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83話 人は変わることができるのよ

グールは自由にグールになるか、ならないかコ

ントロールすることができる、しかも自分達が

グールであることを隠す特殊な発信機まで開発

している。


グール達が研究している、最終目的が人間との

共存ともいう。

何と人間的な命題だ。

それを人を喰らうグールが、考えているのだ。


未だグール討伐の兵器の事しか考えていない人

間とは凄い隔たりがある。


いくらグール化によって知識人たちが全てグー

ルになってしまったからと言って、この差は酷

い。


酷いと言うより、惨めだ。

惨めさがヒシヒシと湧いてくる。


メイサは千秋と力也を見た。


間違いなく千秋は今の話を理解している。

力也の方は・・・。

それにしては千秋は冷静だ。


メイサは千秋の手を握ると


「千秋は知っていたの、今の事」


「知ってるわけないじゃないの」


千秋は慌てて打ち消したが、不自然さは感じてい

なかった。


ここ最近の人間の(荒れ方)は凄まじい。

十年間、食べられるかもしれないという恐怖は、

人類から(進歩)という概念を奪い去ったようだ。

その分凶暴さが増した。

いいかえれば、人が人としてあるべき資質の退化

現象が起きていると感じていた。


人類に未来はないのではないのか。

ハンターとしてグールと戦えば戦う程、最近の千

秋には虚しさしかこみあげてこなかった。


そんな時グールの雪から耳元で囁かれた「人は変

わることができるのよ」。

この言葉は強烈だった。


千秋以外の人間にはごく当たり前の言葉であった

であろうが、千秋にとっては(特別な言葉)だっ

た。


今の千秋を作り上げてくれたと言って過言でない

この大切な言葉。


千秋が無条件で雪を信じてしまった真の原因は

この言葉にあったといっても過言ではない。


人は変わることができるのよ


千秋は信じていた。

人はどこまで落ちようと、必ず変わることができる。

それができるからこそ、人間なのだと。

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