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59話 あんた何者よ

千秋はまず力也の横に並んだ。


「おう千秋、あの坊主は誰だ」

「坊主って、私達と変わらない年頃よ彼」


「そんなことはどうでもいい、誰なんだ」

「華ちゃんのお兄さん」


千秋は翔太を目で追った。

華麗な舞のように、艶やかに戦っている。


彼の戦いぶりを見れば、本体を倒さずともこの

まま三人で戦えばいずれ全滅できるのではとも

思ったが、見渡せばまだ限りなく分身はいる。


やはり本体を倒したほうが早いようだ。


「本体を倒してくるわ」

「見つけたのか」

「ええ」


千秋はうなずくと半魚人の群れをかき分け半魚

人の本体の前に立った。


見かけは他の半魚人と変わらないが、輪郭が心

なしかはっきりしている。


千秋の姿を見ると半魚人は少し引いた。

周りにいた半魚人が一斉に千秋に襲い掛かったが、

それらを腕の一振りで遠くに吹き飛ばした。


本体の周りの分身をあらかた蹴散らすと、千秋は

本体に剣を突きつけた。


突然仄かな香りが漂ってきた。

懐かしい、昔嗅いだことのある匂いだ。


首をひねりながら、それでも半魚人の喉元に剣を

突きつけ、半魚人を追った。


刺そうと思うのだが、何故か刺せない。


匂いだ。この匂いのせいだ。


千秋は頭を振った。

正気を保たなければ。

この半魚人を倒せば、分身は全て消えるはずだ。


千秋は剣に力を込め、半魚人の喉を一突きしよう

としたその時、半魚人が喋った。


「やめて千秋!」


千秋は剣を止めた。

思い出した、母だ。

母さんの匂いだ、母さんの声だ。


「千秋私よ、私を殺さないで」


千秋は剣を下ろした。

唖然として、半魚人を見つめている。


何で母が、何で母の匂いが、何で母の声が。


「あんた、何者よ!」

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