかったし、だから憶測が流れていたの、
死体をグールに引き渡していたんじゃないか
と」
「グールは死んだ人間食べないでしょ」
「だから皆不思議に思っていたの、死体の処理
はどうしてたんだろうと」
「俺は見たことがある。本部の裏口から死体を
山積みにしたトラックが長蛇の列で出て行く
ところをな、しかもそれが毎日だ」
「じゃあ・・・」
メイサは唾を飲み込んだ。
千秋や力也の言っていることが理解できたから
だ。
「あんた達、幽厳村正を疑ってるの?」
「あの男が来てからハンター組織は変わった」
「私も、残虐になったとは思っているわ」
「嘘、嘘でしょ、幽厳が、嘘」
「彼が裏で糸を引いているかどうかはしらない
けれど、何らかの関わり合いがあるとは思え
てきたの」
千秋は冷静にメイサに告げた。
「私達の調査でも幽厳村正がこの計画の、日本
での首謀者であることは判明しているわ」
「私信じられない」
メイサは唖然としている。
「でも、何のために幽厳はそんなことをするの」
三人が一斉に雪を見ると、雪は、伊集院に目く
ばせした。
「これでまず幽厳村正が人類の敵であることは
理解していただけましたか」
「何故幽厳はそんな事をするの?」
またメイサが、今度は伊集院にたずねた。
「それは本人に聞いてみないとわかりません。
ただ事実として彼は半魚人組織と手を組んでい
ると」
「で、私達に彼を倒すのを手伝えと、だから誘拐
したの?」
「まさか、幽厳村正の件は些細な事に過ぎません、
あなた方をお呼びしたのはもっと、人類、いや
地球存亡にかかわる事にでお呼びしたのですから」
伊集院は静かに首を振った。




