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75話 あと一人って誰なのよ

「そんな話をするための私を誘拐したの」


メイサは銀グールの質問をはねつけた。

どう答えようと惨めになるのはメイサ自身だ。


誘拐され、わざわざ惨めにさせられるいわれは

ない。


銀グールは黙ったまま、ジッとメイサを見つめ

ている。

何も言わない銀グールにメイサはだんだん苛立

ってきた。


最近特に短気になってきている。

ホルモンバランスが狂ってきているのだろうか。


悪いのは銀グールだ。

言いたいことを言い、聞きたいことを聞き、

メイサの質問には何一つ答えようとしない。

これなら頭から、ぱくりと喰われた方がまだ

気が楽だ。


「グールはどうなのよ、人間はしかたないわ、

 あなた達に喰われる立場なんだから、とに

 かく生き延びるための手段を考える、それ

 が第一課題よ、喰われたらお終いなんだか

 ら」


「そこなんですよ、メイサさん、まさにそこな

 んです。グールは喰らう側、喰らってから自

 己嫌悪に陥る側です。自己嫌悪はひとまず、

 生命の危機よりは軽い命題です。しかもこの

 自己嫌悪は科学発展の発奮材料になります。

 幸いな事にグールになった人たちのIQは極

 めて高い人が多い。この十年、グールに対す

 る研究の進歩は目を見張るものがあったので

 す」


「何がわかったの」


思わずメイサは聞いてしまった。

浜田と武器開発に励んでいた時、心の片隅では

常に考えていたことがある。


何故グール化が始まったのか、グール化を無く

す方法はあるのか、そんな研究がしてみたい、

そうは思っていたのだが、人間界の実情がそれ

を許さなかった。

まずはグールから身を守る武器開発が優先され

た。


とにかく科学者の数が圧倒的に少なかったのだ。


「わかったのっですよ」


銀グールが少し身を乗り出すと


「その研究成果から導き出した答えこそが、こ

 うしてメイサさんと後お一人の御招待という

 結果に至ったのです」


「後一人って誰なのよ」


「もうすぐお見えになります、お二人が揃った

 ところで、メイサさんのご質問には全てお答

 えするつもりです」


「だからあと一人って誰なのよ」


「後少しお待ちください、お会いになればわか

 るはずですから」


「もったいぶってないで言いなさいよ」

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