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61話 だめ直接切り刻むのよ

剣を下げ、顔をおおって泣いている千秋に、

半魚人は持っていた槍で千秋の腹を貫いた。


槍を抜いては突き刺し、抜いては突き刺し、ま

さに滅刺し状態だ。


呆然とした千秋は、半魚人の突然の攻撃に驚き、

正気に返った。


「母さん?母さんが何故?」


尚も突き刺そうとする槍を手で掴み、引くぬく

と半魚人を睨みつけた。


母さんが私を刺す、ありえない

ありえない母さん、偽物

偽物、半魚人、たばかり。


ぶつぶつつぶやきながら、腹から流れ出る自分の

血を手でぬぐった。


「私の血、母さんが、何故」


千秋は槍を放り投げると半魚人の両肩を掴んだ。

相変わらず母の匂いが身体中を取り巻いている。


突然、また、(ぬう)と雪が千秋の前に現れた。

腹に華を抱いたままだ。


「雪さん」


「もう、仕方ない子ね。言ったでしょ、騙され

 ちゃいけないって、最もその素直さがあなた

 の好い所でもあるんだけど」


血だらけの千秋の腹を一摩さそりすると千

秋の腹の傷はまたたく間に回復した。


思わずつかんでいた半魚人の手を放した千秋は、

数歩後ずさりした。

その隙をついて半魚人は雪と華に襲い掛かろう

とした。


「ダメ!」


大声で叫んだ千秋は、条件反射のように半魚人

の首めがけ刀を一閃させると、半魚人の首はポ

ロリと胴体から転げ落ちた。


転げ落ちた首はそのまま、地面を転がると千秋

を睨み、又その体を蘇生しようとしていた。


「今よ千秋、あの首を粉々になさい、そうすれ

 ばあなたのお母さんも助かるのよ」


雪に言われるがままに千秋は手から(気)を発

し半魚人の頭を粉々にしようとした。


「ダメ、その攻撃はダメ、それではあなたのお

 母さんは救えないわ、あなたの腕で直接切り

 刻むのよ」


千秋は両腕を剣に変えると、半魚人の頭を思い

切り切り刻んだ。

するとどうだろう。

切り刻まれた半魚人の頭は、タンポポの種がは

じけるように、空中に分裂し、やがて風に乗り

空中に弾け散ってしまった。

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