77話 違わない!
「何であんたがここにいるのよ」
メイサと千秋は同時に叫ぶと、思わず苦笑した。
二人の声がハモってしまったからだ。
「メイサ!」
「千秋」
二人は駆け寄ると手を合わせあった。
久しぶりの再会だ。
「メイサ」
力也も唸っている。
元々この三人はハンター入隊時の同期だ。
半年ほど同じ隊で訓練を受けている。
メイサと千秋に至っては同室で大の仲良しでも
あった。
しかし途中から、メイサの科学者としての才能
が買われ、メイサはハンター部隊から、科学部
門に鞍替えされた。
科学部門は幽厳村正の直轄組織で、それ以降メ
イサと千秋は会っていない。
幽厳村正から禁止命令が出ていたからだ。
だからもうかれこれ、5年近く会っていない。
「あんたもなんでここにいるのよ」
メイサは力也を睨みつけた。
力也が反乱軍の一員だと聞かされていたからだ。
フト、気がつき
「千秋も反乱軍?」
「まさか」
驚いて否定する千秋に
「じゃあ、知ってるの、こいつが反乱軍のスパイ
だって事」
力也を憎々し気に指さした。
「こいつ呼ばわりはないだろ」
「あたし嫌いなの、裏切り者は」
「裏切り者か」
力也は頭を掻いた。
どう言いつくろおうと、裏切りものには違いない。
反論のしようがない。
「違うのよ、力也はそういう意味で反乱軍に加担
したんじゃないのよ」
「何それ、千秋、いつから裏切り者の擁護をする
ようになったの」
「だから、違うのよ」
「違わない!」
メイサは両手を大きく振って叫んだ。




