63話 まるで保護者だ
「それはそうと」
雪が力也を上から下まで眺めながら
「君は何て名?」
「竹内力也って言います」
「彼女と同じハンターの一員だったわよね」
「さっきまでは、ですが」
「彼女とはどんな関係?」
「関係って言われても」
言いながら、思い出したのか
「あんたに詮索される筋合いはないです。雪さ
ん、ていいましたよね」
雪がおかしそうに頷くと
「グールにとやかく聞かれるのは不愉快です」
「あら、ひどい言われ方」
言いながらも、顔は笑っている。
「力也君って、こうまじかで見ると、案外いい
男なのね」
「褒められても、考えは変わりませよ」
「何顔赤らめてるのよ」
千秋が近づきながら、力也の肩を叩いた。
「俺は赤くなってなんかいない」
「いいから、力也は少し黙ってて」
千秋は雪の前に立つと
「雪さんはここへ、何しにいらしたんですか」
雪は少し考える素振りを見せながら
「お礼をもらいに来たの」
「お礼って何のことですか?」
「あなた達の能力を目覚めさせてあげた御礼よ」
「能力?」
「身体の一部が武器に変化したでしょ」
雪が力也の手を握った。
「この手を武器に変化させて半魚人と戦ってた
でしょ」
雪は力也の手を握りしめ、柔らかく包み込んだ。
力也はと言えば、ぽかんと口を開け雪を見つめ
ている。
「いつまで手、握ってるのよ離しなさい」
力也と雪の手を無理やりはがすと
「力也は少し下がってなさい」
力也に命令した。
まるで力也の保護者だ。
力也は千秋に言われるがまま、後ろに下がった。




