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73話 何故調べないんですか

「何それ、まだ他に誰かを誘拐してきたの」


「ま、それは来てからのお楽しみと言う事で。

 ところで同じ科学者として少しばかりお話し

 ませんか」


「あら、あなたも科学者名の」


「そうですよ、座っていいですか」


銀グールはメイサに許しを乞うた。


「いいですけど」


よくわからない男だ。

紳士的なのに、時々恐怖を感じる。

かといって怖いかといば、さほど怖くはない。

何者なんだこの男、いや、グールは。


メイサは頭を振った。

とにかく今は頭の中が混乱している。

銀グールの話が本当なら、もう一人、いや二人

と言ってたが、連れて来られるらしい。


「メイサさんはグールについてどこまでご存じ

 なんでしょうか」


「さっきも言ったでしょ、人喰いだと」


「あっ、そうじゃなく、グールの起源です」


「起源って、そんなの知る必要も無いでしょ」


「そうでしょうか、グールは人喰いと言って侮

 蔑されますが、グールだって前はメイサさん

 と同じ人間だったんですよ」


「そんな事言われなくたって知ってるわよ」


「ではグール化がいつ起こったかはご存じなん

 でしょうか」


さすがにそれぐらいは知っている。

10年前の12月15日 十五時丁度。地球にピンク

の光が降り注いだ。その瞬間、人類の何パーセ

ントかがグールになったのだ。


「では、そのピンクの光の正体は御存じでしょ

 うか」


「そんなのわかる訳ないでしょ。自然の力なん

 だから」


「本当に自然現象だと思われますか」


言われてメイサはドキリとした。

球体の地球全体に一瞬降り注いだピンクの光

都市伝説の類ではあるが、宇宙人がやったと、

そんな噂もある。


「それは調べてみないとわからないわ」


「では何故調べないんですか」


反論できない。

銀グールの言う通りだ。

しかし、調べたくとも調べられなかったのだ。

科学者の数が圧倒的に少なかった。

ほとんどの科学者がグールになってしまったか

らだ。

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