6話 新たに現れたグールは新種か?
幽厳村正と栗原千秋は少し離れて戦闘態勢を
取った。
固まれば、飛び道具を使うグールで全滅をく
らう恐れがあるからだ。
竹内力也は、赤子を抱いた女性の前で指輪か
ら大鉈を出すと、仁王立ちで女を守っている。
「なあに、あれ?」
壊された扉から出てきた三体のグール。
人間の身体をしているが、身体から陽炎が立
っている。
「グール化してるの、あいつら」
千秋の質問に幽厳村正は黙ったままだ。
「なんで三体一緒なの」
グールは通常単独行動を取る。
群れて行動することはないと言われていた。
群れていて、グール化した時、理性を無くし、
獣状態になったグールが同士討ちを避けるた
めだと聞かされていた。
それが今、グール化した状態で、三体並んで
こちらを睨んでいる。
「私達を食べに来たのかしら」
千秋が苦笑しながら言うと
「あいつら、あの女を追ってきたようだぞ」
幽厳村正が顎で、力也の後ろで震えている女
を指した。
「でもあの女性、赤ちゃん入れても二人よ、
追いかけ来たのは3体。数が合わないじゃな
いの」
グールは人一人喰らえば基本一か月は人を喰ら
わない。
数が合わないと千秋は言っているのだ。
「どうやら喰う為にあの女を追いかけてはいな
いようだぞ」
幽厳村正は無精ひげを抜きながら、頭を掻いた
「めんどくさいことになりそうだぞ」
幽厳村正はチラリ、力也と女を一瞥すると一歩
前に出た。
同じように前に出ようとする千秋に
「千秋動くな、あのグール少し厄介だぞ」
「厄介ってどういう事よ」
又頭を掻きむしる幽厳に遠くから力也が
「グールは3体、俺たちも三人、一人一体ずつ、
殺れば済むことじゃないのか」
「そうもいかないんだよな、これが」
舌打ちをしながら、幽厳村正はゆっくりあたり
を見渡した。
どうすべきか考えあぐねているようだ。